考えるリーダー/Interview インタビュー

2017-05-29

ドゥカティMH/「新たな製品ライン」開発

クラウディオ・ドメニカーリ CEO

新規客の獲得、新製品体験で

昨年も好調に業績を上げた伊ドゥカティ・モーター・ホールディング社のクラウディオ・ドメニカーリCEO(最高経営責任者)が4月21日、本紙の取材に応じた。好業績を支えたという投資、今後の生産体制、比較的に販売割合が高い米国で関税が引き上げられる懸念についての対策などを聞いた。

――業績好調な理由に製品、品質、顧客を焦点にあてた投資を挙げた。

「業績と財務状況は非常に良い。投資への原資も自社利益からまかなっているほどだ。毎年立てる5カ年計画では各市場の新しいお客様獲得の見通しをはじめ、各市場の人口構成、経済、各市場のディーラーの成長などを考慮する。また、各国の市場状況、例えば、中国は成長市場、日本は安定した状況など、全体を把握し計画に盛り込む。

一方で新たな客様獲得では、既存製品(カテゴリー)で獲得可能なのはどのようなお客様か、ドゥカティに関心が高くても欲しい製品がないなど、こうした新規のお客様へ、これまでにない新しい製品や技術への投資を考えている。従って今後5年間に新たな製品を加えていく。同時に既存製品にはスマートフォン同様にライフサイクル(製品寿命)を熟考する必要がある。デザインや技術の融合は大変ユニークだ。そうしたユニークで独自の製品には、ふさわしいプライシングが期待できる。

ただ、成功した製品であっても数年後には古い製品になってしまう。成功している製品でも、常にアップデートしていくことが重要だ。今後も既存製品の新型開発に加え、これまでとは異なる新しい製品ラインを開発していく」

――新製品追加に伴い、生産体制増強の必要性は。IoT導入の考えは。

「生産はイタリアのボローニャとタイ、組み立て工場をブラジルに持ち、現在の生産設備は柔軟に対応できる体制にある。今はモデルラインを1シフトで生産しているが、2シフト体制にすることで倍の生産が可能だ。ただ、5カ年計画の内で生産台数は高めていくが、5年後に今の倍の生産になるわけではない。

我々は新しい技術の開発に非常に高い関心持っており、IoT分野の導入によって実際に政府より税負担軽減の制度がある。この分野ではプログラムを組んで取り組んでいる」

――トランプ大統領が挙げる関税引き上げへの対策は。

「非常に密に動向について注目しているところだ。ただ、具体的に予測することは難しい。もしも米国で輸入品の関税が上げられるとすれば、ヨーロッパなどの他国でも米国からの輸入品の関税を上げるのではないだろうか。それによりバランスは保てると考える。二輪車に限らず関税が上げられることでヨーロッパのメーカーだけでなく、米国メーカーも影響されるのではないか。正直なところ実現されないのではないかとも考えている」

――顧客体験への注力を挙げたが、今後の課題は。

「長期的な予測は困難だ。市場変化も著しい。ただ私にとって大きな課題であり一番重要なことだ。

コアバリューとしてスタイルと洗練性、パフォーマンスを掲げて取り組みを強調してきたが、これに加えて『顧客への体験』『ハッピーになれるファンづくり』を目指す。会社自身が変化しておりイメージも変化させていく。会社を表現するために製品以上のものはない。以前はスポーティーでパフォーマンスの高い印象を強調してきたが、今後は製品の品質や顧客体験もこれまで以上に重要視している。

品質向上は積み重ねなければならない。10年間で品質は格段に高まったが、改善の余地は充分ある。品質ナンバーワンといわれるように、他社と競っていきたい」

紙面掲載日:2017526