前回まで「ヒト」について書いてきたが、今回は「モノ」のひとつ、店内のこと。

バイクショップは何かと忙しい社長や店長はいつも店の中にいて、「目が慣れて」店内の様々なクセや汚れに気がつかないこともある。反対にお客様は、初めて入った店の印象を覚えて、一度ついたイメージを固定する。お店の印象に清潔感があれば良いが、不潔な印象だと最初のマイナスイメージはなかなか払拭できない。

例えば同じ量、同じ味の料理でも、小皿で大盛りにするのと大皿では印象が大きく異なる。具材を配置換えするなど、工夫ひとつで大きく変わる。店内も同じで、コストをかけずにやり様によって美化できる。

古くなったお店で、とりわけトイレの清潔感は最優先課題ではないか。トイレの入り口がわかりやすく、いろいろなモノが通路に置いてなくて、歩きやすいことが第一。できれば通路もトイレ内も広々感があると理想だ。

さすがに化粧室で、商店などの名前入りタオルを手拭きに使う店はコロナ禍では絶無だろうが。まあ、ここまでは基本中の基本のお話。

たかがトイレ、されどやれることはまだある

トイレの課題として私の思うこと。それは是非、バイクで走りに行きたい!と思わせるシーン、あるいはお客様との笑顔のシーンなどをトイレ内に「厳選・提示する」ことだ。

トイレでバイクを買うか買わないか最終判断の最中のお客様なら、買っていただく武器にするぐらいの意気込みが欲しい。その場で買わない人にも、 トイレで目にするものの印象を良くしておきたい。「ショップ独自の世界観を大事にしているんだ!」というメッセージがあるか。どの店で買っても同じと言わせず、代表者の個性や思いを際立たせたい。

お客様の作品や動画も良い。社長や店長の意識がそこに集約され、変化を楽しみ、アップデートしていくお店=退屈しないお店のアピールこそ重要だ。特に期日期限を決め、展示物のローテーション前提で継続したい。

既製品をポンと置くだけ、同じ映像を長期間流すという安易なことをせず、例えば運転が下手な新米スタッフやお客様がビフォーアフターで「上手くなって楽しい!」というオリジナルな短時間動画を流すなど。

トイレの空間ひとつこそ、まだまだやれることがあるはずだ。

プロフィール

柏秀樹(かしわ・ひでき) 
1954年山口県生まれ。大学院生時に作家の片岡義男と、バイクサウンドをテーマにしたLPを製作。卒業後フリーランスのモータージャーナリストに。各種海外ラリー参戦も含めた経験を活かし、現在「KRS・柏秀樹ライディングスクール」を運営。全国各地で初心者やリターンライダー、二輪車販売店社長・社員の意識・運転技術改善に役立つノウハウ伝授や情報交換をしている。ベストセラーになったライディングDVD他著書多数。

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