モータリスト(東京都大田区)は7月15日、軽二輪の250cc2ストロークロードスポーツの受注を開始したと発表した。受注した車両はユーザーの居住地域を鑑みつつ、相応の技術と対応力を備えたディーラーを通じて供給する。
今回、誕生した2ストロークエンジンは最高出力75hp(約76ps)を発生。かつて軽二輪クラスにおいてラインアップされていた、国産ロードスポーツの45psをはるかに上回り、市販レーサーのヤマハ・TZ250(2009年の最終型が93ps)にも迫るものだ。
「搭載する360度同時爆発の90度2軸Vツインエンジンは、アプリリアのGP250マシンに採用された〝ロータックス258〟を手本としたもの。幾多の最新技術を投じて現代の環境規制であるユーロ5に適合し、新型車両として公道を走行する。何とロマンのあることか」
モータリストの野口英康代表の語り口も熱を帯びる。プレミアムな2ストロークロードスポーツの誕生と、同ブランドの正規代理店として取り扱うことに、やはり期するものがある。
エンジンを手掛けるのは、イタリアでフェラーリなどのレーシングカーにパーツを供給する伊・ヴィンス社だ。四輪メーカーのフェラーリでフォーミュラマシンの開発を担当してきたヴィンセンツォ・マッティア氏らが設立したエンジニアリングサービス企業だ。元来二輪車メーカーではないが、自分だけが作り出せるオリジナルマシンを世に出すべく、開発に着手したのだという。
特許も取得するなどして生み出した2ストロークエンジンを、フルカーボンのオリジナルシャシーに搭載した車両は名付けて「ヴィンス ドゥエチンクアンタ」。サーキット専用のコンペティツィオーネ(車体重量102kg)と、公道走行可能なストラーダ(車体重量105kg)をラインアップ。コンペティツィオーネは既に日本で1台売約済みであり、2023年初旬にも納車見込みだ。
また、ヴィンス社が手掛ける2サイクルエンジン100基のうち一部は、英国のランゲン・テクノロジー社に供給される。7020T6アルミニウム合金のパイプフレームに搭載され、「ランゲン ツーストローク」として販売される。車両重量は119kg。こちらも日本ではモータリストが代理店として注文を受け付けている。
『ヴィンス ドゥエチンクアンタ』『ランゲン ツーストローク』いずれも受注後に出荷される。