業界人/Interview インタビュー

2017-04-28

段ボール「店に絶対放置しません」

市川裕美さん

「3K」といわれ、男性色が強かった業界が変わりつつある。近年では男性の眼の届かないところで、女性ならではの視点が成果を上げている。二輪車業界も女性が働く場として拡大、変化しつつある。本紙では女性が自分の職場として選択した二輪車業界での活躍の姿を追っていく。

埼玉県のハーレーダビッドソンジャパン(HDJ)正規ディーラーの㈱市川商会(市川宏明社長)は「HD埼玉花園」と「Hiro,sHD」の2店舗を運営。全スタッフ

15人。店長の市川裕美さんは市川社長の娘で、同社に入社して5年、店長としてこれまでHiro,sHDで2年務め、3月の改装開店を機にHD埼玉花園の店長になった。

――二輪販売の仕事は社長から要求があったのか。

「強制的ではありませんでした。『好きにしていい』といわれていました。ただ幼いころからバイクのある環境で育ってきたためか、昔からゆくゆくはこの仕事に就くのかな、と予感していました。今の仕事の前に他業種の広告業界や印刷業界の会社で仕事をしていました」

――仕事で心がけていることは。

「店内とオートバイは、いつも綺麗にしておくことです。HD正規ディーラーとして、主役の車両に汚れやほこりが付いているのはもってのほかです。
他業種の店でもよく目にしますが、部品などの段ボール箱が店内に置かれているのは嫌ですね。お客様に見せるものではない物はショールームに絶対に置かないようにしています。ブランドイメージを崩さないよう、常に意識しています」

――以前の仕事で学んだことで、活かせることは。

「店内の演出やビジュアル、商品の陳列などに気を配るほか、広告やイベント開催などの告知などで活かせています。社長やスタッフの考えを具現化する時や困っている時は必要と思うツールの提案などをしています。入社して間もない頃は雑誌広告の担当をさせてもらいました」

――店長に就き仕事の仕方が変わる。心がけは。

「いつも笑顔でいることです。誰でも疲労が溜まっていることがあると思うのですが、それを見せずに笑顔での応対です。特にHDは趣味性の強い乗り物。お客様は、日常生活から少し離れて、休日の趣味の時間を楽しみにご来店されます。その貴重な時間を最大限楽しんでいただけるように、まずは自分たちが『真剣にならないと』と思います。特にスタッフ間で何か雰囲気が悪い時は私自身も嫌ですし、お客様にも感じ取られてしまうので、注意しています」

――新店舗ではどのような店にしていきたいか。

「店が広くなり洗練もされましたが、今までの市川商会が維持してきたアットホームな雰囲気を残していきたいです。入りやすく敷居の高くない、時間がゆっくり流れるような店にしたいです。また駐車スペースが広くなったので、二輪車関係にかかわらず他業種との催しを行うことへも広げていきたいです。まずは視野を広げ、いろいろトライしたいと考えています」

――スタッフとのコミュニケーションでは。

「入社当初、それが一番の悩みでした。皆さん年長者でしたし、どうやってその中に入っていけばいいのかと考えました。女性だしメカニカルな内容に詳しいわけでもないので、自分ができる広告やアパレルに力を入れることにしました。最初はこの分野で成果を上げて自分自身に自信をつけようと思いました。今は、車両の販売をメインにしながら、店長という責務を果たすべく日々の業務に取り組んでいます。
単にHDという〝物〟を売るだけでなく、HDを所有することで生まれる新しい仲間とのつながりや走る喜びなど、HDを所有することで人生に楽しみが増えるという魅力があることを、お客様に提案しなくてはならないと考えています。
その意識をスタッフ全員が持てるよう、まずは自分自身がお客様一人ひとりと真剣に向き合いたいと思います」

紙面掲載日:2017年4月28