日本郵便とホンダは2017年3月に協業に関して締結した覚書に基づき、地球環境に配慮した企業活動の一環で持続可能な郵便・物流事業の推進のために、現行の二輪車に替わる電動車両を用いた社会インフラ整備に向け検討を重ねてきた。
今回、ホンダ製電動二輪車ベンリィ イーの郵政仕様車が東京都を中心とした、郵便局から比較的近距離の配送を行う機会の多い拠点に導入されることとなり、新宿郵便局での導入が全国初となる。
式の冒頭、日本郵便・上尾崎幸治執行役員は、約3年にわたり行われた実証実験を振り返るとともに「今後は新しい電動二輪車が郵便事業の核として活躍していく。この電動二輪車が次の50年の中核となるよう、しっかりと安全運転を心掛けていきたい」とあいさつ。
続いてホンダの安部典明二輪事業本部長があいさつに立ち、「郵便配達は、社会インフラとしてなくてはならないもので、このサービスが永続していくために、環境負荷低減を目的に集配車両の電動化推進は重要なテーマだ。日本郵便にベンリィ イーのお客様第一号になっていただき郵便配達の仲間として迎えられることを非常にうれしく思う。今後、より静かでクリーンな生活環境の提供に貢献したい」と、本格的な電動二輪車の市場導入開始に期待を寄せた。
納車式では赤い車体に白くコンセントの図案と「ev」の文字が入れられ、リアに大型のボックスを装備した郵政仕様の実車を前に安部氏から上尾崎氏へカギが手渡された。
日本郵便では、19年度中に200台を導入予定。内訳は原付一種相当のベンリィイー ワンが50台、原付二種相当のベンリィイー ツーが150台で、1月より新宿、日本橋、渋谷、上野の4局で使用を開始する。近距離配送が多い都市圏での導入が予定されているようで、その後は東京都を中心に埼玉、神奈川、静岡、大阪、京都、広島、福岡など政令指定都市が検討されているという。
ちなみに全国の日本郵便で働く配達バイクは、現在約8万5000台。20年度末には2200台が導入される見込みで、40分の1が電動車となることになる。
また、全国に2万4000の拠点を持つ日本郵便だが、電動化の推進でバッテリー充電などのインフラが進むことで、郵便局を一般向けバッテリーステーションとして活用していくことも検討されているという。
日常へ溶け込み期待
本田技研工業
安部典明二輪事業本部長
「本日よりベンリィ イーが郵便配達業務に使用されることとなり、ホンダとしても大変に喜ばしい日だと思っています。日本郵便さんが担う郵便配達という仕事は、社会インフラとして日常生活になくてはならないものです。このサービスが永続していくために、環境負荷低減を目的に集配車両の電動化推進は重要なテーマです。
17年3月に覚書を締結し、それ以来様々な検証をしてまいりました。その結果、日本郵便様にベンリィ イーのお客様第一号になっていただき本日を迎えることができました。これまで半世紀にわたりご愛用いただいているカブに加え、郵便配達のお役に立てる仲間として迎えられることを非常にうれしく思うとともに、日本郵便様に深く感謝申し上げます。
ベンリィ イーは着脱式のホンダモバイルパワーパックを採用し、配達拠点で充電した状態で配備いただくことで、電動車の課題である充電の待ち時間というものを解消できます。航続距離についてはまだ進化していかなくてはならないという課題認識ですが、現状問題としてガソリンスタンド自体が減りつつある中で、地方などでは給油に行く必要がなくなるなど新たな展開も期待できます。
日常生活のなかにこのベンリィ イーも郵政バイクとして当たり前に溶け込むことを期待するとともに、より静かでクリーンな生活環境の提供に貢献できればと思っております。また、日本郵便の配達員の皆様の笑顔にも貢献できればと考えております」
次の50年の中核に
日本郵便
上尾崎幸治執行役員
「私どもは郵政事業の主力として、長年、郵政カブを利用させていただいているが、50年にわたり納車いただいているホンダ様と、約3年にわたる実証実験などの協業の結果、今回の納車となりました。これまでと違い、スクータータイプで、大変性能の良いものを作っていただき感謝している。
今後は新しい電動二輪車が郵便事業の核として活躍してまいります。今年は東京オリンピックの年でもあり、メイン会場である国立競技場周辺は、新宿郵便局も配送を行っており、皆様の目に触れる機会も多くなると思います。是非、温かい目でみていただけたらと思います。この電動二輪車が次の50年の中核となるよう、しっかりと安全運転を心掛けてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします」
紙面掲載日:2020年1月31日