バイクライダーにとっても辛い、酷暑の季節がやってきました。それでも暑さに負けず、元気にオートバイを走らせているバイカーたちを見かけると、私まで元気になります。

と言いつつ私事で申し訳ありませんが、つい先日やってしまいました。エルボーガード以外は完璧装備でしたが雑草に隠れた障害物により転倒してヒジを打撲。オフロードエリア内でしたが装備していない時に限ってやってしまう、まさにアルアルの典型。ゆっくり走れば大丈夫!という夏の暑さのせいで読みが甘かったと反省しています。

夏といえばTシャツに短パン姿のライダーを見かけますが、私は怖くてできません。皮膚の炎症や体調不良だけでなく、蜂に刺されて緊急事態になるケースもあります。

つい先日、私は短パンでバイクを車に積み込む時に足がマフラーに触れて軽度の火傷をしたばかりです。車内でやけどは人生初。ヒジの打撲にやけど。些細なミスが続くことも夏の暑さのせいにしたくなります。

夏の峠道特有の「ヒヤリ」、みなさんにも覚えがあると思います。ひとつは滑るアスファルト路面です。直射日光による高温で路面がガムのように柔らかくなり、コーナリング中に前輪がスリップ。素早く足を出して、たまたま運良く態勢を持ち直すことができました。特にコンクリート路面の亀裂に使ったタールがクセモノです。

もうひとつは路上までせり出した雑草と木の枝です。昔も今も変わらずに夏は雑草の成長が早く、対向車の発見が遅れます。センターラインのない細い峠道ではさらに先が見えにくくなります。大雨や台風一過で大木が道を塞いでいたり、砂利が浮いていたり。やはり、走行ペースを確実にダウンさせる判断力と実行力が大事ですね。

観光地周辺も要注意です。道路の真ん中にクルマを停めて、記念写真を撮っているファミリーカー。家族団欒の夏休みだから気持ちはわかりますがカーブの途中、しかも登り勾配で「何でそこで撮影!」と叫びたくなります。

「絶景ポイント=誰かがその先で撮影中」と推測して急ブレーキ&確実な足着きを考えた走りをするしかないですよね。

暑い夏こそホッとする思いやりを

また、夏の風物詩のひとつと言えば夕立です。軽く雨に濡れるなら、澱んだ空気が透き通り、体もクールダウンして、かえって気持ちが良かったりします。しかし、近年多いのはゲリラ豪雨。これは本当に洒落になりません。走行中に鉄砲水が道路脇から飛び出てくることがありました。クルマでも押し流されそうな強い流れは、バイクではまさに恐怖です。

強い雨の中は無理に走らず、雷が発生したらその光と音の時間差が小さくなる前に、早め早めの雨宿り。無理せず次の段取りを考えるぐらいの余裕が大事です。

以上は、過去から現在まで、真夏の走行時に実際に起きたエピソードです。これを事例に皆様の経験を加味して、ショップに来られるお客様のために「夏ならではの安全快適の要点」をわかりやすくまとめてみるのはいかがでしょうか。暑い夏こそホッとする思いやり。夏でも元気に走るお客様を思う気持ちが、きっと伝わると思います。

プロフィール

柏 秀樹(かしわ・ひでき) 
1954年山口県生まれ。大学院生時に作家の片岡義男と、バイクサウンドをテーマにしたLPを製作。卒業後フリーランスのモータージャーナリストに。各種海外ラリー参戦も含めた経験を活かし、現在「KRS・柏秀樹ライディングスクール」を運営。全国各地で初心者やリターンライダー、二輪車販売店社長・社員に、安全意識・運転技術改善に役立つノウハウ伝授をしている。ベストセラーになったライディングDVD他著書多数。