一字千金

2016-03-22

vol.04 「威張るな製、言い訳するな販」

奥井俊史/アンクル・アウル コンサルティング代表

ここでいう「製」とは製造部門であり、「販」とは販売部門のことである。

東大ものづくり経営研究センターで、著名な藤本隆宏先生に学ばせて頂いていたころである。先生の持論は「製造は販売から始まる」で、製造部門と販売部門の連携・連動の重要性と効果を強調されていた。この教えを受けて、製・販のスムーズで一貫した情報の流れの大切さを重視するようになった。

翻って、業界の企業の多くを見ると、資金的にも人員的にもまた開発技術、生産技術でも世界的な水準で巨大になった製造企業がおり、その下に製造企業直営のいわゆる卸販社があり(小売店からすると卸販社も製造側の位置にいると見ている)、その下に中小零細企業が中心の小売販売店(=顧客接点企業)が存在する。

製造側の明確な線引き意識もあり、小売りは小売店の問題であると定義し、製造側は良く言えば小売分野は小売店一任、常識的に見れば責任のある関与や具体的な支援はあまりしない。話し合いの機会はあるが、自ずと上下関係ができていて、小売店側が製造側に物申すにも勇気がいるし、それよりも製造側を説得できるだけのデータを集めることすら難しいのが現実だ。

ものづくりの面に関しても、顧客の意見とさほど違いはない意見が提案できるくらいで、製造側が将来商品の開発に活用できる、商品の基本設計思想や情報に影響を及ぼせるまでの豊富で深い要求・提案はほとんど出せない。このような状況・難しさは小売店と製造企業との間に限らず、製造企業直資の卸販社と製造企業の間にも存在する。結果的に、遺憾ながら製造部門に「威張る傾向が強まり」圧倒的に強くなる。対して販売側は、特に製造側が期待する販売台数を達成できないと、やれ天候だ、不景気だ、競合商品によい物が出た、故障が多いなど必ずしも深まりのない、本質的でないところで「言い訳」をする。この殻を破れば圧倒的な1位になれる企業が出現するだろうと思うのだが。

ともかくも私は「威張るな製、言い訳するな販」と働きかけていきたい。

プロフィール

奥井俊史氏 (おくい・としふみ)

1942年大阪府生まれ。65年トヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)入社。75年より東南アジア市場の営業担当し、80年トヨタ北京事務所の初代所長に就任。83年より中近東市場で営業担当。90年にハーレーダビッドソンジャパン入社、91年に同社社長に就任し、19年間に数々の施策を展開し日本での大型二輪市場でトップブランドに育て上げた。09年より現職。