ホンダコレクションホールが今年で開館20周年を迎え、数多くの車両を用意した特別走行会「ホンダコレクションホール開館20周年記念市販製品特別走行」が7月16日、ツインリンクもてぎ南コースで盛大に開催された。これまでの走行とは異なり、60台もの市販製品を集めたもので、ゲストライダー/ドライバーに伊藤真一さん、高橋裕紀選手、宮城光、道上龍選手、小暮卓史選手が招かれ、往年の名車を運転し、往時の姿、サウンドが披露された。
二輪では自転車に補助エンジンをつけたモデルで、最初のホンダ製品となる「Modela」(1947年)、「CUB F」(52年)、後に1億台のヒットとなるカブシリーズのさきがけ「Super Cub C100」(58年) 、多摩テックの遊具だった「MONKEY Z100」(61年)、元祖〝ナナハン〟「DREAM CB 750FOUR」(69年)、〝ラッタッタ〟で親しまれた「ROAD PAL」(76年)、直列6気筒エンジン搭載「CBX」(79年)、ターボエンジン搭載「CX650 Turbo」(83年)、「NSR50」(87年)、「VFR750(RC30)」(87年)、楕円ピストン採用「NR」(92年)、「CB1000SUPER FOUR」(92年)、「GoldWingGL1800」(01年)、「DN-01」(08年)など多くの車両が快調な姿を見せ、最後は公道仕様のモトGPマシン「RC213V-S」(15年)まで、多種多様なモデルがその走りを披露した。四輪では「T360」(63年)、「S500」(64年)、「S800」(66年)、「N360」(67年)、「VamosHonda」(70年)、「LIFE」(71年)、「CIVIC CVCC」(73年)、「NSX」(90年)などが走行した。
これらの製品の並ぶ姿を見るだけでも、ホンダの各製品の個性とバラエティの豊かな面が、高い訴求力をもって体感できる今回のイベントとなったが、所蔵モデルの整備などを行っているホンダテクノフォートの橋本省二さんは「昔の車両なので、テストで良くても本番で調子が悪いなんてこともある。今回は台数も多いし、今日は気温も高く昔のキャブレターのモデルなどでは調子を崩すこともあるかもしれない。でも飾って置いておくのでなく、みんなに動かして見せられるというのがいい。こういう機会はとても嬉しいことです」と語っていた。
見学者の熱中症も懸念されるような炎天下、気温の高いアスファルト上という走行コースとなったが、どの車両も元気な走りを披露。走れなくなった車両は一台もなく、日頃の橋本氏らの努力と技術が〝無事終了〟という形で証明されるものとなった。試乗を終えたゲストライダーからも「どれも良く走る、全く問題がなかった。とても楽しかったし、ホンダ製品の一貫したものが感じられた」(伊藤真さん)の声が出るほどであった。
走行は伊藤真一さんが跨るモデルAからスタート。ライディングウェアにヘルメット、グローブ、シューズという出で立ちで、モデルAのペダルを漕ぎ出す伊藤さん、頃合いを見てレバーを操作し、車輪の回転がベルトを通じエンジンに伝わると程なくしてエンジンがかかり、小排気量の2ストサウンドを響かせながらペダルの回転を止めた伊藤さんとモデルAが走行を始めると歓声が沸いた。後に伊藤さんは「47年製ということで難しいかなと思ったけど、意外とスッとかかった。走り出すとけっこう速い。自転車というよりはバイクだった。どこまでも行けそうな気がした」と感想を述べていた。
SPORTS CUB C100、ドリームCB92などに続き「CBX400F」(81年)に試乗した高橋裕紀選手は「(CBX400Fは)当時、出た頃に父親が熱狂したモデルで、今日は〝すごいバイクだから〟と言われて、すごく楽しみにして来た。37年前のモデルで、自分よりも年上だけど、取り回しとかも軽く速かった。父親の〝すごい〟が体感できて、今日はとても感慨深い」と感想を語っていた。
四輪モデルの走行は現役レーシングドライバーの道上龍選手、小暮卓史選手が担当し「T360」や「S500」などが走行した。小暮選手は大型二輪免許も所持しており、走行後のトークショーでは「6気筒のCBXが気になる。本でしか見たことなかったので、実物の走りを見て感動した。機会があるなら、是非乗ってみたい」と二輪への興味を語っていた。
動態保存を貫いて20年となったホンダコレクションホール。20周年記念の特別走行は第2回が9月24日に予定されている。
紙面掲載日:2018年9月14日