「世界に通用する素晴らしいバイク文化の創造を目指すとともにバイク産業の振興、市場の発展などを図る」ことを目的に、バイクに関わる企業や団体、地方自治体等が核となり、利用者も交え、関係者間で社会におけるバイクへの認知と受容、共存の在り方や、バイクの将来像に関して真摯に議論し活動する会議体による、7回目の「バイクラブフォーラム」(BLF)が9月20日、山梨県で開催され、関係者や一般参加者を含む約250人の聴講者らが熱心に聞き入った。
画像: BLF in やまなしの様子(写真は経産省自動車課の内藤課長補佐によるロードマップ進捗状況説明)

BLF in やまなしの様子(写真は経産省自動車課の内藤課長補佐によるロードマップ進捗状況説明)

BLFは2013年9月、三重県鈴鹿市で第1回が行われ、以降▽第2回( 14年8月)=静岡県浜松市▽第3回(15年9月)=熊本県熊本市▽第4回(16年9月)=兵庫県神戸市▽第5回( 17年9月)=群馬県前橋市▽第6回(18年8月)=岩手県一関市──と6回にわたり開かれている。

「第7回BLF in やまなし」と銘打たれた今回は「セーフティーライディングで自然を楽しもう」をテーマに、二輪車産業の振興策についての取り組み状況の発表や、国内二輪車市場活性化策の議論が展開された。

冒頭では、経済産業省製造産業局自動車課の河野太志課長と山梨県の長崎幸太郎知事が開会のあいさつを行った。

トークプログラムではまず、経産省製造産業局自動車課の内藤貴浩課長補佐が「二輪車産業政策ロードマップ」の進捗状況を説明(別掲)した。

続いてパネルディスカッション①「やまなしを楽しくセーフティーライディング」が行われた。

まず、前野克典氏(山梨県リニア交通局交通政策課課長補佐)と中村洋一氏(同観光部観光プロモーション課課長補佐)が、山梨県の交通安全などに関する活動事例や、BLF開催日から始まった「セーフティーライディングやまなしツーリングキャンペーン」の紹介を行った。

次に鶴田治彦氏(二輪車安全運転推進委員会特別指導員)、作田裕樹氏日本二輪車普及安全協会安全本部安全普及部長)、KAZU中西氏(伊豆スカ事故ゼロ小隊長)、稲垣具志氏(日本大学理工学部交通システム工学科助教)が加わり、▼山梨県の二輪車交通安全対策▼事故発生の特徴分析、そこからの学び▼活動の問題点・課題・改善点・あるべき姿▼やまなしを楽しくセーフティーライディングするには──の4点についてディスカッションが展開。

鶴田氏は「講習会で高めた技能を路上に出た時にゆとりに回してほしい」と話していることなどを紹介。土地の不慣れなライダーへの対策については、講習会の中で、バイクの特性などを踏まえた走り方について説明しているなどと述べた。

KAZU中西氏は静岡県で立ち上げた伊豆スカ事故ゼロ小隊による二輪車ユーザーに対する安全利用の啓発活動について説明。「通行禁止をするよりも、利用者意識に訴えかけることが交通事故防止に効果がある」と、活動の成果を語った。

前野氏からは山梨県の二輪車交通安全対策について、日常利用では若者や高齢者の原付バイクの事故が多く、土日には県外からの大型バイクライダーの事故が多い。圏外からのライダーに対する安全教育は行ってはいるものの、難しい点などが指摘された。

作田氏は、高校生のバイク安全運転教育について説明。3ない運動を廃止した埼玉県で今年度からスタートした自動二輪車等の交通安全講習(埼玉県教育委員会主催、埼玉県二普協など後援)の開催実績について、活動報告を行った。

稲垣氏は、3ない運動廃止によって今まで隠れて乗っていた生徒も教育できるようになった点、また、指導方法・体制について実技と座学がリンクする内容の連携が重要との考えを示した。

次のトーク対談「新時代令和これからのバイクデザイン」では、松下尚司氏(オートバイ/RIDE編集長)、美環氏(原型師)、福本圭志氏(川崎重工業デザイン部長)、澤田琢磨氏(本田技研工業二輪事業本部ものづくりセンター技術主事 デザイナー)が出席し、▼デザインの定義とは▼欧米のデザインと日本のデザイン▼人材育成「デザインすること」▼新時代令和 これからのバイクデザイン──をテーマにトークを展開。

これからのバイクデザインについて、澤田氏は「新しいものもどんどん作っていかねばならない。バイクは絶対に生き残っていかねばならないし、こんなに楽しいものが生き残らないはずがないと思う。その一方、バイクに乗った時の気持ちよさを残していくことを考えていきたい」。福本氏は「新しいデザインを育てながらもっと個性を追求してモデルになっていくのが令和のバイクデザインではないだろうか」。美環氏は「私はサブカルチャーからバイクを知って乗り始めたので、そうした人が乗りたいと思うようなバイクデザインを願う」と求めた。

松下氏は「これまでと全く違うデザイン、ストーリーを作っていくことが市場活性化につながっていくのでは」との考えを示した。

この後に行われたのがパネルディスカッション②「女性ライダーの活躍に期待」。川崎由美子氏(二輪ジャーナリスト)、松崎祐子氏(WEB:Lady Go MoTo元主宰)、渋谷有佳氏(ビギナーライダー)、山根智子氏(ビギナーライダー)、そしてBLFの進行役を務めたUYYテレビ山梨アナウンサーの小田切いくみ氏が加わり、▼女性ライダーの最新事情▼バイクに乗るきっかけ、今バイクで熱中していること▼SNSでの関心事、人気イベント▼ライディング技術向上策、長くバイクに乗る秘訣▼女性ライダーを増やすには、業界がなすべきこと─をテーマにトークを展開。

川崎氏は、女性のバイク購入時に最重要視している最近の傾向として、足着き性を指摘した。渋谷氏は「SNSでキャンプツーリングや、おいしいものを食べに行く企画などへの参加を呼びかけており、バイク好きの知らない者同士が知り合うきっかけになっている」。松崎氏も、自身が女性ライダーのために立ち上げたSNSについて説明。「個々に情報共有できるようにした。盛り上がるのはメイクやファッション、バイク選びなどの話題。女性目線なので参考になる。周りに女性がいないためか入ってくる女性が多く、そこから仲良くなり、一緒にツーリングに行く人が多い」とSNSの重要性を強調。

ライディング技術向上策について、山根氏は、「曲がるのが苦手なので、講習会に参加することは重要。そこで友達もできる」と、安全運転技術向上とライダー仲間づくりについて語った。

こうしてプログラムが終了。この後、日本自動車工業会二輪車特別委員会の日髙祥博委員長による総評、次回開催自治体によるあいさつ、最後に全国オートバイ協同組合連合会の大村会長による閉会あいさつで締めくくられた。

次回は大阪府で

会場では、次回のBLF開催地が大阪府であることが発表され、大阪府商工労働部成長産業振興室産業創造課の岡野春樹課長(写真)が歓迎の気持ちを述べた。

画像: 次回は大阪府で

◆バイクラブフォーラム開催実行委員会メンバー=経済産業省▽日本自動車工業会▽全国オートバイ協同組合連合会▽日本二輪車普及安全協会▽日本自動車輸入組合▽日本自動車部品工業会▽日本二輪車オークション協会▽全国二輪車用品連合会▽中古二輪自動車流通協会▽三重県▽鈴鹿市▽静岡県▽浜松市▽磐田市▽熊本県【協力】山梨県▽甲府市

紙面掲載日:2019年11月29日

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