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2019-06-28

2019トライアル日本GP ボウが両日を完全制覇 2日目はオールクリーン達成

「2019FIMトライアル世界選手権第2戦ストライダー日本グランプリ」(主催=日本モーターサイクルスポーツ協会、モビリティランド)が6月8日、9日、栃木県・ツインリンクもてぎで開催された。ツインリンクもてぎでのトライアル世界選手権の開催は今回で20回目。関東地方の梅雨入りも発表され、好天の昨年とは違い、予選の7日、決勝1日目の8日は雨に見舞われるなど選手、観客にも厳しいコンディションとなった。2日間の来場者数は1万5600人(1日目7000人、2日目8600人)。

トライアル世界選手権は、2019年は全7戦が開催され、日本での開催は第2戦で、シリーズ中唯一の決勝日が2回ある開催となる。最高峰のトライアルGPクラスをはじめ多くのクラスがあるが、日本GPではトライアルGP、トライアル2、125、トライアルGPウーマンの4つのクラスが開催され、女子クラスはこのもてぎがシリーズ開幕戦となった。GPクラスでは昨年12連覇という壮大な記録を達成し今年もチャンピオンとして同選手権に挑むのがT・ボウ(モンテサ)。ボウ選手は今年の開幕戦のイタリア大会も制し、昨年は怪我の影響などもあり優勝は果たせなかった日本GPにコンディションも良く臨んでいた。

雨模様となった7日の予選では同じ減点数のなかでセクションを周ったタイムが速い順で競われたが、ボウ選手は2ラップ目に岩から落下するなど3位に。予選トップとなったのは2ラップともに減点0でまとめたA・ラガ(TRRS)がつけた。2位にJ・ダビル(Beta)。昨年の日本GP1日目優勝のJ・ファハルド(GasGas)は6位。昨年の2日目優勝のJ・ブストは今年からヴェルティゴに移籍し参戦も1ラップ目で転倒などあり、予選は11位。GPクラスには日本人ライダー4人が参戦。世界選手権参戦が今年で24年目となる藤波貴久(モンテサ)は10位、全日本チャンピオンの小川友幸(ホンダ)が9位、黒山健一(ヤマハ)が12位、野崎史高(ヤマハ)が13位だった。

トライアルはいかに足をつかずに各セクションをクリアしていくかを競うスポーツで、そのセクションで、足つき1回が減点1、2回で2となり、3回以上は何度ついても3だが、マシンの停止、転倒、逆行などは減点5となる。決勝は15あるセクションを1日で2周し、最も減点が少ないライダーが優勝となる。また、各ラップには制限時間が設けられており、それをオーバーしても減点が課される。

決勝1日目となる8日は朝は雨もなく、競技スタートの9時には薄日も差すような天候となる。スタート台の横に今年は第1セクションが設けられ、各ライダー減点0=クリーンでクリアが多くみられるが、山間部のセクションに入ると前日までの雨でぬかるんだ路面などの影響か減点が増えだす。そんな中でも王者ボウは強さをみせ、ボウのみが減点1でぬけた5セクションや、ボウのみがクリーンとした同13などチャンピオンらしい走りで、1ラップ目は減点21のトップで折り返す。2位には予選トップのラガが減点38、3位には地元日本で奮闘を見せる藤波が減点40でつけていた。

雨の止んでいたもてぎだが午後には再び雨が降り出す。これで、各セクションのコンディションはさらに悪化。ぬかるんだ路面はグリップが悪く、急坂がある最終15セクションなどでは転倒で減点5となったライダーが、次のセクションへ移動しようにもマインダーの助けを借りても、マシンを外に出せないような状況となっていた。しかし、ボウは全ライダー中最も少ない減点26で2ラップ目をまとめ、タイムによる減点も含めトータル48と2位に20ポイント以上も差をつけ1日目優勝を果たした。

2位には減点71でラガ。1ラップ目を3位で終えていた藤波は最終15セクションを減点1で抜けトータル75の暫定4位で初日を終える。暫定3位だったダビルは最終15セクションで減点2を喫し、藤波の逆転を許し、藤波は地元日本で表彰台登壇を果たした。

GPウーマンクラスは悪天候のなか2位に25ポイント以上をつける強さをみせた世界チャンピオンE・ブリストウ(シェルコ)が昨年に続き優勝した。

2日目となる9日は朝から雨もなく、ドライコンディションで開催された。上位陣はコンディションの上がった各セクションでクリーンを連発。1日目優勝のボウ、同2位のラガに続き、F・カドレック(TRRS)が第10セクションまで0を並べる。11セクションでカドレックが1を、続く12セクションでラガが5、カドレックは12セクションを2、その後では5の減点を連発し、ラガも減点を重ねるなど崩れていく。そんななかボウはクリーンを続け、オールクリーンで1ラップ目を終える強さを見せる。1ラップ目は減点16と終盤に崩れたラガに対し、最終第15セクションをクリーンするなどミスがあるなかでも立て直す走りをみせた藤波が1ラップ目終了時には減点15で2位につける。

しかし、藤波は2ラップ目の4セクションで減点5を喫してしまい、ライバルたちがクリーンで抜け、順位を落とす。だが、このままで終わらないのが今回の藤波で、以降、7セクションで減点2となる以外はクリーンを続け、じわじわと順位を上げ12セクション終了時でダビルに次ぐ4位につける。前日も最後に藤波に逆転を許したダビルだったが、13、14セクションと連続で減点5を喫し後退。同14をクリーンした藤波は3位表彰台を手中にし、最後の15セクションに突入。地元日本の大勢の観客が見上げるなか、渾身のクリーンを達成。2日連続で表彰台登壇となる3位に入った。

2位には2ラップ目で大きく立て直し、僅か減点4と1ラップ目の4分の1という減点の少なさでまとめトータル減点20のラガが1日目に続き入った。

1ラップ目をクリーンで終えたボウは、なんと最終セクションに到達するまでもノーミス、オールクリーンという驚異の走りを披露。13セクションはボウ以外のライダーはほとんどが減点5を喫するなど、他ライダーが攻略できないところもクリーンで抜け、2ラップ目もオールクリーンという次元の違いを感じさせるボウの走り。ライバルとの駆け引きなどでなく、自力のみで考えうる最高の結果となる「足を着かずゴールすれば減点0」という明快だが極めて難しい結果を実現しつつあるボウ。優勝だけでなく、ノーミスで完走するというめったにない光景を観客に披露する。最終15セクションに入り、ひとつ、ふたつと水の流れる段差を上り、大きな難所も足をつかず、セクション中腹に達したボウは、途中ウイリーと身振りで観客をあおる余裕まで見せる。そのまま最後の坂を走り切り大きくエアターンでゴール。オールクリーンで優勝という圧倒的な強さで今年のもてぎを制覇した。オールクリーンでの優勝は2010年のポルトガルGPでボウが達成して以来となる。

女子は前日優勝のE・ブリストウがやはり強さをみせ、トータル減点17と2位の40に対して圧倒的なスコアで優勝を果たし、昨年に続いて、もてぎの日本GPを完全制覇した。同クラスに参戦の全日本トライアルレディースクラス3年連続チャンピオンの西村亜弥(Beta)は両日ともに9位となった。

上位ライダーコメント
▼トライアルGPクラス1日目、2日目優勝=T・ボウ
「完璧な走りができて、素晴らしい週末だった。ホンダのホームで勝つことができたのも本当に嬉しい。自分にとって2010年以来2度目のオールクリーン。今回はウェットコンディションだったので1度目の時より難しかったけど、達成することができた。周りのライダーもどんどん上手くなり、若いライダーたちもライバルになり得る。一戦一戦大切にチャンピオンの座をキープしたい」

▼トライアルGPクラス1日目、2日目2位=A・ラガ
「まだシーズン序盤ではあるが、今年は調子もよく、良い結果を残せるような感覚がある。もてぎはコースもセクションも、とても素晴らしい。雨も降ったが、全体的にはいい環境で楽しく進められた。2日目は1ラップ目の後半でミスが続いてしまったが、2ラップ目で調子を取り戻させ、ライディングにも2位という結果にも満足している。僕のキャリアにおいても重要な週末になった」

▼トライアルGPクラス1日目、2日目3位=藤波貴久
「日本GPは僕にとっても特別で、開催20年目の年に2日間とも表彰台に上ることができて本当に嬉しい。もてぎ独特のコースは僕にとって得意なパターンになったと思う。2日目はかなり厳しいレースだったけど、皆さんの声援で達成することができた。自分のライダー人生をいかに長く続けられるかは成績次第なので、皆さんの応援の力を取り入れて、常に優勝を狙える位置を目指したい」

▼トライアルGPウーマンクラス1日目、2日目優勝=E・ブリストウ
「初戦に向けて色々と準備してきて、今年も昨年と同じように日本GPでシーズンのスタートを勝利で飾ることができて嬉しい。14番セクションなどとても難しいコースもあって最後まで気は抜けなかったけど、パーフェクトな走りをすることができた。自分の成績もすごく誇りに思う。これからもまだまだ成長できると思っているので、この調子で走ることを楽しみながら頑張っていきたい」


チャンピオンの強さを存分にみせたT・ボウ。2日目はオールクリーンを達成


両日とも2位と安定した強さをみせたA・ラガ


地元日本で2日連続で3位表彰台を獲得した藤波貴久


昨年に続き日本GPを制したE・ブリストウ


全日本女子チャンピオンの西村亜弥は両日ともに9位

紙面掲載日:2019年6月28日