QJモータージャパン取締役専務執行役員 西 浩二氏
人気車SRV400VSの説明をする西氏。入社以来30年以上、輸入二輪・四輪車のセールスを務めてきた
◆西 浩二氏プロフィール 1992年バルコムモータース入社。BMWセールスからスタートし輸入車の二輪・四輪各ブランドの営業責任者などを務めた後、2024年8月から現職。1967年2月生まれ。58歳。
──東京モーターサイクルショーでは多くの車両を展示。全国から多くの販売店が訪れたと聞きました。
「まずは技術的なアピールよりQJモーターというブランドを知ってもらうために多くの車両を展示しました。同社はバイクメーカーとして40年以上の歴史があり、現在は150の国や地域に展開し、ラインアップも小型から大型排気量まであり、カテゴリーも豊富です。また、会期中はインフルエンサーを活用してステージから発信してもらう試みも行いました」
「販売店様も全国の有力販売店10社以上に立ち寄っていただき、その後販売店契約を結んだところもありました」
──ジャパン設立のきっかけは。
「当社は中国でも各種のビジネスを手がけていますが、紹介による縁で日本での販売を担うことになりました。2024年に法人登記を行い、今年2月に車両を輸入して販売に向けて稼働しました。もうひとつ、当社が輸入元として選ばれた理由ですが、国内で二輪・四輪ともに長年輸入車販売店を運営してきた実績があったというのと、QJモーターはサービス体制を重視しており、日本への導入前に同社の経営陣が当社の販売店を訪れてサービス工場の広さや施設などを確認していました。その時に体制が整っていると評価していただいております」
──バルコムモータースといえば、日本法人が立ち上がる前に自ら輸入二輪車を国内に導入してきた実績があります。今回もそうした知見を活かしたのか。
「インポーター業務を行っていたのは30年以上前のことなので、過去のノウハウはほとんどない状況です。初めてと言っても過言ではありません。ただ、品質には相当こだわりました。初期に輸入した車両は国内で販売するには相応しくない品質でした。QJモーターに『これでは日本で販売できない』と強く抗議をし、何度も商品を送り返しました。本国には日本人の技術者が在籍しているのですが、当社には中国語のできる人材を配置して、写真撮影やチャットを利用して情報共有していきました」
「おかげで国産車に負けない品質があると自負しております」
自社で開梱し、品質管理と購入者への即納体制整える
「従来の輸入二輪車は、本国から送られてきた車両の開梱を販売店で行っていましたが、当社がその作業を担っております。開梱することで品質を直接確認できるのと、販売店側の作業を省略することで、すぐにお客様へ納車できる体制を整えております。アフターサービスも充実させていきます」
「専用診断機も用意しており、Wi-Fiで日本語にも対応。価格は4.5万円で、サービスマニュアルも日本語化を進めています」
──人気モデルや今後導入される車両は。
「現在、125~250ccのモデルを導入しており、クルーザー機種のSRV250が売上げトップですが、AT機種のSRV250Aも伸びています。AT限定免許で乗れて足つき性が良く、何より変速が滑らかなのが人気です。減速も自動でシフトダウンし、停止時は1速まで落としてくれる。マニュアル操作も可能で、車両価格もお求めやすい価格に設定しています」
「純正アクセサリーも人気です。キャンペーンを利用すると、サイドバッグは左右セット2万円で購入できます。純正アパレルも人気で、日本向けにセレクトしています。アパレルは女性ユーザーに人気なんですよ」
今春開催の東京モーターサイクルショーでは初出展で18台を展示した
「モーターサイクルショーで展示したVツイン搭載のクルーザー機種SRV400VSも人気です。同イベントでも展示した4気筒のスーパースポーツSRK400RSもまもなく販売します。ちなみに本国だと421cc(SRK450RR)なので『日本は400cc未満で出してほしい』と話したところ、数カ月で量産モデルを出してきました。事業のスピード感には驚かされます」
「125ccのオフロード機種も予定しています。公道走行も出来る本格的なモデルで、来年から拡充していく方向です。600~800ccといった大型排気量モデルの投入も挑戦し、総合ブランドとしてラインアップを強化していきます」
「今期の目標は控えめですが、来期は年間計画で販売していきます。一方、純正パーツの供給は、消耗部品は全て在庫しており、オイルフィルターといったパーツは即日出荷しています。消耗品以外の保証パーツについては、本国から航空便や船便を使って手配し、緊急性の高い場合は在庫車から流用する手段も整えております」
「店頭での販売価格は、競合車と比べて十分価格競争力があると認識しています。なので、値引きする販売店様はほとんどありません」
26年には80店舗へ 年間販売1000台超目指す
──今後の販売店に向けた施策は。
「営業担当者は私を含めて現在3人。ほか、アフターサービスの責任者と業務全体を統括する責任者を置いて少数で運営しています。販売店様への営業も全国各地に行脚しておりますが、紹介も多いので並行して動いています。一部の大型量販店様では店舗限定のショップコーナー(店舗の一部が銘柄専門)を展開していただいています」
「SNSを使ったPRにも注力しています。ただ、ジャパンではなく販売店様が主体です。本国で製作した動画を販売店様にお渡しすることで、店舗オリジナルのPRに仕上がっています。皆様がアップした動画を見るとクリエイティブで本当に感心しています。販売店契約一号店である広島県尾道市のQJMOTORおのみちしまなみ店様はSNSやインスタグラム等を使った発信力が強く、集客はもちろん販売台数も伸ばしていますね」
「車両のカスタムも進めています。有力カスタムショップのトライジャ様(大阪府柏原市、岡本佳之代表取締役社長)とタッグを組み、外装パーツから拡充していきます。来年には周辺パーツも増やしていく方向です」
「現在の店舗は直営店舗を含め40店。26年には80店舗を目指しておりますがQJブランドを育てるのが先なので、じっくりと進めていきます。中・長期的には年間1000台以上の販売台数を目標にしています。新規のユーザーを開拓するのは我々の役割です。今後も魅力的な車両を揃えて、全国の二輪車販売店さんの力になっていきます」