一字千金

2016-03-22

vol.05 「バカ殿経営者になることなかれ」

奥井俊史/アンクル・アウル コンサルティング代表

中小企業は経営者次第だとよく言われる。そう実感もする。優秀な部下に沢山恵まれている中小企業も確かにあるが、そんなに多くはない。資金(繰り)の問題や人材難、また企業経営に関する志・恒・識の経者とスタッフ間の実際の格差の存在など幾つかの点を考えてみても、経営者への依存度が高いのが現実だ。

ところが一方で、経営者の欠陥の一つとして、スタッフとの間に自ずと大きなギャップが生じているのにも拘わらず、その点についての認識に欠け、またほぼ絶対的と言える実権を掌握しているために、部下に対して命令を下したり、特に物事を任せる場合に、往々にして「バカ殿」に変身する人がこれまた多い。

上司が部下に物事を任す場合、事前のアドバイスもなく、仕事を投げっ放しで全て任せられると考える経営者が予想外に多いが、これでは期待効果の実現は無理なことが多すぎる。

こんな経営者に聞くと、××に任せてあるから大丈夫と答える。しかし放任的に任せるだけで、成し遂げられるようなリソースを与えもせず、方向性もほとんど示さないで任せている。人に任せる難しさを理解せず、責任も取らない。無責任なバカ殿式の任せ方になっている。

活動に社長が参画して、方向性を提起して、しかもそれらの進行をフォローアップして顧客視点流のやり方を浸透させ、その上で、なお命じられたスタッフの成果として達成感を味あわせてやれてこそが賢明な社長(殿様)と言える。

人に任せることは大変難しい。バカ殿に用はないのだ。経営者は日ごろの社内活動でもリーダーシップを常に適切に発揮すべきだ。

プロフィール

奥井俊史氏 (おくい・としふみ)

1942年大阪府生まれ。65年トヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)入社。75年より東南アジア市場の営業担当し、80年トヨタ北京事務所の初代所長に就任。83年より中近東市場で営業担当。90年にハーレーダビッドソンジャパン入社、91年に同社社長に就任し、19年間に数々の施策を展開し日本での大型二輪市場でトップブランドに育て上げた。09年より現職。