日本二輪車普及安全協会(日本二普協/伊東孝紳会長)は8月3、4日の2日間、「二輪車安全運転全国大会2019」を開催。34都道府県交通安全協会等から選抜された代表選手122名が三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキット交通教育センターで安全運転技術を競った。団体優勝は愛媛県チームが獲得。個人クラスで優勝した奈良県チームの南雅志選手には文部科学大臣賞が贈られた。17年まで50回にわたり行われた全日本交通安全協会・二輪車安全運転推進委員会(全安協・二推)主催の二輪車安全運転全国大会を引き継ぎ、警察庁や内閣府、文部科学省、全安協の後援をはじめ、二輪車関係団体のバックアップを引き続き受け、2年ぶりの開催となった今大会。関係者にとっては、全安協・二推主催開催期のように47都道府県参加の復活へ向け大きな弾みとなる開催になったようだ。

高校生等個人優勝選手に文科大臣賞

同大会は、二輪車運転者の安全運転技術と交通マナーの向上を図ることにより交通事故を防止するとともに、二輪車の普及と安全利用を促進することを目的としたもの。

二輪車安全運転全国大会が、主催者を代えて2年ぶりに復活した。2017年までは主催者が全日本交通安全協会二輪車安全運転推進委員会で、68年に第1回を開催。17年の第50回記念大会をもって終了した。

これを大会趣旨とともに引き継いで開いたのが日本二普協で、全安協は警察庁と内閣府、文部科学省とともに後援団体として同大会を支えた。

競技に先立ち開会式が行われ、大山憲司全安協専務理事・二推委員長による開会宣言に続き、大会会長である日本二普協の伊東会長があいさつ。「二輪車はとても有用で、利便性が高いと評価を頂いているが、より安全で快適な乗り物として二輪車利用の輪が広がっていくよう、関係者一丸で各種活動に取り組んでいく」などと踏まえた上で、各都道府県の代表として参加した選手たちを激励するとともに、後援・協力・協賛の各省庁や団体、選手をサポートしてきた監督やコーチ等関係者への感謝の気持ちを述べた。来賓を代表してあいさつした警察庁交通局運転免許課の早川智之課長は、最近の交通事故情勢を踏まえた上で「交通事故死者数が減っているのも、ここにいる皆様のいろいろな形での努力のお陰であり、引き続き交通安全推進に一人ひとりの力を頂きたい」と述べ、選手たちを激励した。

この後には、代表選手による選手宣誓、競技の発走順を決める抽選が行われた。

今回の出場選手は、34都道府県の交通安全協会や二輪車安全運転推進委員会などが開催した二輪車安全運転大会などにより選抜された一般ライダー122名。内訳は▼高校生クラス24名(最年少16歳/最年長19歳/平均年齢18.1歳)▼女性クラス33名(21歳/60歳/40.4歳)▼普通二輪クラス33名(21歳/60歳/42.3歳)▼大型二輪クラス32名(23歳/61歳/48.7歳)。車両は高校生等クラスにヤマハジョグ(原付一種)、女性クラスにスズキスウィッシュ(原付二種)、普通二輪クラスにカワサキZ400、大型二輪クラスにはホンダCB1100RSが用意された。

競技は法規履行と、5課題(極小バランス、応用千鳥、コーススラローム、ブレーキング、コンビスラ)の技能走行を競うもの。採点は、各選手が法規履行走行500点、技能走行500点(5課題×100点)の合計1000点の持ち点からの減点方式となる。

法規履行走行は法規履行の能力、とりわけ一時停止、進路変更、合図、右左折などを採点する。道路を走る上で基本中の基本となる課題だ。

技能走行のうち、極小バランスは、幅2メートルのコース中央に全長9.2センチ、直径5.0センチの小型パイロンを2メートル間隔に置いた長さ18メートルのスラロームコース。内輪差などを考慮しつつ的確な車両誘導技術で低速走行時のバランス運転技術を競う。

応用千鳥は、車体の傾斜角が制限された極小コース内に随所に置かれた2本のパイロンの間をくぐり抜ける、バランス感覚が問われる競技。

コーススラロームは、左右に連続する大小のカーブを設定。「走る・曲がる・止まる」の総合的な運転技術を見る。

ブレーキングは、指定された速度・位置からブレーキをかけ、停止基準距離内に安定して停止できるかを見る競技だ。

コンビスラは、パイロンが置かれたコースとマーカーが置かれた8の字のコースの複合コースにおける運転技術を見る競技となっている。両日とも気温30度以上の酷暑の中、選手らは同行した監督やコーチ、家族、応援者らの激励を受け各課題に果敢に臨み、熱戦を繰り広げた。

競技終了後には鈴鹿市内のホテルで表彰式が行われ、飯田剛審判長から入賞者が発表された。団体優勝は愛媛県チーム(高校生等・田井優希/女性・小笠原由莉/普通二輪・森亮太/大型二輪・武田耕青)、個人クラス優勝は▼高校生等=南雅志(奈良)▼女性=森河美法(徳島)▼普通二輪=藤井峰夫(神奈川)▼大型二輪=松尾鉄平(島根)──となった。団体優勝の愛媛県チームと個人各クラス優勝者には警察庁長官・日本二普協会長連名賞が、個人高校生等クラス優勝の南雅志選手にはさらに文部科学大臣賞が贈られた。

表彰終了後には、日本二普協の太田昭雄常務理事が大会の総評を行い「どの選手も安全確認をしっかりしており、素晴らしい安全運転大会だった。また、選手としての立ち振る舞いがよかった。今後、模範ライダーとしての一層の活躍を期待する」と締めくくった。

懇親会で労う

初日の競技終了後には、会場を近くのホテルに移して選手とその関係者、大会関係者を一堂に集めた夕食パーティー(懇親会)が開かれた。

冒頭、三重県警察本部の難波健太本部長が祝辞を述べ、「装いも新たに『日本二普協による二輪車安全運転全国大会2019』が関係各位の尽力で盛大に開催されたことに、開催地の警察本部長としてお祝い申し上げる」「各都道府県で厳しい予選を勝ち抜いてきた選手には、鈴鹿8時間耐久ロードレースをはじめ世界に有名なモータースポーツの町、ここ鈴鹿で二輪車安全運転日本一の栄誉をかけ本日も真摯に競技に臨んで頂き、その健闘を称えたい」と述べた。

続いて乾杯の音頭をとった日本自動車工業会二輪車特別委員会の日髙祥博委員長が、「今大会は一昨年まで50年にわたり全安協二推の主催で開催されてきた大会だが、その開催趣旨を引き継ぐ形で日本二普協に主催して頂けるということで、復活したからには、マナーと安全、事故撲滅という開催趣旨を体現するような素晴らしい大会として、今後長く続いていくことを願う。今日は英気を養って、明日の大会に臨んで頂きたい」と述べ、出席者一同で乾杯を行い懇親会がスタート。情報交換を行うなど親睦を深めた。

中締めのあいさつを行った日本二普協の林田武人専務理事は、出席した選手らに、各地域に帰って地域からの交通安全普及活動や、一人でも多くの人への二輪車安全運転大会参加呼びかけを求めた。

画像: 日髙二特委員長の発声で乾杯

日髙二特委員長の発声で乾杯

1位 愛媛・2位 神奈川・3位 京都

◆大会成績(敬称略/同点の場合、法規履行走行の点数が高い選手が上位)▼団体(高校生等/女性/普通二輪/大型二輪クラス)①愛媛(田井優希/小笠原由莉/森亮太/武田耕青)3791点②神奈川(中村優太/加藤由貴子/藤井峰夫/佐藤正章)3736点③京都(多羅尾重輝/杉山裕佳/鈴木賢一郎/上村武志)3692点④埼玉(滑雄之介/宮澤純子/皆川優大/園部昌仁)3615点⑤奈良(南雅志/中原幸子/染矢和政/林晃吉)3502点⑥福島(橋本隆汰/三浦美穂/佐藤優作/佐藤晃彦)3500点▼個人クラス▽高校生等①奈良・南雅志982点②京都・多羅尾重輝981点③愛媛・田井優希970点④神奈川・中村優太934点⑤福島・橋本隆汰923点⑥島根・福島朱音916点▽女性①徳島・森河美法993点②岡山・山崎知代990点③埼玉・宮澤純子976点④福岡・林田さおり973点⑤三重・中根智子972点⑥佐賀・溝口典子968点▽普通二輪①神奈川・藤井峰夫968点②長野・金井涼968点③愛媛・森亮太960点④京都・鈴木賢一郎950点⑤高知・下元啓資927点⑥埼玉・皆川優大925点▽大型二輪①島根・松尾鉄平982点②千葉・日暮道正969点③埼玉・園部昌仁953点④奈良・林晃吉938点⑤愛媛・武田耕青921点⑥三重・真鍋彰夫915点

◆優勝コメント▼団体・愛媛県チーム=高校生等・田井優希選手「初めての経験のこの大会で、すごいことができて嬉しい」▽女性・小笠原由莉選手「優勝できるかできないかと思いながら結果発表を持っていたが、実際に優勝でき震えが止まらない」▽普通二輪・森亮太選手「今までバイクに乗らせてもらって、やっと恩返しができた」▽大型二輪・武田耕青選手「昨日は途中経過が出ていて、明日も頑張ろうと皆で話をしたが、今日はいい走りをしようと言い合ってやってきた。これまで指導してくれた指導員や監督、コーチ、サポートしてくれた皆さんに感謝したい」▼個人クラス・優勝選手=高校生等・南雅志選手(奈良)「県大会がグダグダで全国大会に間に合うのかという感じだったが、教えて下さった方々のお陰で優勝できた」▽女性・森河美法選手(徳島)「今回が6回目の出場で、かなりのベテランになると思う。いつもプレッシャーに弱く、本番でも息が止まりそうになりながらプレーしていた。やっと恩返しできたと思う」▽普通二輪・藤井峰夫選手(神奈川)「過去の大会で3回出させてもらったが、本番に弱かった。汚名を返上できそう」▽大型二輪・松尾鉄平選手(島根)「監督、安協、支えてくれたチームの方、県外から応援に来てくれた方や家族に感謝したい。これからもバイクの練習に精進していきたい」

◆二輪車安全運転全国大会2019 主催・後援・協力・協賛
【主催】日本二輪車普及安全協会
【後援】警察庁▽内閣府▽文部科学省▽全日本交通安全協会▽日本自動車工業会▽全国軽自動車協会連合会▽全日本指定自動車教習所協会連合会
【協力】三重県警察▽三重県交通安全協会協賛日本自動車整備振興会連合会▽日本モーターサイクルスポーツ協会▽日本交通安全教育普及協会

紙面掲載日:2019年8月30日

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