ホンダは5月16日、ツインリンクもてぎ(栃木県芳賀郡)内にあるホンダコレクションホールで、貴重な歴代カブを実際に報道陣に乗ってもらう体験試乗会を開催した。これは、今年スーパーカブシリーズの世界生産累計台数が1億台に達する予定であり、ホンダコレクションホールがあるツインリンクもてぎが開業20周年を迎えることから、これまでのメディアへの感謝の気持ちを込めて開催されたもの。

現在、ホンダコレクションホールには二輪、四輪の歴代市販車やレーサーなど数多くの所蔵車両が展示されている。カブについてもこれまで止まっている状態での取材は数多くされているが、今回初の試みとして、歴史的車両である1950~60年代の初期カブシリーズに実際に試乗できる準備を整え、その歩みと技術の進化を、二輪車関連ジャーナリストらに体験してもらう機会を作った。

普段から、ホンダコレクションホールの展示車両は動態保存が基本であり、修復やメンテナンスが行われているが、今回試乗車となったカブ号F型は特に貴重な1台であり、これまで関係者でもテスト走行することができなかったモデルだという。

その貴重なカブに実際に試乗できるとあって、当日は23社のメディアが訪れた。事前に1台ずつ車両説明とギアチェンジの方法などについてブリーフィングが行われ、用意された6台のカブに順次試乗した。

当日走行したマシンの維持管理を担当したホンダテクノフォートの橋本省二氏は「カブ号F型のような旧い車両はこまめに様子を見ないとコンディションが保てない。ただ倉庫に置いていてはダメになってしまう。エンジンをかけて実際に走らせないと。動くからこそ当時の技術を確認することができる。今回のような機会は車両にとっても良いことであり、参加した皆さんが楽しそうに乗っているのを見るのは喜びだ」と、目を細めていた。

また、関係者からは、「歴史車両の動態保存は、世界中の二輪車製造メーカーの中でも、これまでホンダだけがやり続けてきたことであり、当然これからもやり続けること」「(二輪車開発の仕事をしている)自分達もこのような貴重な体験はなかなか持てない。今回の試乗で気がつく点が数多くあった。カブシリーズの、つまりはホンダ車の進化がよく分かる」と語っていたように、ホンダマンから見てもホンダの歴史車両は、日本の二輪車産業の歴史において貴重な財産であり、その中でもカブシリーズは偉大な存在であることが伝わってきた。

当日の参加者は、数々の挑戦から生まれた技術進化を体感すると同時に、二輪車がエンジンの力で動くというシンプルな喜びと、人を乗せて動くことの楽しさを再認識していたようだ。

「今回はカブシリーズというレジャー感のある名車を皆さんに楽しんで乗ってもらえたと思う(本田技研広報部高山氏)」とのことだが、今後も機会があればCBやベンリイシリーズでも体験試乗会を企画してくれることを期待したい。

今回用意された走行車両は次のとおり。

▼カブ号F型(1952)

補助エンジン付き自転車がメインだった時代に斬新なルックスと拡販戦略で、一世を風靡したモデル。カブの歴史はここからスタートした。

▼スーパーカブC100(1960)

当時2ストローク全盛のなか、耐久性や低燃費、扱いやすさなどから4ストロークエンジンを採用。この当時から基本的スタイルを変えることなく、世界各国で現在まで生産され続けている。

▼スーパーカブC50(1967)

スーパーカブC100から8年目、新設計OHCエンジンに変更し、劇的と言えるほどの進化を見せた。

▼ポートカブC240(1962)

より大衆向けに開発され装備も簡素化。変速は2段のみにするなどさらに扱いやすく、しかも低価格を実現。

▼90トレイルCT200(1964)

スーパーカブのトレイルモデル。アメリカ市場へ向け細部を変更。

▼スポーツカブC110(1960)

当時のWGPレーサーRC系の吸排気技術により高出力を確保。スポーティな走りを予感させる外観と手動クラッチ採用で大人気に。

画像: 6台のカブが用意された。右からスーパーカブC100、スポーツカブC110、ポートカブC240、カブ号F型、90トレイルCT200、スーパーカブC50

6台のカブが用意された。右からスーパーカブC100、スポーツカブC110、ポートカブC240、カブ号F型、90トレイルCT200、スーパーカブC50

画像: 初の試みとなる歴史車両であるカブ号F型の試乗会

初の試みとなる歴史車両であるカブ号F型の試乗会

画像: 今回のカブシリーズの整備にあたったホンダテクノフォートの橋本氏㊨と亀田氏

今回のカブシリーズの整備にあたったホンダテクノフォートの橋本氏㊨と亀田氏

紙面掲載日:2017年6月9日

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