考えるリーダー/Interview インタビュー

2017-12-08

ヤマハ発動機販売/最上位クラスの販売店始動 資格制度「アドバンスディーラー」

石井謙司 取締役営業統括部長

ヤマハ発動機販売は、現在のスポーツバイク正規取扱店の中でも質的にワンランク上の資格店「アドバンスディーラー」(以下アドバンス店)の制度構築に乗り出す。来年1月に本格的にアドバンス店に認定された販売店の活動が始動する。本紙では同社の石井謙司・取締役営業統括部長に、新たな販売体制へ取り組む背景や概要、基準などを聞いた。

――二輪車市場の分析、若年層の需要拡大などを含む中短期計画は。

「全体として販売は減少傾向にあるが、原付一種が減っており原付二種以上の車両は堅調に増えています。保有台数もボリュームがあり、今後どのようにバイクユーザーを活性化していくかが課題です。特に126cc以上のスポーツバイクは比較的安定して販売されており、今後も維持されていくと考えています。趣味としてのバイクが一定の需要で推移していく見込みを前提として、販売店政策を考えています。
若者の需要拡大についてはこれまでも取り組んでおり、成果を得ています。同時に休眠ライダー、リターンライダー向けにも施策を継続して展開しており、250ccのYZF-R25やMT-25は、特に若いお客様にご購入いただいています。親子二世代にわたるお客様も多く、将来の可能性を感じています。
若者の需要開拓、既存顧客の生涯顧客化に向けた活動を通じてスポーツバイクの販売を維持していく考えです」

――現在の販売網と新たな販売店資格のアドバンス店とは。

「今のヤマハスポーツバイクの販売店数は取引店が約1500店、その内正規取扱店は約800店でヤマハ正規ディーラー網のYSP(ヤマハ・スポーツ・プラザ)が94店です。
近年スポーツバイク購入のお客様は販売店に対する期待が高くなっています。お客様の期待に応えられるワンランク上の正規取扱店を認定し展開します。
現在取り引きがある販売店を削減するということではありません。
一方でYSPはヤマハブランドの発信基地。ヤマハに最も詳しい正規ディーラーの位置付けです。専門的な知識や技術を持つYSPは現状でもヤマハユーザーの支持を得ており、今後もYSP政策を継続していきます。
スポーツバイクの販売はYSPとアドバンス店でお客様の期待に応えていきますが、アドバンス店になっていただけるYSPはフラッグシップ店のような位置付けになると思います」

――アドバンス店認定資格の基準は。

「基本的にはお客様が販売店に求める期待を調査し、要件に織り込みました。まず、基準に販売台数はありません。ただ、ヤマハ指定機種の展示やヤマハ整備士資格、試乗車の用意、楽しみの提供としてのイベント活動の実施など多数の要件があります。
各アドバンス店にヤマハのビジョンに沿った展示方法や活動を実施していただきます。資格要件ですのでアドバンス専門店を新設するものではなく、外観では変わりがありませんが、アドバンス店であることを認識できるよう、店舗の内外にサインを設置していきます」

――認定資格では、ユーザーの目に見えづらい。

「元々スポーツバイクのお客様を調査した上で、どのような販売店が必要かを考えました。調査からは豊富な展示車や試乗車、サービス面などで高い次元で期待に応えられる販売店が必要であることがわかりました。これらの期待を要件化し安心できる販売店、アドバンス店として世間へ認知を高めていきます。
我々の考えとしては、バイクユーザーは販売店の個性や店員に信頼を寄せていている面があり、ヤマハ販売店の個性、良さを活かすことも考慮した結果、アドバンス店に行き着いたわけです」

――ユーザーを店舗へ誘引するための施策は。

「まずはアドバンス店の認知を上げることが重要だと考えています。専門誌だけではなく、一般の媒体、WEBを含め露出を強化します。
また、ヤマハユーザー向けには各モデルに合わせてオーナーミーティングを実施しており、こうしたイベントにアドバンス店を巻き込んでお客様をファン化したいと考えます。元々我々とヤマハスポーツバイク取扱店はイベントを協力して開催してきました。これはヤマハらしさでもあり、継続して活動していきます」

――販売のためのCRM(顧客関係の維持)など仕組みとしての施策は。

「最近の状況としてお客様の囲い込みは非常に難しいと考えています。囲い込みというより『お客様に選ばれる店づくり』が重要ではないでしょうか。お客様の支持を得るには期待に応えなければ駄目でしょう。重要なことはCRMよりもお客様視点です。もう一度CS(顧客満足)の原点に立った活動が必要です」

――アドバンス店構築では、社内意識の変革もポイントになる。

「この点の活動は2つあります。本社機能としては企画部門の強化を行い、アドバンス店にふさわしい政策を継続して検討します。もう一つは営業担当者に車両中心の営業から、部品・用品、アフターセールスの分野も取り入れて活動するようにしています。
営業担当者にはスキルアップと情報収集力強化のために、社内教育の仕組みで『ヤマハ・マーケット・イン・セールス』活動の取り組みが日本を含めた世界の販売拠点で昨年から始まっています」

――現時点でアドバンス店の見込み店数は。

「政策は来年1月より開始で、店舗でのスタートは順次となるが、現段階で約100店認定を見込んでいます。販売店からは賛同する声をいただいている一方、問い合わせも多く受けています。販売店と真剣に話し合い、ビジョンの理解と共感を得るよう活動していきます。
その一方で、アドバンス店の認知向上はメーカーの仕事として販売店から要求されます。前述の通り告知は継続的に行い、来年からは多面的にアドバンス店を露出していきます」

紙面掲載日:201712月8日