二輪車新聞社便り

2017-06-26

トライアル観戦のススメ

5月27日、28日に「2017 FIMトライアル世界選手権 第2戦 ストライダー日本グランプリ」がツインリンクもてぎで開催されました。1日目に降った雨の影響もあって、ハードな2日間となりましたが、世界選手権10連覇達成中のトニー・ボウ選手が2年ぶりに2日間の連覇を達成、日本人で唯一世界選手権にフル参戦している藤波貴久選手が3位表彰台入りするなど、話題性に溢れた日本グランプリでした。


2日間とも優勝のトニー・ボウ選手


1日目は藤波貴久選手も3位表彰台を獲得

同選手権は、屋外で行われる “アウトドアトライアル”に当たりますが、自然の地形を生かしたセクション(障害物)を走破するため、今回のような雨のときは路面がぬかるんで、立っているだけでも苦労します。そんな中、選手たちは足を着かずにバイクで走破しようというのですから、バランス感覚やバイク制御技術のすごさを実感します。バイクトライアルはスピードを競う競技とはまた別の魅力があり、改めて、バイクの楽しみ方は無限大なんだと感じます。




岩から岩へバイクで飛び移る場面も

バイクの楽しみ方と言えば、モーターサイクルスポーツ観戦もそのひとつだと思いますが、トライアルの観戦はまた独特で、大人も子供もアクティブに楽しめるレジャーとしてオススメしたいです。

まず、トライアルの面白さのひとつとして挙げられるのは、競技者との距離が近いというところ。選手の表情やクラッチ操作も分かるほどで、緊迫感などもリアルに伝わってきます。間近で見ていると、選手によってアクセルを開けるタイミングやセクションの抜け方など違いが分かり、色々と面白い発見があります。セクション内で選手のサポートを行う「マインダー」と呼ばれるアシスタントと選手とのやり取りも必見です。


マインダー(緑のゼッケン)は選手をサポートする重要な役

そして、自然の景観を楽しめるのがアウトドアトライアルの醍醐味ですが、日本グランプリではツインリンクもてぎの「ハローウッズの森」を存分に使い、観戦はちょっとしたトレッキングのようです。


トレッキングの要素もあるトライアルの観戦

もちろん観戦のし方は千差万別で、選手に合わせて周回する人もいれば、レジャーシートを広げて同じ場所でゆったりと観戦している人もいて、体力や趣向に合わせた観戦スタイルで楽しむこともできます。どちらにせよ広大なハローウッズの全セクションを周るのは至難の技なので、選手がいつ頃どのセクションに到達するのかを計算しながら先回りするなど、計画を立てていくのも日本GPならではの楽しみ方ではないでしょうか。

日本グランプリでは、毎年バリエーション豊かなセクションが作られています。今年のセクションは全部で15箇所。それぞれのセクションが、チャンピオンでも容易には原点0で通れない、絶妙な難易度で設定されていて、そこが競技の面白さに拍車をかけています。


人気のセクション4~6は岩盤が続く


一部の岩が濡れているセクション7

今年もいくつか新しいセクションがありましたが、そのひとつセクション13は、断崖絶壁とも言える切り立った急斜面。田んぼが広がるなごやかなロケーションとは相反して、かなり難易度の高い場所だったようです。


新しく採用されたセクション13は、見上げるような急斜面


セクション13を足を着かずに登っていくジェロニ・ファハルド選手(スペイン)

さて、取材の折にセクションを回っていましたら、ある選手が減点0で走破したあと、大勢の歓声のなかに可愛らしい声が聞こえてました。就学前の子どもでしょうか、お母さんに向かって「すごいね!他の人は誰も行けなかったのにあの選手だけ足着かないで上れたよ!」と話していたのです。

もちろん、トライアルでも各大会によって細かい規定というのはありますが、「足を着かずに障害物を走る」というシンプルなルールは、子どもでも親しみやすいものだと気づかされました。分かりやすさというのは競技の面白さにつながっているのです。

今年、競技の発展をめざして新たにプロモーターを迎え、より親しみやすくなったトライアル世界選手権。観戦したことがないという方も、ぜひ、いつか見に行ってみてください。

二輪車新聞編集部 記者 坂野亜夢