一字千金

2019-02-22

Vol.29「信頼される販売店づくり」(下)

奥井俊史/アンクル・アウルコンサルティング代表

顧客が目にしただけで「信頼を感じる」と確信されるような店舗・店頭づくりを目指し、米国メーカーの法人経営にあたった当時、「ストアーデザイン店舗・店頭」展開に取り組んだ。

ショールームのみならず必ず我々メーカーが指定する充実した機材設備を完備した。同時に国家の検定資格、加えて独自に内定資格を取得したPHD(プロフェッショナルハーレー)サービス工場の併設を義務付けた。店舗は一拠点で〝車両本体・部品・サービス〟を三位一体で実現していることを重視した。

このことでブランドを問わず、当時の二輪車販売店としては圧倒的に高質化した店舗・店頭づくりを推進でき、当時の業界では、革新的店舗づくりに成功した。

メインショールームによる販売環境の高質化にとどまらず、サービス設備の充実、ブランド製品を教材として学んだことで、メカニック資格を取ったブランド専門の専科の学生を、年間40名以上を販売店に供給できるようになった。

2年間をしっかりと我々が提供する教材車両・部品・テキストで学んだ卒業生は、販売店にとっても頼もしいスタッフの供給源となった。この制度を始める前は、一貫してメカニックを育てるシステムはなかった。

一切の環境を一メーカー車のみで学んだメカニックの定期安定的な供給は、信頼される販売店づくりの一つの幹となった。あわせて無償点検の拡大や、有償定期点検の充実・質的向上などの、サービス分野の政策を実行した。

また、初期の頃は、色々な状況から顧客の認識の改善、向上を図るために、顧客自身に参加してもらう「ブランド専門の点検(整備)講習会」を、大きなテントを設営してイベントのつど開催することも、しばらくは続けていた。

少なくともオーナーズマニュアルに掲載されていた修理点検を確実に行えるように、車両搭載工具の充実も図った。さらに、アメリカから車両と同時に出荷されていた車両搭載工具を廃止し、これに対応できる工具のすべてをKTC(京都機械工具)製に替えて充実を図った。

信頼される販売店づくりは、こんな些細なことから始めなければならなかった。今を思うと隔世の感がある。

プロフィール

奥井俊史氏 (おくい・としふみ)

1942年大阪府生まれ。65年トヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)入社。75年より東南アジア市場の営業担当し、80年トヨタ北京事務所の初代所長に就任。83年より中近東市場で営業担当。90年にハーレーダビッドソンジャパン入社、91年に同社社長に就任し、19年間に数々の施策を展開し日本での大型二輪市場でトップブランドに育て上げた。09年より現職。