2017年にグローバルモデルとしてホンダから発売されたレブル。国内では軽二輪の250ccと小型二輪クラスの500ccをラインアップするが、軽二輪モデルは同クラスで2位を大きく引き離すだけではなく、昨年は単一モデルでは二輪車全体で最多となる年間1万3000台の販売台数を記録(本紙集計・原付クラス除く)。直近10年間に発売された二輪車では大ヒット商品と言ってもよい。レブルの商品力の強さを、販売会社であるホンダモーターサイクルジャパン(HMJ)の担当者に聞いた。

HMJ営業本部 企画部 商品企画課 和泉貴士氏

画像: HMJ営業本部 企画部 商品企画課 和泉貴士氏

──2020年の軽二輪クラスでは2位の二倍超となる販売台数トップだったが。

「17年に発売した当時は新車効果もあって、想定通りの販売台数を見込んでいました。その後19年には年間販売計画の3200台を超えたことからも、20年も販売台数は伸びるだろうと想定はしていましが、予想以上に前年を大きく上回る実績になりました。

20年1月にマイナーチェンジモデルを発表した時に、年間販売台数を9000台で設定したのですが、SNSやインターネットの反響を見ていくと『ホンダは強気だね』と言われていました。私自身、そのくらいの魅力を持つモデルであると思っていましたが、1万台を超えてくるとは思いませんでした。

軽二輪クラスで年間1万台を超えたモデルだと『フォルツァ』がありますが、20年くらい前の実績なので、近年でそれに匹敵するモデルはレブルだけです」

認知拡大はメディアと一翼を担ったSNS

──ヒットの要因はなんでしょうか。

「発売当初から、二輪専門誌や一般誌、ウェブメディアで多く取り上げていただいたことはもちろん、ツイッターやインスタグラムなどSNSによる拡がりも大きく、紙媒体やウェブ媒体、それにSNSが三位一体となって功を奏したと見ています。

例を挙げると、あるオーナーが、ツイッターで「バイクを買おうと思っているけど、どんなバイクが良いか」と、ツイートします。そうするとフォロワーはもちろん、フォロワー外から「レブルって足着き良いよ」とか「軽くて扱いやすいよ」という、コメントが届くのですが、それらを“客観的なアドバイス”と捉え、好意的に受け入れているようです。

17年の発売から年々、販売台数が伸びてオーナーも増えていくことで、インスタグラムなどでレブルを多く見かけるようになり、オーナーが乗っている姿や格好の良い写真を見て“いいね”も付けられることで、レブルっていいなと思ってくれる人が増えているようです。それが拡販につながった一因でもあると思います。

話題性やいいねで印象良く

レブルを新規で購入される人は若い方が圧倒的に多いです。特に20代の方たちは二輪専門誌など、さまざまなメディアで取り上げられ話題性があることやSNSで“いいね”が付けられていることで、良い印象を持つようです。

友人がレブルの納車シーンをインスタグラムにUPして、それを見た仲間が購入した、という例も聞いています。しかし、良い印象をもったからといって、いきなりレブルを購入するというわけではありません。販売店によると実際にご来店されてレブルにまたがり、足着きの良さや車重の軽さを改めて実感したうえで購入を決める方が多いようです」

──オーナーの65%が30代以下。その内の8割は免許取得後に初めてバイクを購入した人たちで、新規の人がひときわ多いと聞いた。女性オーナーの割合は。

「女性のオーナー比率も高く、ホンダの二輪ラインアップの中で突出して多いです。女性オーナーの比率が5~6%くらいなら『一般的』というレベルですが、レブルは10%以上にもなります。レブル500も女性オーナーが多いです。

購入時に装着するアクセサリーでも、好みが分かれています。20代ではエンジンガードなど安全に関わる装備、40代だとキャリア、タンデムバーなど実用的な装備を選ぶ傾向です。いずれの年代からも人気のある装備は、フォークブーツやフォークカバーなどです」

画像: レブル250と同じく写真の小型二輪クラスのレブル500も女性オーナーが多い

レブル250と同じく写真の小型二輪クラスのレブル500も女性オーナーが多い

──二輪車を初めて買う人への販売策などはあるのか。また、車両価格についてはどうか。

「免許取得キャンペーンや金利据え置きキャンペーンなど買いやすい仕組みは整えていますが、レブルだけ特別な施策があるわけではないです。特に価格が高いという話はなく、発売当初(58万8600円・ABS有り)の価格は市場で受け入れられていると思います。

20年1月に初のマイナーチェンジを実施しましたが、デザイン性の高いLEDヘッドライトやアシストスリッパークラッチなど、スタイルはもちろん、使い勝手の良い装備を付けて60万円を切る価格で提供しました。

発表前の出来事なのですが、事前に販売店へ向けて実車を展示した内覧会があったのですが、そこで販売店のオーナーに『ありがとう』と言われたのが印象に残っています」

走りの良さもレブルの魅力

──軽二輪クラスでは競合他車がないのも強みだが、発売時からコンセプトは変わらないのか。

「17年にレブルを開発した時のテーマは『新しいクルーザー』の提案でした。シンプルでクールなスタイリング、そしてリラックスしたライディングポジションで、足着き性も向上させる。クルーザーモデルというよりは、走りも追求したエンジンを搭載しているので、ニーグリップもできるポジションによってスポーティな走りを楽しめるところがレブルの魅力です。

これをクルーザー寄りにしていくと、レブルではなくなっていくと思います。それはこれからも守っていきたいレブルのコンセプトのひとつです。

先ほどの足着きの良さで購入を決める方が多い、という販売店の話になりますがデザインもシンプルで、幅広い層に受け入れられるスタイルとなっていることも決め手になっているようです」(※別項で開発責任者からのメッセージあり)

画像: アクセサリーでは写真のフォークブーツカバーやフォークカバーが幅広く人気を得ている

アクセサリーでは写真のフォークブーツカバーやフォークカバーが幅広く人気を得ている

──既存のオーナー、あるいは今後のオーナーに向けて新たな楽しみ方を提案中だとか。

「レブルミーティングを開催してみたいです。ホンダではCBミーティングとかがありますが、それだと会場を借り切るなど大規模になります。そうした大きなイベントではなく小規模で開催し、コーヒーを飲みにいくようなカフェミーティングのイメージです。オーナーさんたちが気軽に来場できるイベントにしたいです。

私自身もそうだったのですが、最初にバイクを手に入れた頃はあまり遠出はしませんでした。バイクに乗る友人と時間や都合が合わなかったり、かといって、自分一人で行くのは思い切りが必要だったり。しかし、ミーティングを開くことでバイクに乗る目的が出来るし、現地でレブルオーナーとつながりを持つことで思い出を作って欲しいと思います。

今年も昨年に続き、コロナ禍なのでどこまで実現出来るか分かりませんが、開催していきたいです」

レブル250/500 開発責任者 三倉圭太氏

画像: レブル250/500 開発責任者 三倉圭太氏

「コンセプトは新しい世代に向けたクルーザーです。シルエットはクルーザーながらも、クルーザーの定石にこだわらず開発をしました。開発初期から、初めて二輪免許を取得したお客様でも違和感なく安心してライディングを楽しめるように、という設計思想で作り上げてきました。ハンドルの切れ角も35度とし、最小回転半径も含めて取り回しやすい車体と軽量な設計を心がけましたが、その中でも特に足着き性を重視しました。

また、レブルのヘッドライトステーやフレームの形状にもこだわりました。人間で言う、骨格部品の美しさや素材感はオートバイの魅力だと考えていましたので、素材の種類やフレームの曲線部分など、3D設計とクレイモデルの中で徹底的に議論しながら定性的な美しさを追求しました」

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