国内二輪車・四輪車メーカーおよび国内外の二輪車・四輪車を構成する部品/材料の最先端技術を一堂に紹介する日本最大規模の自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展2022横浜」(自動車技術会主催)が、5月25日から27日までの3日間にわたり、パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催された。新型コロナウイルス感染症予防対策徹底の上で3年ぶりのリアル開催が実現した今回は、電動化技術など2050年カーボンニュートラル達成に向けた多彩な技術が紹介。484社が出展(オンラインのみ出展27社を含めると511社)、4件の世界初公開と18件の日本初公開を含む最新の自動車技術が披露され、盛況となった。リアル会場の入場者数は4万3665人(開催日別内訳=25日1万2597人/26日1万4187人/27日1万6881人)だった。
画像: 展示会場の様子

展示会場の様子

4万3665人が来場
オンラインは2年連続、初のハイブリッド開催に

この展示会は、二輪・四輪産業の第一線で活躍するエンジニアや研究者らのための技術専門展示会で、官公庁・民間研究機関の研究者・技術者、大学・工業高校専門学校の教職員や学生はもちろん、一般の人までと幅広い来場者で賑わう。学生にとっては就職先を探すための場、そして出展者にとっても優秀な人材にアピールする場としても、重要な位置づけとなっている。

1992年に第1回が開催。20年は新型コロナ感染予防の観点から開催が中止、21年はオンラインのみの開催となり、リアル開催としては今回で29回目、オンライン開催を含めると今回が30回目となる。

感染予防対策が徹底された上で、出展者と来場者が対面での活発なコミュニケーションが図られた。前年に引き続きオンラインでも行われ、初のハイブリッド開催となった。なお、6月29日から7月1日にかけては、今年で5回目の「人とくるまのテクノロジー展2022名古屋」がポートメッセなごや(愛知県名古屋市)で開かれた。

横浜会場初日の25日にはプレスアワーが開催。主催者を代表してあいさつした自動車技術会(自技会)展示会企画会議の葛巻清吾議長は「今年の横浜展示会は、484社の出展者様とともに開催できる運びとなった。昨年より実施しているオンライン展示会も同時開催しており、ここにいる484社の皆様に加え27社の方に出展して頂いている。自技会としてはこの展示会を、自動車・モビリティ技術の将来を支えるため、人と知をつなぐ場ととらえ、交流のための重要なイベントと考えている。ぜひこの3年ぶりのリアルな展示会を存分に堪能して頂きたい」などと述べた上で、開会宣言を行った。

二輪関係企業もカーボンニュートラルへの技術紹介

同展示会は二輪車関連製品の出展も毎回あり、今回は国内二輪車メーカーからは本田技研工業とスズキの2社が、二輪車関連製品メーカーからも注目製品が多数紹介され、注目を集めた。

二輪車の国内メーカーも毎年ブースを出展。本田技研工業は今回、2050年の「カーボンニュートラル」と「交通事故死者ゼロ」という新たな目標達成に向けた最新技術を紹介。

カーボンニュートラルへの取り組みとしては、着脱式可搬バッテリー「ホンダモバイルパワーパックイー」活用事例を紹介。▼同バッテリーと、それを活用し、バッテリーの長寿命化に貢献するバッテリーシェアリング技術▼同バッテリーを動力源に使用したビジネス用電動三輪スクーター「ジャイロキャノピーイー」▼同バッテリーを使用し、高品質な電気を供給するバッテリー着脱式ハイパワーポータブル電源「ホンダパワーポッドイー・プロトタイプ」──を紹介した。

また、水素社会実現に向けたFC(燃料電池)の本格普及を目指し、安価で高耐久性を実現した次世代FCシステムと、それを用いた多用途展開も紹介した。

交通事故死ゼロへの取り組みとしては、▼ホンダセンシング=自らぶつからない先進安全技術の進化と、その技術の普及拡大による安全・安心な車社会へのホンダの取り組み▼安全・安心ネットワーク技術=ネットワーク技術の活用により、すべての交通参加者と共存できる安全社会の実現を目指すホンダの取り組み▼二輪姿勢制御技術「ライディングアシスト」=バランス安定化制御とライダー・マシン協調制御により、二輪車の持つ潜在的リスクである「転倒」への不安を軽減する技術──を紹介した。

画像: 「ホンダモバイルパワーパックイー」のバッテリーシェアリング技術(右)と同バッテリー着脱式ハイパワーポータブル電源「ホンダパワーポッドイー・プロトタイプ」も紹介

「ホンダモバイルパワーパックイー」のバッテリーシェアリング技術(右)と同バッテリー着脱式ハイパワーポータブル電源「ホンダパワーポッドイー・プロトタイプ」も紹介

画像: 「ホンダモバイルパワーパックイー」を動力源に使用したビジネス用電動三輪スクーター「ジャイロキャノピーイー」

「ホンダモバイルパワーパックイー」を動力源に使用したビジネス用電動三輪スクーター「ジャイロキャノピーイー」

画像: ホンダが紹介した二輪姿勢制御技術「ライディングアシスト」。スタッフが地面に足を着かなくても倒れない状態を説明

ホンダが紹介した二輪姿勢制御技術「ライディングアシスト」。スタッフが地面に足を着かなくても倒れない状態を説明

スズキは今回、二輪車では、ストリートバイクの大型二輪車GSX−S1000をベースに、ツーリング性能を高めた全く新しいコンセプトのスポーツツアラーとして開発した「GSX−S1000GT」を展示。電子制御システムS.I.R.S.(スズキ・インテリジェント・ライド・システム)や、スズキ初となるスマートフォン連携機能付きの大画面フルカラーTFT液晶メーター等を採用するなど、日常での扱いやすさと長距離ツーリングでの快適性や高速安定性を追求したものとなっている。

画像: スズキは電子制御システムS.I.R.Sなどの技術を採用した「GSX−S1000GT」を展示

スズキは電子制御システムS.I.R.Sなどの技術を採用した「GSX−S1000GT」を展示

日本特殊陶業が出展したNGK/NTKブースでは、内燃機関の燃費向上やエミッション低減、さらに長年の歴史で培ったセラミックス技術を活用した次世代自動車向けの製品など、様々な形でクルマ社会に貢献する製品を展示。二輪車用センサでは、小型ジルコニア酸素センサと積層型酸素センサを紹介した。

画像: 日本特殊陶業が出展したNGK/NTKブース。二輪車用センサでは小型ジルコニア酸素センサと積層型酸素センサを展示

日本特殊陶業が出展したNGK/NTKブース。二輪車用センサでは小型ジルコニア酸素センサと積層型酸素センサを展示

日本精機は、"Your safety Our delight 安全で安心な車社会の為のHMI"をテーマに、高性能・利便性の高いヘッドアップディスプレイや車載計器、センサを紹介。二輪車用ではセンサやTFTディスプレイのメーターを展示した。

画像: 日本精機は二輪車用では、TFTディスプレイのメーターやセンサを展示

日本精機は二輪車用では、TFTディスプレイのメーターやセンサを展示

画像: 日本精機のハヤブサ用メーター

日本精機のハヤブサ用メーター

エフ・シー・シーは、2050年カーボンニュートラル達成に向け、電動化に貢献する同社のコア技術、高機能シートの最新技術を紹介。二輪車用では、開発中の駆動用モータを出力別に展示した。

エクセディは、これまでの自社が培った技術で開発したHEVダンパーなどのハイブリッド車用製品や、ワイドレンジドライブシステムなどの電気自動車用製品、ドローン用モータなどの新製品を展示。二輪車用では、ライディングサポートクラッチや湿式クラッチディスクなどを紹介した。

東京アールアンドデーグループはCASEを意識した製品・サービスを紹介。ブース内では、サステナブルな社会実現のための製品の軽量化と材料の省エネルギー化を狙った天然繊維の軽量化ソリューションについての紹介の中で、麻を使った二輪車用フェンダーが展示された。

画像: 東京アールアンドデーはグループ会社と共同出展。ブースには日本ハイドロシステム工業が天然素材(麻)を使った二輪車用フェンダーを展示

東京アールアンドデーはグループ会社と共同出展。ブースには日本ハイドロシステム工業が天然素材(麻)を使った二輪車用フェンダーを展示

振動、衝撃試験をはじめとする各種信頼性試験装置や計測解析機器を取り扱うエア・ブラウンは、先進運転支援システムのための複雑な試験シナリオや各種の自動車安全テストを実施するためのシステム「フリーボード」(自由走行プラットフォーム)を紹介。専用のソフトウェアにより、横断シナリオ、追従シナリオや複雑な交差点シナリオなど、様々なテストシナリオの設定が可能だという。

画像: エア・ブラウンは自動車安全テストを実施するためのシステム「フリーボード」(自由走行プラットフォーム)を紹介

エア・ブラウンは自動車安全テストを実施するためのシステム「フリーボード」(自由走行プラットフォーム)を紹介

This article is a sponsored article by
''.