KTMに加え、ハスクバーナ、GASGAS、MVアグスタ、そしてWPを手掛けるKTMジャパン。同社では2024年3月、ケビン・シュトラスマイヤー氏が取締役ジェネラルマネージャーに就任した。それまで中国市場を担当していたシュトラスマイヤー氏は、日本市場との違いについて「市場規模で言えば中国はインドと世界1位の座を競う大きさではある。しかしプレミアムモーターサイクルのセグメントで見れば、まだまだ日本の市場がはるかに大きい」と説く。それは就任直前に訪れた東京モーターサイクルショーの会場でも実感したようだ。
画像: 24年3月、GMに就任したシュトラスマイヤー氏

24年3月、GMに就任したシュトラスマイヤー氏

「ラグジュアリーブランドであるMVアグスタを加えた体制で初の出展であったが、大変多くの関心を集めることができた」

KTMグループブースにおけるアンケート獲得数も、会場全体で過去最高の来場者数を記録した19年を大幅に上回る好結果だったようだ。

そして日本の責任者となってから、シュトラスマイヤー氏が着手したのは正規ディーラーとの対話であった。

「ビジネスパートナーの意見に耳を傾けることが必要だった。彼らの経験から学び、彼らが直面している課題を理解し、そして私たちがどのように支援できるかを考えなければ。そのため有力なディーラーを訪問したり、あるいはミーティングを開いたり、ディーラーレターを用いたりして、オープンで透明性あるコミュニケーションを重ねた」

そうして各店舗で22年、23年モデルの在庫がかさんでいる状況を鑑み、これを減らすことを重点施策とした。

例えば11月に実施したKTMフラッグシップ試乗会スタンプラリー。1390スーパーデュークR EVOや1290スーパーアドベンチャーS/Rをはじめ、Vツインエンジンを搭載した「ネイキッド」「アドベンチャー」「スポーツツアラー」の旗艦モデルを、各地のディーラーで試乗してもらおうというもの。3セグメントすべてを試乗するとオリジナルバック贈呈という特典を用意した。このキャンペーンを機に、試乗を希望するライダーたちはお目当ての車両を置いているディーラーを訪れることになる。これにあわせて購入支援キャンペーンも実施し、既存大型機種の販売増につなげたという。

この施策はまた、KTM390/250デュークなど人気車オーナーの、大型車へのステップアップ促進策でもあった。

「250cc/400ccのセグメントは、特にKTMとハスクバーナにとって非常に重要。日本円の弱さによる難しさもあったが、当社はこれらの製品について、入手しやすい価格を保つよう努めた」

24年はデューク30周年であったこともあり、250/390から990、そして1390の新型デュークが市場投入された。そうしたなか、もちろん既存の250/390デュークオーナーにはステップアップを検討してもらうため、その機会として各種キャンペーンを展開していたということだ。

その過程では、免許取得状況の推移を入念に調査。普通二輪免許を取得したエントリー層や、大型二輪免許を取得したステップアップ(もしくはリターン)層に対するアプローチを検証したようである。

その結果、24年11月下旬時点で、4ブランド全体で前年比5%アップの約3600台を達成。KTMブランドでは2100台を超え、ハスクバーナは約1230台、GASGASは約200台を販売。MVアグスタも徐々に台数を伸ばしており、受注済みの限定車が日本に到着したこともあり12月の登録台数はさらに上がる見通しだという。

回復基調で迎える25年は、「本当にエキサイティングなニューモデルが登場する」と、シュトラスマイヤー氏は目を輝かせる。先にEICMA2024(ミラノ国際モーターサイクルショー)で注目を集めたKTM390アドベンチャーRは、25年第1四半期の終わりまでに日本導入予定。MVアグスタの限定車LXPオリオリと、そのスタンダード版であるエンデューロヴェローチェもいよいよ国内導入される。

画像: EICMA2024で注目を浴びていたKTM390アドベンチャーR

EICMA2024で注目を浴びていたKTM390アドベンチャーR

画像: ハスクバーナの人気機種スヴァルトピレン401(左)とヴィットピレン401(右)

ハスクバーナの人気機種スヴァルトピレン401(左)とヴィットピレン401(右)

画像: MVアグスタのLXPオリオリ。24年のモーターサイクルショーでも話題となった

MVアグスタのLXPオリオリ。24年のモーターサイクルショーでも話題となった

販売網については24年11月現在、KTM32店舗、ハスクバーナ28店舗、GASGAS11店舗、MVアグスタ3店舗(ほか整備や中古販売を担うサービスパートナー13店舗)、WP16店舗となっている。KTMとハスクバーナの2ブランドについてはより拡充していく考えだ。

そこで気になるのが、先にKTM本社が発表した自主管理による法的再建手続きの行方だ。これについてKTMジャパンとしては、車両販売もパーツ供給も従来通り継続するとしている。

「私たちが直面している現在の状況は、グローバルKTMグループと(親会社の)ピエラ・モビリティAGにとって、非常に良い機会ともいえる。世界経済は先行き不透明であり、なおかつ米国の新大統領により国際貿易は不確実性を増すだろう。日本でも徐々に金利が上昇しており、これも大きな不確実性をもたらす。そうした厳しい経済環境に、私たちは本当に真剣に立ち向かう最初の企業となる。それはつまり、本当に合理化され、将来に適応する最初の企業になるということだ」

「したがって、これは私たちにとって本当にチャンスとなるだろう。今後生じる様々な課題に対して、他のメーカーよりもはるかに優れた方法でビジネス パートナーをサポートできるかどうか。そこで違いをお見せしたい」

そう決意を固める。

This article is a sponsored article by
''.