川崎重工業(橋本康彦社長)は先ごろ、同社グループの新たな事業方針「グループビジョン2030」を発表。この中で、二輪車をはじめオフロード四輪車、水上バイク、汎用エンジンなどを手がけるモーターサイクル&エンジン(MC&E)カンパニーと鉄道全般を製造する車両カンパニーの各事業部門が2021年10月をめどに分社化するとし、自律的事業経営の徹底とともに、業界内での連携強化も図っていく。また、水素社会実現に向けた取り組みを加速する狙いとして、来年4月の船舶海洋とエネルギー・環境プラント両部門による事業統合も含め、グループ全域にわたる事業の見直しと再構築が強く推し進められる。

このうちMC&E事業分社化については──

自律的事業経営の徹底推進に加え、分社会社への権限移譲により迅速な意思決定体制の下での積極的な展開が可能に。

二輪車やオフロード四輪車など、MC&E部門のパワースポーツ事業は、川崎重工唯一の量産型コンシューマービジネスであり、分社化により意思決定のスピードを向上させる。加えてポストコロナを見据えた新たなライフスタイルの提案など、ユーザーに密着した製品・サービスの提供により、一層強固なブランドを構築する。引き続き、同社グループにおける「Kawasaki」ブランドの牽引役としての役割はこれまでどおり担う。

コロナ禍の影響により足元で低迷する経営状況の改善を引き続き図り、パワースポーツ事業の成長に向け、電動化や先進安全技術などの共同開発および機能部品の共有化などを通じ、業界内での連携を強化し、市場の活性化に努めていく。

一方、汎用エンジンを含む同事業では、精密機械・ロボット事業との連携により、量産型事業における経営資源の融通を進める。また、油圧機器・汎用エンジン事業は業界で高いシェアを持つコアコンポーネントビジネスを展開しており、農機・芝関連市場における連携で競争力を高めていく。さらに両事業の技術のシナジーにより、ロボット技術とビークル技術を組み合わせた先進モビリティの開発を進め、これにより物流分野など新たな事業機会の獲得に取り組む。

これら分社化・統合などを含め事業体制の見直しにより、川崎重工は次の3つのグループで事業運営し、各事業の連携をより効果的なものにしていくという。

 ▼モーションコントロール&モータービークル(精密機械・ロボットカンパニー/MC&E ※新会社)=量産型における経営資源の融通、コアコンポーネントの事業シナジーを目指しながら事業をともに展開する。

▼エネルギー&マリンエンジニアリング(エネルギー・環境プラントカンパニー/船舶海洋カンパニーとの統合)=水素を中心としたエネルギー・船舶海洋エンジニアリング事業を展開する。

▼陸・空輸送システム(航空宇宙システムカンパニー/車両 ※新会社)=安定した品質とコスト競争力をメリットとした航空機・車両事業を推進する。

なお、分社会社の社長は川重本社役員も兼務し、全社のシナジーを図る一方で、権限も移譲し、各業界内での活動も活発化させる。

今後の成長シナリオは、まずモーションコントロールとエネルギーが当面の収益を支え、続いて同社PCR検査事業も拡大貢献し、航空宇宙事業の回復により安定的拡大に。第3段階時には水素をはじめとする新規事業が収益の柱となって安定した成長軌道へ向かう方針を掲げている。また、同社の新たな経営目標として、30年度のグループ連結売上高は2兆5000億円、営業利益率8%を目指す。

画像: 橋本康彦社長

橋本康彦社長

画像: 3つのグループで事業を運営

3つのグループで事業を運営

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