ライディング測定後に、フィードバックシートを提供
同システムを実際に報道陣に体感してもらおうと、4月9日、千葉県野田市の清水公園を会場にプレス体感会が開催された。
冒頭、ヤマハ発動機販売の石井謙司社長があいさつ。コロナ禍において二輪車の利便性や価値が見直され良い流れが出来ていることを踏まえ、「原付二種以上の二輪車販売が好調で、免許取得者も増加傾向にある。しかし新たな層が入ってくる一方で、二輪車乗車中の死亡事故者数は対前年比で約3%増えている。特に20代、30代のビギナーが目立つ」と問題点を指摘。
「せっかくバイクの世界に入ってきてくれたのに、やりきれない思いがする。メーカーとして何か貢献できないかと、今回発表するYRFSの開発を進めてきた。この新システムを、YRAの新たなコンテンツとして導入することにより、初心者のライディングテクニック向上に役立てたい。末永くバイクを楽しんでもらうことで、生涯顧客化を進めたい」と述べた。
今回発表された「YRFS」は、車両の位置・速度のデータを簡易デバイス(GPSロガー)で取得し、走行時の加速・減速と旋回を可視化するシステム。レッスン開始直後と終了時に参加者の走行状況を計測。後日、「加速・減速(メリハリのある速度調整)」と「コーナリング(適正な旋回速度」を直感的に理解できるよう独自開発ソフトで表したグラフに、旋回時の乗車姿勢画像も添えられたフィードバックシートを受講者に送付する。
その際、お手本となるインストラクターの走行データおよび旋回時の写真と、現地での指導とデータ分析に基づき浮き彫りとなった受講生の課題や改善点が記載された個別アドバイスも添えられる。
このことでライダーは、受講後も手元のフィードバックシートを見ることで、自身の改善ポイントを振り返ることが出来る。
「直感的に理解できる」
ヤマハ発動機先進システム開発部・品川晃徳氏
「受講者が基本に忠実な走りが出来るよう、指導員はアドバイスをしている。そのアドバイスの理解を深めることが出来ないかと考えた。同時に仰々しい装置でなく、シンプルで分かりやすいものを作りたいと開発してきた。
結果、車両に1個GPSロガーを取り付けるスタイルが完成した。後日受講者に送付するフィードバックシートの表現も、操作量・車両挙動とタイミングが直感的に理解できるグラフとした。初心者向けという、YRAの特徴を生かすシステムが出来上がったと思う」
「笑顔の証&通知表」
ヤマハ発動機カスタマーエクスペリエンス事業部・南雲修一氏
「見やすくわかりやすいシステムが出来上がった。ライディングテクニックにおいて、わかっているつもりだが自分ではなかなか気が付かないことも多い。シンプルな形だが、自分の入力操作を把握できることは、通知表のようにいつでも見ることが出来るので効果的。しかもスクールに参加してライディングテクニックが向上し、笑顔で帰ったという証が出来る。
YRAは海外展開もしているが、今後インストラクタースキルを向上させるツールとしても使っていきたい」
2021年からの「YRA(ヤマハライディングアカデミー)」に導入
ヤマハでは以前から各種安全運転普及活動を実施しているが、YRAは、主に初心者や免許を取得したものの運転に自信のないライダーやリターンライダーを中心に、ライディングの基本をレクチャーするもの。
二輪車を所有していない人でも参加できるよう、車両や装備も用意し、講師陣にはヤマハレーシングで活躍したライダーらを起用している。2020年は世界18カ国で3353回開催し、6万6947人が受講した。
また、公道走行に不安を持つ参加者のために、会場内で基本レッスンを行った後に、一般公道を使ったツーリングに出かけるコースやオフロードレッスン、さらに限定レッスンとして二世代限定・女性限定・若者限定のレッスンも実施している。
21年は以下の日程でYRFS導入のYRAが予定されている。
▼5月15日(土)=福岡市立ヨットハーバー(福岡県福岡市)
▼6月12日(土)=京都府交通安全協会自動車練習場(京都府京都市)
▼6月13日(日)=ネスタリゾート神戸(兵庫県三木市)
https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/yra/