二輪車新聞社便り

2018-04-23

法に則り楽しく健康的 大学“部活”の協力で遂行

二輪車ラリーは、順調に普及発展を遂げるかに見えたが、その命は短く、数年後には姿を消すことになる。その原因は後述することにし、ここではラリーについて説明しておきたい。

今どきの人たちは、二輪車ラリーがどういうルールで行われていたか、知らない人が多いと思う。そこでまず、その競技の基本的なルールや実施要領などに簡単に触れておく。

ここで言うところの二輪車ラリーは、正式には「二輪車タイムラリー」と呼ばれるそうで(私も聞きかじり)、欧州から伝わったと聞く。従って、スピードを競うものでなく、一定の“区間内”を“指定された速度”で走る競技で、指示速度より1分間“早くても、遅くても”減点(通常は1分1点)となり、その減点数の少なさを競う。一般的によく知られている“パリ・ダカールラリー”は、通常“スピードラリー”といって、速度を競う競技で、タイムラリーとは本質的に異なる競技であると言える。

さて、タイムラリーのルールとしては

①参加車両の機種・排気量は自由(ただし、50cc以下での参加は不可とするケースが多い)

②参加車両のメーター類は見えないよう、ペンキまたは絵具などで塗る

③走行する全コースはあらかじめ知らされない

④コースは原則的に公道で、全行程130km200km前後が一般的

⑤コース上には3~5カ所のチェックポイントが設けられる

⑥スタートは2~4台同時に、1分間間隔

⑦参加したライダーはあらかじめ全コースは知らせないが、スタート時に次のチェックポイント(この位置は秘密)までの速度指示(平均速度)票と詳細なコース地図が渡される

⑧チェックポイントでは、係員に到着時間の計測値を記入してもらい、また次のチェックポイントまでの速度指示票とコース地図をもらって再出発

⑨走行中は信号などはもちろんのこと、すべての交通法規を厳守。違反は減点(コース上に何カ所か監視員が潜む)。また、コース上の逆走は原則禁止。

⑩参加者はヘルメット・グローブの着用をはじめ二輪車運転に適した正しい服装をする

⑪ゴール後は各チェックポイントで記入してもらった計測タイムカードを係員に提出する――など。

一方、主催者などラリーを運営する側の事前準備、あるいは競技当日の実施要領としては

①コース全行程および各チェックポイント間の距離測定。この計測は通常四輪車を使って行うが、2台以上の別の車両で行い誤算のないようにする

130km150km前後の行程の詳細なコース調査。例えばコース上の目印や、交差点・三叉路など

③各チェックポイント区間の詳細な地図作成。(あらかじめ全区間は公表しない。各チェックポイントごとに、次のチェックポイントまでのものを渡す)

④チェックポイントの開設は当日の早朝に行い、参加者に知られないようにする

⑤コース全行程やチェックポイントの場所を事前に明らかにしない。万一参加者の仲間がコースを事前走行したりして、全コースの距離やチェックポイント間の距離を計測して参加者に知らせるなどの不正を防止するため。また、参加者の仲間が併走して距離を測定し、これを知らせるなどの不正行為があった場合は、失格またはペナルティタイムを加える

⑥ラリーの準備や実施には、多くの時間と人手を必要とする。支社として通常業務を行いながらの取り組みは大変なことから、当支社は地元大学の自動車部などクラブの“部活”に応援を求めた。大学のクラブ活動では、活動資金を稼ぐため部員が各企業などでアルバイトをしているケースがある。そのためこうしたクラブと相談し協力してもらい、当方は各個人に給金を支払うのではなく、クラブ活動費を寄付する形で相互協力して取り組んだ(これは大学クラブ側の要望もあった)

⑦もちろん、大学クラブに全て“丸投げ”するものではなく、各部署の責任者などは全てオートバイ編集部、二輪車新聞の社員が担当した(両本社から出向いてもらう)。

――以上のように、タイムラリーとしての二輪車ラリーは、その開催準備と実施運営には多くの時間と、労働力(人手)を必要とする。

競技は遵法精神に則り、安全で楽しく、健康的かつ知的な競技で、二輪車のレジャースポーツとして極めて優れたものだと考えられるが、「問題」はただ一つ。(つづく)

二輪車新聞 大阪支社顧問 衛藤誠


1957年425日付の二輪車新聞「四国版」より