一字千金

2016-05-16

vol.08 「会して議せず、議して決せず、決して行われず」

奥井俊史/アンクル・アウルコンサルティング代表

「会議が行われても結論が出ず、結論が出ても実行されない」ことが多いから、会議が無駄だと言われるのだろう。

まず、なんのために集まるのか、会議の目的が参加者に徹底されていない。従って、会議のために資料を準備し、事前に関係先との調整を図る人などいない。会議を主催する部署さえ明確ではなく、押し付けられた部門は不満顔。

従って、どの討議項目に対してどのような結論に持ってゆくのか、落とし所も考えられていることは多くはない。会議の議事録を誰がいつまでに書くのか、どの部署の誰に配布するのか、配布された部署ではどう対応して具体化に移すのか、予算の保証はあるのか、誰が稟議を起案するのか。このような基本的な事項が、全体的な運営経験の浅い弱体な組織では、表題のごとき状態になって当然である。

私の経験でも似たようなことがあり、ある時点から、多くの会議に社長である私自身が参加するようにした。会議では積極的に意見も述べ、方向付けも行うようにした。しかし、独断は避けるように努めた。

決定した事を実行に移す部門や担当者も、その場で皆で決めるようにした。一人か担当の一部門とするか、あるいはプロジェクトチーム式に編成するか、ともかく「結論のない、やるべき事の解らない会議」は一切行わないように徐々に慣習化していった。

わずかの人数の組織なのに、会議に出ていない人間からは「私は出ていない、聞いていない」と情けない抵抗が生じた。そこで、正社員のほぼ全員が参加する会議を月2回開催し、これまで議論し決定した事項の進捗状況もPDCAするようにした。必ず2日以内に議事録を作り配布した。こうしたことを繰り返すうちに、会議で組織を運営することができるようになり、オープンでフェアな組織運営の基礎になったと思う。

プロフィール

奥井俊史氏 (おくい・としふみ)

1942年大阪府生まれ。65年トヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)入社。75年より東南アジア市場の営業担当し、80年トヨタ北京事務所の初代所長に就任。83年より中近東市場で営業担当。90年にハーレーダビッドソンジャパン入社、91年に同社社長に就任し、19年間に数々の施策を展開し日本での大型二輪市場でトップブランドに育て上げた。09年より現職。