同講習は「自動二輪車等の運転免許を所持し、運転している高校生に対し、交通安全意識を啓発し、交通社会の一員となる自覚や資質向上を図り、必要な知識および技術を取得させる」を目的としている。参加対象は「運転免許を取得し、自動二輪車等(原動機付自転車または自動二輪車)を所有し運転する生徒」で、「免許取得のみで運転していない生徒」「免許取得予定の生徒」については、希望があれば受講することができる。
主催者には埼玉県教育委員会、共催に埼玉県指定自動車教習所協会、後援に埼玉県警察本部、埼玉県交通安全協会、埼玉県二輪車普及安全協会、埼玉県高等学校安全教育研究会、埼玉県交通安全対策協議会が、そして協力には講習会場となる自動車教習所という体制がとられている。
講習内容は大きく分けて▼講義(座学/45分)=事故違反状況、交通社会の一員としての自覚、交通事故時の対応要領など▼実技講習(1時間30分)=日常点検、乗車姿勢、ブレーキング、コーナリング、バランスなど▼救急救命法(45分)=AEDの使用などの救急救命法など━━の3項目。
講習車両は、生徒が実際に使用している自動二輪車等。受講する生徒は、所有する車両で講習会場に来るか、保護者による搬送などにより来場することになっている。
22年度は全9回・58校が参加、265人が受講
22年度は、埼玉県教育委員会主催の6回▽6月19日・秩父自動車学校▽7月18日・埼玉本庄自動車学校▽7月25日・羽生モータースクール▽8月1日・狭山モータースクール▽8月22日・大宮自動車教習所▽10月16日・秩父中央自動車学校──と、他機関主催による3回▽5月29日・秩父自動車学校(自動二輪車安全運転講習/秩父警察署主催)▽11月5日・埼玉県運転免許センター(グッドライダーミーティング/埼玉県警察本部・埼玉県二輪車普及安全協会主催)▽11月27日・秩父自動車学校(自動二輪車安全運転講習/秩父警察署主催)──の全9回、延べ70校(参加校数58校)・2652人(実技236人・座学29人)の生徒が受講した。
22年8月22日には、大宮自動車教習所(さいたま市)で県教委主催により開催。講習に先立ち開講式が行われ、冒頭、主催者を代表して埼玉県教育局県立学校部保健体育課の担当者があいさつした。
実技講習は、インストラクターとして、埼玉県警女性白バイ隊SKIPを含む白バイ隊員が指導の中心となり進行、埼玉県二普協から派遣された二輪車安全運転推進委員会認定二輪車安全運転指導員らも加わった。
準備体操、車両日常点検、乗車姿勢、運転時の装備(ヘルメット、プロテクター)についての説明が行われた後、SKIPが一本橋やブレーキング、コーナリング、バランスなど各課題の模範走行を披露。この後、生徒たちは各課題に臨み、インストラクターからアドバイスを受けた。
講義では、県警交通部交通総務課による「交通社会の一員としての自覚」と題した交通安全講話を実施。さらに、動画を使って交通センスを身につけるための危険予測トレーニングも行われた。
救急救命法については、大宮自動車教習所のインストラクターによる講習を開催。ダミー人形を使った心肺蘇生(胸部圧迫)の実技体験などが行われ、参加生徒たちは熱心に取り組んだ。
講習終了後には閉講式が実施。埼玉県警交通機動隊白バイ隊員から講評が行われた。
最後に県教育局から、県教委主催開催以外でも参加と見なす他機関による二輪車安全運転講習の紹介も行われ、積極的な参加が促された。
受講生徒アンケート結果概要
講習を受けた感想では▽実践的でよかった▽優しく、細かくアドバイスをしてくれた▽講義が分かりやすくて良かった▽的確に教えてくれて分かりやすかった▽とても勉強になった──など、インストラクターの教え方に対する好評の声が多かった。
また、具体的な実技等での感想を見ると▽急ブレーキの仕方がよく分かった▽ハンドルを固く握りすぎていたことが分かった▽視点を上げて前を見ると運転しやすい▽車両日常点検項目「ブタと燃料」(ブレーキ・タイヤ・灯火類・燃料)は大事▽後方確認の大切さを知った▽いろいろなところに危険が潜んでいることが分かった▽今まで意識できていなかった所に気づくことができた▽危険予測シミュレーションでは危険がたくさんあった▽自分の運転を見直すきっかけになった▽初心を大切にしようと思った▽事故を起こした時の対応を学べてよかった──など、参加したことによる新たな気づきへの手応えがうかがえた。