2021年のバイクシーズン到来に向け、ホンダモーターサイクルジャパン(以下HMJ)は、オンラインイベントの「Honda Motorcycleフェス2021(ホンダモーターサイクルフェス2021)」を2月20日(土)より一般公開する。
これは、コロナ禍で昨年同様各モーターサイクルショーをはじめ、二輪車関連のイベントが中止・延期となる中、ライダーのライフスタイルやカルチャーにスポットをあて、「バイク乗りは、自由に、自分らしく生きている」をコンセプトに、その魅力を訴求するもの。
配信に先立ちHMJの室岡克博社長は報道関係者に向け「コロナのストレスを吹き飛ばす元気と、国内二輪の明るい未来を世の中に発信したい」と呼びかけた上で、「ライダーの生き方の多様性や魅力に触れられる、新しいオンラインイベントにしたい」と力強くメッセージを発信した。あいさつの概要は以下の通り。
日本にバイク文化を定着させる
ホンダに入社以来30余年、二輪畑を歩いてきた。
国内での二輪事業はもとより、シンガポール、タイ、インドなどのアジア各国で二輪市場の拡大など二輪事業に携わる仕事をし、HMJに赴任する前は次のポテンシャル市場のアフリカ・ナイジェリアで市場開拓の仕事をしてきた。
国内はご存知の通り、バイクユーザーは少子高齢化に伴い、平均年齢は上がり続け需要は減少し続けている。今後、若い人たちにバイクに興味関心を持ち乗って頂かないと、このままでは日本の二輪車文化を構築し、発展させることが困難となっていく。
先代もこの課題にチャレンジしてきたが、なお一層、志を新たにし国内市場を開拓する決意だ。
私自身バイクが好きで、暇を見つけてはバイクに乗り、業務でもできるだけ試乗を兼ねてバイクに乗って出向いている。若年層にも是非この素晴らしいパーソナルモビリティに安全に乗ってもらいたいとの思いで業務に専心している。
私事だが、3人の息子は私がバイクに乗る姿を見て育ち、当然のことのように3人ともバイクの免許を取得した。三男とは親子で東京から熊本までツーリングしたし、次男は社会人になった今も、友達とバイクでキャンプに行く。バイク乗りが私1人から4人に増え、今度は息子たちの子供が乗るようになれば、加速度的に若年層のバイク乗りが増えていく。
バイクに乗るということが親から子へ、子から孫へ、友人から友人へ、先輩から後輩へと連綿と当たり前のように引き継がれていく。そして、多彩なカテゴリーのバイクを経験しながら、年齢ともにステップアップし、年齢やライフスタイルとともに、増車やダウンサイジングなど、生涯現役の思いでバイクを楽しむ──このようなライフスタイルを日本で創り上げたい。日本は成熟市場だからこそ、欧州のようにバイク文化を定着させたいと考えている。
ライダーの生き方の多様性や魅力を発信
今回の「ホンダモーターサイクルフェス2021」は単なるバイク紹介イベントではなく、バイク文化を発信するイベントを目指した。既存のお客様はもちろんのこと、今バイクに乗っていない人にとっても、バイク生活を始めるきっかけとなるようエンターテインメント性を持たせながら、オンライン開催での特性やSNSを活用し、バイクがある生活の楽しさと利便性を発信し、イベントを盛り上げていく。
コンセプトは「バイク乗りは、自由に、自分らしく生きている」とした。
ミレニアル世代の約7割がブランド価値よりパーソナライズを重視し、ブランド価値よりも自分に合った等身大のものが欲しい、個性を大切にしたいと考えている。
多様性を是とする風潮は、生活や働き方にまで広がっている。このような時代において、まさに、バイク乗りは自由に、多様な価値観や多様性を認め合いながら、自分らしく生きるライダーを標榜している。
以上の事から、ライダー自身やそのライフスタイル・カルチャーにスポットをあて、ライダーの生き方の多様性や魅力に触れられる、新しい発信イベントにしたい。
求めるのは「量の創造」と「質の進化」
2021年はホンダ国内二輪にとって、中期計画の中間年となる。
国内二輪市場全体を見ると、市場はここ3年間、最大ボリュームゾーンである原付一種の減少傾向に変わりはなく、20年は、総需要36万6000台・前年比101%という状況の中、ホンダは17万8000台・前年比101・9%と、原付二種や軽二輪を中心に新機種を投入することで30代の若年層と、60歳前後の活動的なアクティブ・シニアの方々に興味・関心を頂いたことにより、需要を底支えする事が出来た。今後も若年層を中心に魅力ある商品と、多様な価値観に応える高品位なサービスを提供していきたい。
18年にスタートした「ホンダコミューター」と「ホンダドリーム」の新販売網についても、お客様から認知、ご支持頂く事が出来た。現在、50ccから250ccクラスの商品を中心に信頼のサービスを提供し、地域や生活に密着したホンダコミューターは全国で約4500拠点。多様化するお客様ニーズや、価値観に応え、ライフスタイルの提案や高品位なサービスを提供するホンダドリームは、認定ベースで165拠点となっており、21年3月末迄に170拠点を計画している。
17年から19年の3年間でホンダは「商品・販売網・販売フロントオペレーション」の3つを変革する事により、質の向上による量の拡大を目指してきた。量については、販売網の拡充やホンダらしい個性的なモデルを投入する事により拡大を実現。質については、お客様ニーズに合わせた対応力・コミュニケーション力の強化によるお客様満足度の向上に結び付ける事が出来たと考えている。
今中期3年間においても、ビジネスの質と量の二つを追求する事に変化はないが、「量については創造、質については進化」を求めていく。
この目標は、この2チャネルの販売店様と共に、質の追求にチャレンジし、お客様に満足と喜びを提供し続けることで、国内二輪市場の健全で持続的な発展を目指していく。
この健全で持続的な発展のカギは、昨今の若年層の二輪免許の取得増加や、原付二種・軽二輪の若年層のお客様の増加を、一過性にすることなく、モデルのステップアップや、多彩なカテゴリーを経験して頂くなど、国内二輪市場全体を将来にわたり活性化・拡大させたいと考えている。
バイクレンタルサービスを拡大
「量の創造」の一環として、商品や技術というハードについては、今後も継続的に魅力ある商品を投入していくのはもちろんの事、国内二輪市場の活性化施策として、新規若年層に、二輪車を「もっと気軽に、もっと身近に」をキーワードに、二輪車に触れて、乗れる機会の拡大を目指し、ご協賛いただいたホンダコミューターとホンダドリームの2チャネルの販売店の皆様と共に「Honda GOバイクレンタル」を昨年4月よりスタートした。
現在、二輪免許保有者の内、二輪車を所有していない人が43%もいる。二輪車の利便性や楽しさといった魅力は、十分にご理解頂き免許を取得したものの、費用面などでの理由から二輪車を所有しない人が多くいる。
Honda GOバイクレンタルは、こうしたネガを払拭し、特に若年層・ミレニアル世代に二輪車のリアルな体験をして頂く事を目指し、昨年よりスタートした。国内最大級のバイクレンタルサービスを構築し、今後も順次拡大していく。
Honda GOバイクレンタルは、現在、加盟店舗数は全国約260店、会員数も3万人を超え、加盟店ではさまざまなモデルを用意し、購入車種選択のためや、ツーリングにと様々なシーンに対応している。
また、一昨年大ヒットしたアニメーション映画「天気の子」に登場するピンクのスーパーカブを再現したモデルや、PCXエレクトリックなどのEV車もレンタル車両として準備し、特に若年層に楽しんで頂いている。
今後も加盟店を順次拡大し、バイクに触れて乗れる機会の拡大を目指し、稼働率を上げていく。
さらに、二輪市場活性化プロジェクト「Honda GO」の一環として、2月19日に発表を予定しているが、スマートフォンを所有するすべての二輪ユーザーを対象に、便利で快適なバイクライフをサポートするアプリの無償サービスを3月中旬より開始予定だ。
利用環境改善への積極的な取り組
ホンダは、二輪車のリーディングカンパニーとして、お客様が将来にわたり、「安心・安全・便利」に、二輪車にお乗りいただく事を目指し、二輪車の「利用環境改善」と「安全運転普及活動」という課題に継続的に取り組んでいる。
都市部での駐車インフラの整備・拡充、高速道路の二輪車料金の独立化などの利用環境の改善と、混合交通での安全運転活動やマナーアップの啓蒙はもとより、今後は、高校生の三ない運動の実質的な撤廃を目標に、早期の安全運転教育への協力に向けた「安全運転講習」などを、各業界団体や行政と一体となり、より積極的に取り組んでいく。
また、企業文化のモータースポーツ活動について、今後も全日本選手権に継続し取り組んでいく。
20年は、全日本ロードレース選手権で初開催のST1000クラスで、「日本郵便Honda Dream TP」の高橋裕紀選手が初代チャンピオン、全日本モトクロス選手権では「Honda Dream Racing Bells」の山本鯨選手が IA1クラスで、2年連続3回目のチャンピオンを獲得。全日本トライアル選手権では、「TEAM MITANI Honda」の小川友幸選手がIASクラスで、8年連続10回目のチャンピオンを獲得した。今年は、すべてのカテゴリーでチャンピオンを目指していく。
コロナが終息した暁には、会場に足をお運び頂き、全日本選手権に参戦するライダーへご声援頂ければ幸いだ。
ホンダは今後も、販売店の皆様や各業界団体と一体となり、二輪車の楽しさや利便性をお客様に提供し、国内二輪市場の活性化を目指すとともに、お客様の喜び・憧れに繋がるブランドへと昇華させていきたい。