モノのインターネット化IoTならぬ、移動手段のインターネット化IoVで新サービス「Noodoe(ヌードー)」を3月下旬に発表した、台湾キムコのアレン・コウ会長が本紙の取材に応じた。ヌードーとスクーターの融合を踏まえ、将来の新たな方向性への考えなどを聞いた。

KYMCOを世界的ブランドへ

──日本メーカーを追い越せと品質を高めてきた。ヌードーの提供は新たな方向を示すものか。

「まずキムコを世界的ブランドにしたい。そこで重要なのは、技術革新、独創性などすべてキムコらしさの観点から実現することが重要です。IoTはモノのインターネット化、IoVは車両などのインターネット化として考えられていますが、私はこの解釈が正しいとは思っていません。なぜなら人のために存在するモノであり、『人が中心』でありライダーの観点から物事を発想することが重要です。

特に二輪車と四輪車は全く異なるモノです。これまで二輪車は主に移動手段で移動機能として使えるモノでしたが、そうではなく人が毎日使いたいと思ってもらうことが重要なのです」

──若者の二輪車離れが止まらない。ヌードーと車両の融合で新規需要の創出は。

「二輪車は日常生活の中で活用されていくだろう。一般の生活者行動を考えると、朝起きてスマホでSNSなどの情報を確認し、電車内でもスマホを見る生活がほとんどです。こうした人々にとって『つながり』が大切になっている。こうした生活者の背景からヌードーでは、3つのコンセプトを網羅させました。一つが思いやりや使い勝手といったソフトフル、二つ目がパーソナル、そしてソーシャルです。この3つのキーワードは今まで二輪車に求められてきた事柄とは異なります。

また多くの他社四輪、二輪車メーカーがIoTを前面に訴求していますが、主に車両を中心として考えられているといえるでしょう。しかし我々のヌードーは逆説的発想で、ユーザーに対してサービスを提供するモノであると考えています。車両に求められてきた機能ではなく、もっとユーザーを中心とし、ユーザーへサービスを提供する機能ということです。

例えば、二輪車と四輪車とでは信号での待機時はユーザーにとって体験、時間の過ごし方でまったく異なっています。四輪ドライバーは音楽や隣の人と会話を楽しめますが、二輪車ユーザーは信号が青になることを待つのみで、退屈、時間を無駄にしていることになります。二輪車ユーザー特有の環境を考慮してIoVを考える場合、ライダー中心に考える必要があるわけです。ヌードーは我々のミッション『イン・マイ・ハート』実現のための一つです」

──IoVへの今後の投資は。IoV専門の増員も必要になるのでは。

「長時間をかけて我々のいう二輪車メーカーとしての『ライダー中心のIoVとは何か』のビジョンを描きたいです。これまで難題であったのがプラットホームの構築でした。すでに完備された車両のプラットホームであるダッシュボードやスイッチ類、時計がありますが、今後は徐々に機能や技術を追加していくことになります。一番重要なことは今後のプラットホームが構築済みであり、地道にアプリを更新すればユーザーの利便性が拡大するということです。

社内体制については、実はテクニカルパートナーの会社があり、ヌードーはこの会社の社名でもあります」

──米トランプ政権は米国への輸出関税を上げる方針。対応策は。

「我々にとって大きな影響はないと考えています。米国市場の中心は四輪車で、キムコは主にATVやUTVの輸出販売となっています。今後関税が高まれば米国生産を視野に入れていく必要はあると考えます」

画像: KYMCOを世界的ブランドへ

紙面掲載日:2017年4月27日

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