一字千金

2018-10-05

Vol.26「改めて女性二輪市場開拓へ 縮小する市場を活性化するためにも」

奥井俊史/アンクル・アウルコンサルティング代表

世の中の人口の半数以上は女性である。オートバイマーケットは遺憾ながら縮小の一方である。その割には、女性のバイク市場を「何とかせねばならない」との声はあまり聞こえてはこない。特に、レジャーバイクといわれるセグメントではそうである。かつて、私が米国の二輪車メーカーに在籍の折、1992年頃の日本にはトータル市場に対し、1.2%に過ぎなかった二輪車の女性オーナーの比率を、自社ブランドで女性比率を高めようとして本格的に取り組んだ。

結果的には、10年経過後にやっと全販売台数の8.6%までに女性オーナーを増やせた。しかし、目標としていた10%には任期中に到達できずに終った苦い経験を持っている。

本国の米国でも女性比率は予想外に低く、10%には到達していなかった。商品的にも、そもそもどこをどうすれば女性仕様なのかという、原点すら明確化されたことはなく、女性専用仕様のバイクなるものは、米国、日本ともに設定されていなかった。女性ライダーの多くも、聞く限りでは女性専用車に興味を持っていなかった。

一方、米国の二輪車メーカーの日本市場の場合、販売店の店舗・店頭はストアーデザインプログラムの導入や、女性に向けた多数の施策などで、女性にも好評を得た購買環境を作りだせていた。女性用のライフスタイル関連商品も群を抜いて充実させていた。

かつては販売店で少なかった女性スタッフを必ず採用してもらい、女性客が店舗に気兼ねなく入りやすい環境も整えた。最もファショナブルなオートバイ販売店の店頭を演出した。商品を見やすくし、魅力のある店頭を構成して、女性顧客にも十分に満足して頂けるようにと、考え方を実践展開していった。

こうして、今から20年以上前にはできあがった、全国統一のイメージに改築・改装された店舗は、今でも色あせてはおらず、現在の二輪車業界のイメージ革新にも、大いに貢献できたと考えている。

イベントでも、女性のスタッフだけが関与して運用するレディース専用のイベントや試乗会なども何度も開催した。イベントや試乗会では、提供する飲み物や食べ物も、女性の嗜好を十分に考慮して、有名洋菓子店のケーキも準備した。イベントのプログラムの中でも「安全・安心・信頼」を強く訴求して、女性に好感を抱いてもらえるようにも配慮した。

このような取り組みすべてを含む活動の結果が、継続する米国車ブランドの市場全体の活性化につながったと考えている。改めて今も業界全体として、縮小する市場を活性化、需要を創造するために、今一度、女性マーケットの本格的な拡大を目指して、取り組む必要があるのではないか。

プロフィール

奥井俊史氏 (おくい・としふみ)

1942年大阪府生まれ。65年トヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)入社。75年より東南アジア市場の営業担当し、80年トヨタ北京事務所の初代所長に就任。83年より中近東市場で営業担当。90年にハーレーダビッドソンジャパン入社、91年に同社社長に就任し、19年間に数々の施策を展開し日本での大型二輪市場でトップブランドに育て上げた。09年より現職。