お客様とのダイレクトなつながりを
昔のバイク屋さんといえば、いろんなライダーが集まってワイワイ仲良く盛り上がっていたというイメージです。これを今の時代に再現するのは、容易ではありません。少子高齢化が顕著になり、しかも楽しいバイク情報やバイク以外の情報が溢れている現在では「バイク絡みの集客は簡単ではない」となります。
新車販売主体のお店、修理主体のお店、中古車主体のお店、ネット主体のお店などいろいろ複合した形態があるかと思いますが、ショップとお客様、あるいはお客様同士の交流が希薄になっているとしたらそれはとても残念。バイクの世界だからこそ、その接点=絆をより確かにできないか、と案じております。そこでご提案したいのはお客様とのダイレクトなつながりです。
レブルやエリミネーターなどのクルーザー系、クラシカルなレトロ系、ビッグオフ系、125cc以下の原付バイク、あるいはビクスクと言われる大型スクーターなど、それぞれのセグメントに絞り込んだムーブメントは確実に起きています。そこに主役として、あるいはサポート役としてもっと積極的に入っていくのです。バイクを売るだけでなくこのジャンルのバイクが、具体的にこのバイクが、という括りです。
惚れてしまえばアバタもエクボとなるバイクですが、例えばセンタースタンドがかけやすいバイクだとしたら、そこを褒めちぎる。逆に重すぎるとか扱いに困っていたら、解決策を一緒に探る。もちろんセンタースタンドはひとつの例えです。すべてのバイクで美点と欠点をカバーすることはできませんが、人気機種に絞れば具体的に“ショップの集まりと同じように、人との繋がりを生み出しやすい”わけです。
ジャンルや機種を絞ったイベントは各地で開催されていますが、そこへ行く段取りだけでも良いし、小規模であっても機種やジャンルを絞り込んだショップイベントを開催しながら、大きなイベントへとつなげていくのも大事かと思います。
バイクを売る、修理するという立場を離れて、純粋にバイクファンとしてお客様と同じ時間を共有するのです。忙しくても楽しめてこその仕事とも言えるし、価値ある生きた情報収集にもなります。
商品知識は大事ですが、バイクライフをより豊かに楽しむための専門性を一気に高めるため、特定バイクの熱烈なファンになりつつ、お客様とその楽しさを今まで以上に色濃く共有する。感動をセットにしてこそ、信頼が増すのではないでしょうか。
どこで買ってもバイクショップは同じ、とは絶対に言わせない取り組みの一例になればと願っています。
プロフィール
柏 秀樹(かしわ・ひでき)
1954年山口県生まれ。大学院生時に作家の片岡義男と、バイクサウンドをテーマにしたLPを製作。卒業後フリーランスのモータージャーナリストに。各種海外ラリー参戦も含めた経験を活かし、現在「KRS・柏秀樹ライディングスクール」を運営。全国各地で初心者やリターンライダー、二輪車販売店社長・社員に、安全意識・運転技術改善に役立つノウハウ伝授をしている。ベストセラーになったライディングDVD他著書多数。