考えるリーダー/Interview インタビュー

2018-10-05

活動の手応え、充分ある(上)

大村直幸会長

原付車、再度〝使える乗り物〟へ

問題噛み砕かないと前進できない

着任以来、額に汗を流し精力的に全国を飛び回る全国オートバイ協同組合連合会(AJ)の大村直幸会長。約1年半が経過し、二輪車の利用環境改善に向けたAJのこれまでの活動実績を「もしAJがなかったら」と題し全国各地で訴え、AJ活動の二輪車販売店での理解を求めてきた。7月半ば大村会長は本紙の取材に応じ、活動への理解の進捗やAT小型限定普通二輪免許の取得緩和、今後の活動での注力などについて述べた。

――販売店にAJ活動の理解、組合加入を勧めてきたが、手応えは。

「各単組の組合員に対して活動の強化を中心に取り組んできた。非組合員の販売店に対しては、現状ではまだ訴えが届いているとはいえないと思う。組合員の中にも本当に理解している人は少ない。そう感じる理由として、組合員それぞれの事情はあるが、AJの様々な事業や活動に参加してもらえていない方もいることが挙げられる。

とはいえ手応えは正直いってある。中でも新設組合の加盟店は、現在の二輪車環境に危機感を募らせAJ活動を勉強する組合員もおり、そうした組合の会合に出向き活動の話をすることで結束が深まっている。そうした熱心な組合員が、組合がない地域の販売店に働きかけてくれるなど、手応えを感じる。こうしたことで非組合員へも活動の理解が深まっていくことに期待できると思う。販売店での危機感は、(改善への)いい意味で良い状況にあると思う」

――AT小型限定普通二輪車免許取得の講習が最短2日間になった。業界への効果と影響は。 

「最短2日間の技能講習が決定したが、ゴールは、この制度を利用してより多くの方が免許を取得すること。ただ、自動車教習所が2日間の講習を実施するのかが課題であり、強制もできない。教習所の動向は、警察庁にも調査をお願いしており、今度、各党のオートバイ議員連盟等でも、ゴールへの道筋を話すことになっている。このこと(免許取得改定)をやるにも10年以上の月日がかかっている。何よりも良かったのは、警察庁が理解し動いてくれたということは大変大きいステップであり、ご尽力に感謝と敬意を表したい。

ゴールに向けては、2日間の講習を希望するユーザーをどうやってたくさん創出できるかというところになる。警察庁からも教習所に向けた働きかけを願いたいが、二輪車業界全体で需要を作る努力が必要だ。関係媒体もこの件を取り上げてもらい、我々も各方面へ働きかけていきたい。ターゲットは現二輪ユーザーではなく、普通自動車免許の保有者、取得予定者。そこに訴求が必要ということ。教習所も採算を見込めなければ2日間講習はやらないし、導入してもやめてしまうこともある。

他に我々がやってきたこと、引き続き一番やらねばならないこととして、駐車違反取り締まりへの対応がある。取り締り強化以降、二輪車が〝使えない乗り物〟として認識されてしまい、取締り強化後、原付車を中心に(二輪車市場は)半分になった。取り締まり強化の本来の目的は、四輪車の対応であったはずで、本来の目的に沿って、二輪車の取り締まりを止めれば、原付車などは国民にとって〝使える乗り物〟に戻すことができる。イコール売れるということにつながる。これが大きな(二輪車市場)拡大につながると信じている。少なくとも同等の効果が得られる施策が他にあるだろうか。

新車販売100万台の課題もあるが、市場で126cc以上を見ると過去より販売台数は大きくは変わっていない。減少したのは主に原付車だ。原付車を拡大させるしかない。そのためには二輪車の駐車違反取り締まりの解除や駐輪場拡大などを含む125cc以下の利活用を推進し、のろしを上げてそこに向けそれぞれの立場で具体的に取り組むことが最も近道だと思う。それを行わなければ市場回復はできないといっても過言ではない。

2020年の環境規制対応や50ccは日本だけの製品、という事情もメーカーの製品構成にあらわれているようだ。これは125ccの車両も同じで、アジアでは150cc以上が主要な車両区分になっている。125ccもガラパゴスと言われる日がすぐにきてしまう。排出ガスの規制値だけが世界基準調和の名のもとにユーロ5に合わせることとなっている、免許制度や高速料金、駐輪等の利用環境は世界基準に合っているのかが大いに疑問だ。

最小のコミューターとして125cc以下の二輪車を利活用することが都市部の環境負荷を減らすという観点で、しっかり議論をしなければならない。二輪車業界が一丸となって同じ目標で動いているわけなので、それぞれの立場、様々なしがらみや遠慮などがあるだろうが、それらを抑えてストレートに表現をすることが大切だと思う。

また、普通自動車免許取得者が50ccに乗る場合は、講習しなくても乗れるが、原付一種免許から取得する場合は、講習を受けなければ取得できない。こんなバカな話はない。国民は同じ条件で同じライセンスを取得できるはずなのに、一方で講習あり、その一方では講習なしということは、全くあり得ない話だ。講習についての現状は、講習が必要か否かの真摯な議論がなされたのか疑問である。
様々な過去の経緯があって現状がある。だから未来は正直、嘘はつかないと思う」

――AJ埼玉は高校生への交通教育に注力。AJとしての交通教育への取り組みは。

「私の若い時は学校で三ない運動があり二輪車の免許取得は禁止であった。しかし一部の者は免許を取得し乗っていたのも事実。〝それでも乗りたい〟と若者に思わせるような取り組みが必要で、何より魅力ある商品作りや価格設定は消費者に受け入れられてはじめて達成できたことになる。今は高校で免許を取得してもいいといわれても、若者が二輪車を欲するとは限らないし、親としてみれば確かに心配だろう。私自身、二輪車は安全が担保された乗り物だとは思っていない。ただ自分でリスクを理解し操り楽しんで気を付けることだ。

昨今は高齢者に免許返納というキャンペーンも行われているが、地方では原付車を中心にたくさんの高齢者が利用している。こうした高齢者の日常の足を取り上げるようなことが、人の生き方なのかと、私はいつも自問自答している。自分の意志で動くことがいいことで、それを助けるのが二輪車でもあり、その二輪車が今、4メーカーの母国日本で絶滅危惧種にあることに非常に問題を感じる。

都会にも高齢者の移動が問題となるこうしたケースはあるが、駐輪できる場所がなければ、手軽な移動手段として役立つはずの二輪車が全く活用できない。警察庁や国家公安委員会より各都道府県に向けて、二輪車の駐車違反取り締まりと駐輪場の状況の調査の通達が出ている。こうしたことも将来に向けて、しっかり結果を追跡し対応していきたい。

問題は一度噛み砕かないと、なかなか前には進まない。駐輪の問題は、規制強化の前に立ち戻り、二輪車は駐車の取り締まりから除外されていた、そうした当時の事実があったことを改めて認識し、そこから始めないと課題を整理したことにならない。そうした話を関係者と一緒に調整しながら取り組まねばならない。未来は正直。今やらねば、やらなかった未来がきっとくる」

紙面掲載日:201810月5日