一字千金

2016-03-22

vol.07 「やって見せ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」

奥井俊史/アンクル・アウル コンサルティング代表

名言である。本人が解っているか、そして人に伝えられるか。聞いた人が解るか。その人に動いてもらえるか。〝伝える努力の大切〟さが問われている。

反して世の中は、たとえばメールを送れば、相手は見て当然、解って当然と考える身勝手さが横行している。〝伝わらなければ価値はない〟のにだ。

悩んでも仕方がないものを悩んでも、仕方がないことは自覚している。この風潮がそうだ。それでも空しい思いをすることがしょっちゅうだ。

やらせてもみた。褒めてもみた。表彰機会も沢山作り、どうすれば人の称賛を得られるかを考える機会作りもした。悩めば不安定になり落ち込むことも多くなり、解決策も一層見つけにくくなる。

空しく悩んでいた時に飲み屋のママから「詮無いことは詮無いこと、見切り千両」とたしなめられて、はっとした。踏ん切りがついた。

「自分自身はやるべきことはやっている」と思いあがっているのではなかったか。果たして自分自身、人に動いてもらえるような言い方をしてきたか。解らせるために、どれほどの努力を相手にしてきたか。相手がやれるように親身になって褒めてきたか。少なくとも100回以上は厭わずに繰り返して言い、繰り返して実行してきたと言えるだろうか。

そう気付くと悩まなくなった。悩む必要のない悩みだと理解した。100%を言っても、1%も理解して貰えないのが人間世界の常なのだと考えたら、肩の力が抜けた。悩まなくなった。

自分が一言言ったら、相手は全て理解し、その通りやってくれると考える状態をバカというのではないかと自省した。ある時点まで自分はバカだったのかもしれない。

プロフィール

奥井俊史氏 (おくい・としふみ)

1942年大阪府生まれ。65年トヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)入社。75年より東南アジア市場の営業担当し、80年トヨタ北京事務所の初代所長に就任。83年より中近東市場で営業担当。90年にハーレーダビッドソンジャパン入社、91年に同社社長に就任し、19年間に数々の施策を展開し日本での大型二輪市場でトップブランドに育て上げた。09年より現職。