二輪車業界でも物流分野でのコスト削減は、多くのメーカーや卸の担当者らが頭を抱える。部品用品通販サイト「バイクパーツセンター」や卸の「NBSジャパン」を展開する(株)ワイビーエー(YBA/千葉県佐倉市)は、2年前よりパーツ事業全体で「市場では物流コストが増加傾向にある一方で、社内物流コストを圧縮することができた」と、同社モーターサイクルパーツ統括事業部事業本部長の唯孝常務取締役は意気込む。

画像: コスト削減について述べる唯常務

コスト削減について述べる唯常務

「倉庫面積」、「出荷作業」、「在庫」の圧縮を実現

同社は競合多数、出荷商品の配送費の高騰に至っては、商品への価格転換は困難なことから、拡大してきた部品事業を根本から見直し、これまで手付かずであった、社内の物流での無駄を省くコスト削減に取り組んできたとしている。コスト削減は「倉庫面積の圧縮」「出荷作業」「在庫の圧縮」の3つのセクションで改善、効率化した。

倉庫面積の圧縮では、従来からある2棟の合計約2000㎡(約600坪)の倉庫と、約3年前に賃貸契約した約6000㎡(約1800坪)の物流倉庫のうち、6000㎡の倉庫を返却し面積を4分の1に縮小。同時に本社事務所を縮小し、倉庫として約200㎡を確保し、倉庫全体で約2200㎡とした。

ただ、唯常務は「倉庫面積を大幅に減らすことで商品在庫も減っては受注商品を、当日発送するという、社の方針を堅持できない。お客様や販売店様に迷惑をかけることはできない」と強調する。海外からの入荷では主要な現地の港在庫保管場所の確保と日本側の港に、輸入する商品のコンテナをとどめる策を講じるなど「商品在庫回転率を向上させ商品点数確保と、当日発送を維持する方法を考えた」という。こうして商品在庫量を維持する一方で、物流倉庫のコストの大幅な圧縮を実現した。

さらに商品回転率を高めるため、受注や仕入などの事務作業を、規模を縮小した物流倉庫内に移動し連携を良くした。またシステムや仕組みを見直しオートメーション化に取り組んだという。

昨今大手の企業が導入するRPA(ロボテック・プロセス・オートメーション)と、市場での商品価格を把握するシステム「プライスサーチ」というシステムを導入。RPAの導入で受注から出荷までの単純な事務作業や、データ処理などを自動的に処理。プライスサーチでは市場価格の把握で適正な価格管理をできるようになり、それまでの商品の受注や価格管理などの事務作業で「約15人いた受注などの事務関係の作業をすべて自動化し、現在は3人態勢にした」(唯常務)。

搬送用ロボット、梱包箱製作機を導入

出荷作業は、1日当たり約3000件にのぼり、出荷量が増え、出荷作業員を増やしたことによる人件費のコストを抑えることは困難。同社は運送コストの削減ができないかを考え、倉庫内作業の無駄を調査した結果、商品ピッキングの際に歩く距離が長いことと、梱包後の輸送箱内に3割の空間があることがわかり削減できることが判明したという。

無駄の多くは棚から商品を取り出すピッキングという作業が挙げられるものの、バイクパーツは商品の形状が定まらないものが多く、ピッキング作業の自動化は困難と判断。従って唯常務は「ピッキングから梱包までの、倉庫内でのスタッフの移動時間短縮に取り組んだ。棚から選んだ商品を運ぶ搬送用ロボット『サウザー』を2台を導入した」という。

搬送用ロボットは人に追随するセンサーも採用され、簡単な設定で該当の人を認識し追従させるほか、倉庫内でロボットを巡回させることで、ピッキングした商品を巡回ロボットのケースに積むだけで「広い倉庫内をスタッフが梱包作業所まで移動せずに、ピッキング作業だけに専念できるようにした。一人1日あたり800個の作業目標に近づける」と述べて、作業効率が大幅に高まったと強調する。

さらに、出荷商品サイズに合わせて段ボールを自動で製造するイタリア製「Just fit BOX」という、大型の型取り製造機を今年2月に導入。それまでは出荷する商品や商品量に合わせて、25種類以上のサイズや形の段ボール箱を用意していた。部品形状によっては段ボールの加工や商品量以上に大きいサイズの箱に梱包してきた。

ただ唯常務は「箱の加工では作業時間と手間がかかり、適切な大きさの段ボールを製作することで、大きい箱では商品量以上に箱内の空間容積を減らせ、段ボール箱を小型化できた」と述べる。

これにより近年課題であった搬送費の高騰についても「1日に10tトラック3台分を出荷している。商品量などに合わせた梱包段ボールを製作し、段ボール内の空間を減らし箱の小型化を実現したことで、トラック積載量も約3割減らせ、結果的に大幅に配送費用も抑えることが実現した」と明かし、物流全体でこれまでの目立った無駄を削減できたという。

コストの削減では、躊躇していた稼働時間の時短にも貢献した。「それまでの土曜の稼働日を休業とし、週休2日にしたが売上に影響はない」としている。

「なるべくコストを価格転換せず社内コストを抑え、低価格で良い商品を提供できるよう、日々努力している。まだ無駄の削減は可能。同時に縮小した人員数にあっては、スタッフの育成が必要」などと、今後の課題も明確だ。

画像: 広い倉庫を搬送用ロボットが巡回し、人的移動時間を削減

広い倉庫を搬送用ロボットが巡回し、人的移動時間を削減

画像: 導入した大型の梱包段ボール箱製作機

導入した大型の梱包段ボール箱製作機

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