二輪車用品店を展開するナップス(神奈川県横浜市)は、今年2回目となる「ナップスライディングスクール」を4月15日、東京都世田谷区の多摩川河川敷にある、警視庁白バイ訓練所で開催した。ビギナー向けのライディングスクールで、当日は警視庁女性白バイ隊「クイーンスターズ」が指導にあたった。

ナップスではこれまでにもビギナー向けのスクールを数多く開催してきたが、今年より、全国で日本二輪車普及安全協会(二普協)が行っている「グッドライダミーティング」などを参考に、初心者や若い層などのライトユーザー、リターンライダーなどの運転に自信のない人を対象としながらスクールとして大きくリニューアルし、参加料金は当日の保険代(200円)のみという、ほぼ無料でのスクール開催を実現した。18歳以上の人で、50cc以上のオートバイであれば参加できるが、胸部プロテクターの着用が必須となっている。なお、貸し出しの胸部プロテクターも若干用意される。今年はあと6回の開催が予定されている。

関係者によると、ユーザーに安心してオートバイライフを楽しんでもらうためにスクールを開催しているが、運転に自信のない人、若者や、スクール未経験の人にも気軽に参加してもらえるよう実質無料の開催に踏み切ったそうで、二輪車のスキルアップをしてもらいプロテクターの普及もあわせて、より安全に安心してオートバイライフを送ってもらいたいとしている。

第1回は3月20日に神奈川県の日吉自動車学校で開催。今回の第2回は定員40名のところに、150名以上の応募があったそうで、参加者は抽選で絞られた。

会場となった白バイ訓練所は、警視庁の白バイ隊員が走行技能などを訓練する場所で、「白バイの聖地」とされており、通常では入ることもできない場所となるが、参加者が集まりだした頃には、クイーンスターズの隊員も白バイで登場し、受付時の車両の誘導など、笑顔で対応していた。

参加者の車両は原付二種から大型までと様々だったが、年代も大学生などの若年層から中高年層まで幅広く、また、相当な数の女性も参加していた。これは用品店主催による効果とも思われた。

スクールは準備体操から始まり、車両点検、乗車姿勢の説明などを経て、白バイ先導による慣熟走行から各種実技講習に移った。

白バイ隊の制動実演の後、制動訓練が開始。休憩をはさみ2班に分かれてのコーススラローム、一本橋、千鳥走行、パイロンスラロームと参加者は繰り返し訓練を行った。

平均して160㎝弱と思われる身長ながら1300ccの白バイを姿勢も乱さず、着座位置も変えることなく自在に寝かしこみ、歩くような低速でも乱れず、そして穏やかに停止する各女性白バイ隊員達。彼女たちの走行をみていると、まさにバイクは力だけで乗るものではないというのを理解させるもので、ねじ伏せるのではなく「操る」のそれであり、この訓練所で相当な修練を積んだことを実感させていた。今度はその〝聖地〟で、自信のないビギナーライダー達に指導しているわけだが、今日の参加者達が難しいと感じていることは、彼女たちがその昔に克服してきたことともいえ、できない人の気持ちに沿ったアドバイスを一人ひとりに身振り手振りで送り、少しでも上達が見られたときには「そうです、オッケーです」と笑顔で声をかけていた。聞けば、白バイの車両は全車、シート高やハンドルの形状などは同じなのだそうだ。隊員により体格の違いなどあるにもかかわらず、全員が同じ仕様の車両を乗りこなす技量を習得しているのである。指導を終えた隊員の一人は「今日、何か一つでも持ち帰っていくものがあればと思う。これを機会に安全運転の意識も高めてもらいたい。私どもはほかにもスクールを開催しているので、取り締まりなどでなく、スクールなどでまたお会いしたい」と語っていた。

スクール終了後には、ナップススタッフによる胸部プロテクターに関する説明や、エアバッグジャケットの実演が行われた。現在、事故の際の死亡原因で頭部に次いで腹部・胸部が2位となっている状況ながら、胸部プロテクターの着用状況は全体で7%程という。ナップスでは各店舗にプロテクターコーナーを設け普及に努めているが、今回のスクール受講で発行される受講証を店舗で提示すればプロテクターの購入代金の1割が割引されるキャンペーンも行っている。

▼参加者の声

▽大学4年生男性(千葉)

「免許は去年の11月ぐらいに取った。よく行くナップスの店員の方に勧められて、千葉から2時間かけて来た。ゆくゆくはジムカーナ競技とかに挑戦してみたいと思っているのでスキルを磨きたくて参加した。他のライディングスクールにも行ったが、ここは他のところに比べて場所が広くて、伸び伸びと練習できた。また、白バイの人たちと走れるのは貴重だと思った」

▽20代後半女性(埼玉)

「家から会場まで2時間ぐらいかかった。免許を取って1年半程で、普段は近場を走るぐらい。今日は初めてバイクで都内を走った。モトクロス車に乗っているので足着きに不安があったのと、知らない道を走るときに基礎ができてないと危ないと思って参加した。今日はやりたいと思っていたブレーキの練習がたくさんできてよかった。自分のバイクで急制動とかをやったことがなかったのですごく新鮮だった。客観視しないと分からないこととかが色々学べたので、かなり満足している」

▽54歳男性(埼玉)

「去年の12月に免許を取ったが、まだまだツーリングみたいに人に合わせて走ることができないので、特に基礎練習をしたいと思い参加した。練習できる場所もなかなかないので、すごく良い機会だと思った。高校生の頃にギア付きの原付に乗っていたが、そのときとは感覚が違い、特に低速走行に不安があった。渋滞も多いのでちょろちょろ走るときにバランスが難しいので、そこを克服すればうまく走れるかなと思って。止まるときのニーグリップをしっかりなど、アドバイスが参考になった」

画像: 参加者とクイーンスターズとで記念撮影

参加者とクイーンスターズとで記念撮影

画像: 講習の様子

講習の様子

画像: エアバッグ式プロテクターの実演

エアバッグ式プロテクターの実演

紙面掲載日:2017年5月19日

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