国土交通省は7月2日、全国の高速道路への乗り入れをETC(自動料金収受システム)搭載車専用にする検討を開始した。新型コロナウイルス感染症対策で浮上してきたもので、ETC専用化することで現金レーンを廃止し、不特定多数と接触する高速道路職員の感染を防ぐ。今後、導入手順や既成目標時期などロードマップを策定し料金所のETC専用化を進める。

社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会によると、高速道路会社職員の137人にPCR検査を実施したところ、35人が陽性と判明した。このうち現金の受け渡しなど、不特定多数の利用者との接触が想定される料金所や休憩施設のスタッフ11人が感染していた。高速道路会社は、利用者へ注意喚起を行うとともに、料金所のETC専用運用への切り替えや店舗の営業休止などを実施した。

ETC利用率は約93%となっているが、ETC専用化に向けて必要な対応や課題が山積する。非ETC車をETC車に誘導するため環境整備が必要で、車載器助成やETCパーソナルカードの保証金の大幅な引き下げなども検討する。

非ETC車が誤って高速道路に進入した場合、事後に料金を徴収するシステム、料金の設定も必要だ。ただ、二輪車と軽自動車は、高速道路会社から直接車籍照会ができず、弁護士会照会制などを利用する必要があり、コストと時間が課題だ。今後、課題を整理、検証して利用者の混乱が起こらないようにETC利用率の高い路線から段階的に導入し、拡大するとしている。

2015年に国土交通省が実施した調査では、二輪車のETC利用率は79%で、四輪車と合わせたETC利用率約89%を10㌽下回っている。

19年12月末現在の二輪車(軽二輪と小型二輪)の保有台数は372万3089台。19年の二輪車の販売台数(新車と中古車)は34万8302台で、ETCセットアップ台数は17万6532台という状況だ。高速道路のETC専用化の実施には、特に二輪車への台数制限のない助成制度など環境整備が課題となっている。

二輪車への行政の対応は、これまで後回しにされてきた経緯がある。初回の車検期間の延長では、自家用乗用車は1983年に実施されたが、二輪車は24年後の07年。ハイウェイカードが廃止されてETC導入は、四輪車が01年に対し、二輪車は4年後の05年。06年に放置駐車車両取り締まりが強化され、自転車駐車場、自動車駐車場への二輪車の受け入れといった二輪車駐車場整備が進まないまま、見切り発車された経緯がある。

画像: 高速道路の現金レーンを廃止し、ETC専用化を検討

高速道路の現金レーンを廃止し、ETC専用化を検討

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