業界人/Interview インタビュー

2019-09-06

海外旅行者にバイクツアー

松崎一成社長

二輪知識薄く、旅行大手も参入せず

安全・サービス分野全般で活動海外からの旅行者拡大を背景に、二輪車業界ではバイクを使った観光ツアーサービスの事業を本格的に始めた会社がある。㈱キズキ(松崎一成社長)は全国展開するバイクレンタルサービスの強みを活かし、バイクを使ったツアー会社MOTO TOURS JAPAN(株)(以下MTJ)を2016年11月に設立。海外からの観光ライダーにバイクツアーならではの日本の文化、地域の人の心に触れてもらえるプランを提供する。


昨今、海外からのインバウンド消費は、日本文化の体験などの「コト」に移りつつある。日本では日本政府が進める観光立国としての日本という社会風潮も高まりつつある。こうした背景からキズキは3年前にMTJを設立し準備を経て今年本格的に始動したという。

だが、もともと計画していたわけではなく「自然発生的にバイクのツアー会社の開設に至った」と松崎社長はいう。同社の母体は二輪車販売店だ。松崎社長は「最終的にユーザーがバイクを購入し、楽しんでもらう」ために何ができるのかを常に考えてきたと強調。この一環でバイクに接する機会、敷居を低くするため、13年前にレンタルサービスの『レンタルバイク819(バイク)』を開始し、全国展開を進めてきた。多くの販売店がツーリングイベントを計画するように、キズキでも車両販売事業では、北海道ツーリングなどを計画。当時は旅行事業の意識はなく、自身が北海道ツーリングに行きたいがために、レンタル事業では千歳空港店を真っ先に開設したと明かす。日本ではツーリングはあってもツアーという考えはなかったという。ただ5、6年前より海外からの旅行者がレンタルバイクを借りたいという需要は増え、北米の旅行会社からもレンタル予約の契約の話が舞い込んできていた。

だがバイクツアー事業は当時、気づかなかったという。松崎社長がバイクツアー事業を意識、気づいたのは約3年前と振り返る。「欧州でバイクのツアー会社の存在を認識し日本にはない」と気づいたという。オーストリアに行った時にバイクを借りた会社は、レンタルバイク会社と思っていたが実はツアー会社であったことも、日本と海外との「バイクの利用の深さの違い」を知らされたなどという。

そうした中でバイクレンタル事業では海外からの旅行者が増え、貸し出す機会も増加。これに伴いバイクの貸し出しだけにとどまらず、次第にアテンダントやサポートバン、ホテルの手配などの依頼内容、提供するサービスが拡大したという。一方で8年前より参画してきた能登半島での「昇龍道バイクツアー」では、石川県のハーレー正規ディーラーが台湾から客が来日し車両を用意したいことから、レンタルバイク加盟の依頼を受けるなど、海外からの旅行者へ車両を貸し出す依頼が増えた。

こうした多数の事柄で「レンタル事業とツアー事業を組み合わせ本格的に事業として考えた」として、松崎社長は新たなバイクツアー業へ踏み込んだという。今年2月には世界最大手のレンタルバイク会社の米イーグルライダー社とキズキ、MTJで包括提携し日本でのバイクツアーの業務を本格的に開始した。

なぜこれまで旅行会社大手がバイクツアーに手を付けてこなかったのか。松崎社長はバイク業界での流通、サービスなどの知識が旅行会社にないことや、顧客の安全面を指摘する。逆に同社が旅行業の知識を学び、体制の準備に時間を要したという。現在MTJでは旅行業の知識ある人材や海外からのスタッフも多く働く。

全国約140拠点にある「レンタル819」事業を基礎に、MTJでは海外からの個人や団体の旅行者にバイクレンタルサービスの利用、バイクならではの観光地や日本の日常に触れるツアーのアテンドサポート、また日本のライダーが海外でバイクによる観光が楽しめるツアーサービスの提供を行う。

このほかに官民連携事業で、行政・地方自治体と協力し戦略的な訪日プロモーション活動も実施。アジアからの旅行者の拡大のほかに今後は、欧米豪からの旅行者拡大に取り組んでいるという。この一環でバイク先進地域の欧米豪からの旅行者にバイクツアーを積極的に提供していく考えで、同社ではバイクツアーの需要に期待を寄せている。


バイクツアー業への期待を語る松崎一成社長

紙面掲載日:2019年9月6日