ハーレーダビッドソンジャパン(HDJ)では20年12月14日、野田一夫氏が社長に就任した。本紙の原稿締め切りまでに取材に応じてもらうことはできなかった。一方、20年5月には米本社CEO(最高経営責任者)が交代し、7月には新たな「5カ年計画」が発表。この一環で、20年モデルの発表を取りやめた。21年モデルは1月19日に世界同時発表する。

本社の戦略転換では今後、HDJの戦略や活動も大きく変わると予想される。

米HD社トップの交代と計画の変更は、1981年、それまで遊技関連大手のAMFの傘下にあったHDを、当時13人の役員らがLBO(レバレッジド・バイ・アウト)という方法でHD部門を買い取り、80年代にわたり行われた変革期以来の、HD社の歴史に残る大改革といえそうだ。

20年5月に米本社は社長兼CEO(最高経営責任者)にヨッヘン・ツァイツ氏が就く人事を発表。ツァイツ氏は独プーマの会長兼CEOなどを務めてきた。本社ではツァイツCEOの下、新たな「5カ年計画ハードワイヤー」を掲げ業績の改善に取り組むとしている。HDの強みを活かし、モデルや市場を絞り込むというもの。

製品では既存モデルと製品計画から見直し、ブランドと強みに焦点を当て、市場構造と組織を「リワイヤー(再配線)」するとしている。複雑で多種におよぶ既存モデルの製品構成を軽減させ絞り込み、それまでの計画機種を約30%合理化するとしている。現在の中心的モデルと新型のポテンシャルが高い製品との間で投資バランスをとり、象徴的な機種の提供を拡大する方針。

アドベンチャーツーリングモデル「パンアメリカ1250」は21年に提供するもよう。さらにモデルイヤーの発売時期を、これまでの8月から第1四半期である春に移行。21年モデルは21年1月19日にオンラインにより、初の世界同時発表を行う。パーツとアクセサリー、グッズなどにも重点を置き、ユーザーがライフスタイルをカスタマイズするように一層促すという。

さらに本社は、世界市場の見直しと高需要市場へ注力する意向で、北米やヨーロッパ、成長が見込めるアジア太平洋地域の一部、約50の市場に集中させる考え。将来的に需要や収益性が見込めない国際市場への参加は終了させるという。日本市場はこれまで通り、継続される見通しだ。

マーケティングへの投資は各地域に移行させ、米本社の意向に沿った中で各地域の市場に合わせ、自立した形で行う意向を示す。HDJは本社の方針や戦略に沿った形で、日本市場の現況に合わせて日本独自の方針・戦略の策定、展開できるものと推測する。

本社の方針では販売網を最適化し、値引きや価格での販促活動の大幅な削減を挙げる。現地販社としてHDJは、ユーザーのライフスタイルの充実・実現に向け、強い販売網づくりと値引きせずに販売できる施策など、一層本来の「原理原則」に沿った展開が望まれているものといえそうだ。

2021年1月1日発行・二輪車新聞新年特別号「輸入車/2020年実績と21年抱負」掲載

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