スクーターとATVでは欧州各国でもトップ3を争う人気を誇る、台湾の雄・キムコ。その日本法人であるキムコジャパンで2020年6月から舵を取る蔡百誠(さい はくせい)会長は、21年を「20年に引き続きコロナ禍の影響でキャンペーンが思うようにいかなかったものの、我々の営業チーム、そして販売店の皆さんが尽力し、売上は昨年比30%増で着地する見込み」と振り返る。

好調を支えるのは充実したアフターサービス体制。東京都大田区にある同社のパーツセンターには約6万点の部品を常備し、即納率98%を維持している。

画像: 約6万点を常備するパーツセンター

約6万点を常備するパーツセンター

「キムコジャパンのミッションとして掲げているのは、販売店とユーザーに対するサポート。必要なパーツはすぐに供給し、たとえ稀少なパーツであっても台湾から航空便で取り寄せ可能とし、99%のパーツは2週間以内に納品できる体制としている」

新製品については日本市場への投入が2年ほど止まっているものの、21年は台湾で4機種を発表。順次投入を進める。また既に欧州で人気を博している個性派モデル「アローマ150」も22年第1四半期に投入予定だ。

画像: アローマ150。イタリアでは「LIKE」という車名で販売されている

アローマ150。イタリアでは「LIKE」という車名で販売されている

こうした製品攻勢を背景に、22年も続けて30%増を目標としたいところだが、実のところ「厳しいチャレンジ」になると蔡会長は険しい表情を見せる。

「大きな課題が二つある。ひとつは輸送コストの高騰。これは22年も解消のめどが立っていない。もうひとつの課題は円安。何もしなくても15%ほど利益が減っている状態だ(21年11月現在)」

これを踏まえると、やむなく販売価格を上げざるを得ないだろう。「ならば、その代わりに販売店やユーザーに対し、どんなベネフィットが提供できるだろうか……」と、そればかりを考えているという。

販売店については20年が約30店舗増、21年が約40店舗増。現在約180店舗となっている。そのサポートとして当然ながら「いかに利益を上げていただくか」が肝要となるが、22年はホームページのリニューアルに伴い販売店紹介ページを充実させる。より顧客とコミュニケーションが取れるよう、機能を持たせる考えだ。

デジタルマーケティングについては今後も積極的に行っていく。

なお、20年11月に発表した「F9」をはじめとする電動バイクについては、台湾では既に販売中だが、日本ではまだ早いと考えている。

「台湾では、電動バイクの新車を購入するユーザーに補助金が与えられる。充電ステーションの開設にも助成金が下りる。こうした環境が日本にはまだないため、現時点で販売コストを投じることはあまりにもリスクが高い」

つまり機が熟しさえすれば、市場へ投入できる電動二輪車は既にスタンバイしているということだ。

また、これも日本市場では浸透していないものの、四輪バギーモデルのATV/UTVも徐々に伸長してきている。

20年3月には気象庁に小型四輪バギー「MXU150X」を納入。ウェブでの情報発信も今後日本語に対応すべく準備を進めている。

2022年1月1日発行・二輪車新聞新年特別号「輸入車/2021年実績と22年抱負」掲載

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