二輪免許取得希望者で予約がいっぱいの自動車教習所。バイク用品も売れ行き好調で、二輪車の販売も動きが良いと言われているコロナ禍の二輪車業界。そんなバイク界で話題性の高い筆頭と言えば「一人キャンプ」だ。

コロナ禍で自宅待機時間が増えた閉塞感の反動とも言えるが、それだけではない。アウトドア関連の動きが良いのはパソコン、スマホによるバーチャルな世界からの脱出も確実にある。SNSなどのネットで知る情報だけではもはや限界。自分の肌で具体的に今を感じる欲求へシフトしている。なので一人キャンプは一過性の流行ではなく、もう少し強い流れにみえる。

アウトドア関連をバイクショップの販売ツールのひとつとするなら、何をどうやるべきか。独自の視点がそこに必要になる。

実際に私のスクールに通いつつ、キャンプを楽しんでいる人は意外に多い。ちゃんと乗ることと、ちゃんとアウトドアをやりたい。その二つから共通するちゃんとこそが、今回のポイントかもしれない。

車ではなく、わざわざバイクで行く。単独で行動し、アウトドアのポイントをきっちり極めたいという、ホンモノ志向のライダーは意外に多いと読む。

テント設営や料理のノウハウなど達人からしっかり学習したいが、自分のことは見せたくない。まして他の人との共同作業は今ひとつ苦手。でも利害関係のない立場の人とコミュニケーションを取りたいという欲求が、潜在的に強いようにもみえる。

コロナ禍だからこそもっと欲しい、人との接点

そこでバイクショップの出番だ。キャンプの場では年齢性別や上下関係はなく、ショップの音頭のもとでの参加だから単純に客として平等に扱われる。アウトドアに関してビギナーであることも皆が承知済み。アウトドアに慣れた人からノウハウを学ぶ楽しさが純粋に得られる。だからお客様はここで低ストレスになる。ならば人と打ち解けられるし、アウトドアのノウハウ習得も自分なりのペースで良い。つまり自由だ。

となればバイクをこのショップで買って良かったとなるかもしれない。モノだけでなく、ノウハウと自分らしさが見つかる。

以上をやるのは容易ではない。だがバイクに限らず、すべてのマーケットはそれだけ複合高度化していることは確か。お客様が手に入れたいのは「モノと同時にコトの本質」ではないか。これぞ「バイクなんてどこで買っても同じ」とは言わせないヒントのひとつかもしれない。

プロフィール

柏秀樹(かしわ・ひでき) 
1954年山口県生まれ。大学院生時に作家の片岡義男と、バイクサウンドをテーマにしたLPを製作。卒業後フリーランスのモータージャーナリストに。各種海外ラリー参戦も含めた経験を活かし、現在「KRS・柏秀樹ライディングスクール」を運営。全国各地で初心者やリターンライダー、二輪車販売店社長・社員の意識・運転技術改善に役立つノウハウ伝授や情報交換をしている。ベストセラーになったライディングDVD他著書多数。

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