一字千金

2016-03-19

vol.02 「一にユーザー、二にディーラー、三に‥」

奥井俊史/アンクル・アウル コンサルティング代表

顧客と販売店とメーカーの関係性・位置づけは極めて大切な事ながら、業界ではこれについて真剣に検討されているとの印象を持てない。ほとんどの場合、自然に「一にメーカー、二に販売店、最後に顧客」と認識されているように受け取れる。

冒頭に挙げた言葉は、永らくトヨタ自販の社長を務めて「販売の神様」と言われた神谷正太郎氏が早くから喝破し実践していた三者間の位置づけだ。

マーケティングの世界で「顧客」という用語すら導入されておらず定着していない頃の言葉であったので顧客と言わず「ユーザー」と言われているところに歴史を感じる。神様の定義は今にもあるべき当然のものと考えるのだが、ビジネス界の実態は一向に進化していない。顧客に選択されることが最終目的のビジネスである以上、最も重要なのはお金を払って購買して頂ける「顧客」であることは当然ではないか。ビジネスの商流上は、自然に販売店よりはメーカーが上位で、商品を開発し、販売システムを構築し、ブランドを育成強化し、サービスシステムを導入定着させていくことはメーカーにしかできない。このことが、浅はかにもメーカーは販売店の上に立つ、何か偉い人間集団のような誤解を生じさせていることも多いが、間違っても商流上の上下関係が人としての上下を意味すると考えてはならない。人は常に平等だ。
顧客接点として、メーカーの商品を購入して頂ける第一義的な顧客は販売店だ。前職時代は販売の神様の格言を一層徹底して「一に顧客、二に販売店、三、四がなくて五にメーカー」と言っていた。五の立場のメーカーが商流上は顧客の選択・購買を期待してリーダーシップを発揮してビジネスを率先垂範した。その運営は常にオープンでフェアであることを心掛けた。

プロフィール

奥井俊史氏 (おくい・としふみ)

1942年大阪府生まれ。65年トヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)入社。75年より東南アジア市場の営業担当し、80年トヨタ北京事務所の初代所長に就任。83年より中近東市場で営業担当。90年にハーレーダビッドソンジャパン入社、91年に同社社長に就任し、19年間に数々の施策を展開し日本での大型二輪市場でトップブランドに育て上げた。09年より現職。