近年、国内外各メーカーが相次いで250~400ccの中型車製品を投入。そうした中、大型 主力のハーレーダビッドソンジャパン(HDJ)のスチュアート・ファレル社長には、この市場がどのように目に映っているのか。さらに今年の販売や先頃、一 部報道で米HD社が発表している電動モデル『プロジェクト・ライブワイヤー』を5年後に発売すると報じられたことなどについて聞いた。

──国内外メーカーが、中型車を相次いで投入している。この市場をどのようにみているか。

「各 社戦略的にいろいろあるが、新製品で言えば、そのブランド『らしさ』が問われているのではないか。HDであればHDらしさが必要だろう。とは言え、我々の 道は大型免許を取得してもらうことが重要だ。大型免許を取得すれば、どんな車両にも乗ることが可能であり、我々にとって悪いことではではない。そうした市場のユーザーへHDJでは、大型免許取得費用を提供する『パスポートフリーダム』を継続していく。逆に小中型車があるので、そうしたユーザーを大型車へ誘導することが難しくなることも考えられる。各メーカーの中型車を乗った後に、大型車を乗ってしまえば中型車は乗らなくなってしまうので、本当に中型車が大型車への橋渡しになるかどうかわからない」

──米国でライブワイヤーを2021年1月に発売する報道があったが、発売は本当か。日本での発売は。

「一 部の報道であったようだが、本社役員の個人的な意見が報じられたのかわからない。発売についての話は無いし詳細もない。ただ、ライブワイヤーが日本で発売できれば、先の中型免許でおそらく乗ることができるだろう。可能性があれば新規顧客を獲得できるが、実際にどのくらいのボリュームの数で、どう販売されるかがわからない。日本の免許制度で、どの免許で乗ることができるのかという点もある」

──将来、電動車発売の場合、ディーラー体制での変化は。また、国内販売100万台については。

「もしもライブワイヤーが発売できれば、個人的に言えばすべてのディーラーで販売するのか、どこの地域で販売するかなど、検討が必要だ。また、充電などのインフラ整備でも検討しなければならないだろう。政府が100万台を目指すならば、政府と地域、我々が協力して免許制度や駐車場、税金などの問題含めてインフラ整備を行っていかねばならない」

──一方、今年半年の感触は。

「市場は厳しいが、HD販売は順調にきた。今年は昨年とは異なりイベント形態を変えた。今年は比較的に大規模イベントを減らし、小規模なイベント開催を増やし た。戦略の中心は、いかにユーザーにHDを体験してもらうかだ。違いを知ってもらうために多くのユーザーに経験してもらうことが重要だ」

──イベント参加者をどのようにディーラー誘引し販売につなげているのか。

「基本は変わっていない。ただ、今はデジタルマーケティングが主流となり、(インターネットなどで)ありとあらゆるユーザーにアプローチしているが、イベントよりもディーラーに来店して試乗体験をしてもらうことを積極的に取り組んでいる。

試 乗をディーラーやイベントで行うなど、いろいろな展開要素はあるが、現在の取り組みではネット上で試乗予約を行ってもらい、そのユーザーがどんな理由で試 乗したいのかなどを受けて、その後ユーザーへ試乗車を届ける。ユーザーは試乗のためツーリングなどにでかけてもらい、その様子の映像を撮影してもらって 我々が編集し、SNSなどに映像を公開するなど、HDJでは革新的な取り組みを行っていく」

──以前は女性ユーザーへのアプローチを積極的に展開した。現在の活動は。

「女性だけに絞った活動よりも、広く若者への活動の中で女性にも魅力を伝えていくという位置づけとしている。ただ、ユーザーのカテゴリーでは、コア、ヤングアダルト、エルダー、フィメール(女性)に分けており、常に女性をターゲットにしており、女性にも訴求していく。

もう一つは、HOJ(オーナーズグループ)では家族で楽しめる活動を行う。特に夫人に参加してもらい、これをきっかけに女性ライダーになってもらえる場合も多い。また、HDではアパレルでも女性向け商品が多くあるので、女性ユーザーにも買ってもらえるだろう」

画像: ハーレーダビッドソン ジャパン スチュアート・ファレル 社長【下】/「試乗体験」新たなアプローチ

紙面掲載日:2016年8月19日

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