二輪車用品のEコマース最大手「Webike」を運営する㈱リバークレイン(代表取締役・信濃孝喜社長)でメディア事業部に所属する小川裕之さんは、同社で取り扱う新商品などを自社の動画サイトで紹介する役割を担っているが、同時にプライベートで動画サイト「OGAチャンネル」を持つユーチューバーでもある。さらに言うと全米のバイクスタント選手権で3位に輝いた実績を持つスタントライダーでもある。そんな小川さんがスタントライダーを目指したきっかけや、世界各国でスタント競技を戦ってきた当時の事を振り返ってもらった。
画像: スタントライダーへの挑戦と恩返し 
──小川裕之氏インタビュー【前編】──

リバークレイン 小川裕之氏

画像: リバークレイン 小川裕之氏

スタントライダーへのきっかけは海外のDVD

最初の二輪車は16歳で乗ったスズキ・ジェベルだという小川さん。そこから二輪車のテクニカルなスキルを学ぶうちにスタントライダーを目指した……のかと言えばそうではなく、きっかけは当時、二輪車用品量販店の店内TVで放送されていた海外のスタントDVDだったという。

「店頭でもDVDが売れている時だったと思いますが、終日放映されていたんですよね。それを見て、自分でもバイクでああいうパフォーマンスを出来るようになりたいと思ったのがきっかけです」と話す。その後、進学先である日本大学のバイクサークル(NAPA)へ入ったことで二輪車熱はさらに加速する。この時がもっとも二輪車に熱心だったようで「工具の使い方から整備のやり方、オフロードやロードコースの走り方、ツーリングなどのイベントもありバイクについて多く学びました」という。

また、購入したスタントDVDを見ながら競技の練習を続けてきたこともあり、ケガや擦り傷は日常茶飯事。「当時はプロテクターを買うお金も惜しんで練習をしてきたので、傷だらけのまま学校に通っていましたね」と振り返る。その一方で、バイクスタントに対して世間の意識を変えていきたい強い想いがあったそう。

画像: 15年にイタリアで開催された同国の金属パーツメーカー「エボテック」主催の大会で 5位入賞。立派なトロフィーを用意してくれた

15年にイタリアで開催された同国の金属パーツメーカー「エボテック」主催の大会で
5位入賞。立派なトロフィーを用意してくれた

「当時、バイクスタントは『カルチャー』という扱いで、そのカテゴリーからなかなか出られませんでした。また、ロードレースやモトクロスのように競技ですらありませんでした。そうした扱いからモーターサイクルスポーツとして、広くアピールしていきたいし、人を感動させるライディングを見せていきたい。また、プロのスタントライダーとして活動していきたい気持ちが強くなっていきました」。そうした想いを抱き、毎日練習積み重ねる日々が続く。車両もカワサキのDトラッカーを専用車にしたことで、修練度合いも増していった。

画像: モロッコのカサブランカで15年に開催された大会では3位入賞。当地ではかなりの人気を 誇っており大勢の観客で賑わっていた

モロッコのカサブランカで15年に開催された大会では3位入賞。当地ではかなりの人気を
誇っており大勢の観客で賑わっていた

活動を後押ししてくれる人生のパートナーと出会う

そんな時にスタントライダーの活動を後押ししてくれる女性に出会う。「バイク漫画を描くために取材に来てくれたのですが、プロのスタントライダーとしてどうすべきか、相談をしたら『活動をしていくべき。やるなら本場の北米で戦ってそこから実績を積み上げてきて凱旋帰国したほうが良い』と強くプッシュしてくれたのです」

今ではプライベートでもパートナーとして一緒に生活をしている人であり、北米で活動中は「当時は英語もサンキュー、ハングリー、アイムハッピーくらいしか話せず、心細くて毎日スカイプ(当時主流のインターネットを使った無料通話ソフト)で、彼女に話を聞いてもらっていました」と、振り返る。ちなみにその取材から4年後には招待選手として海外へ出かけることも多くなり、地元で華やかなおもてなしを受けるようになったという。その時には一緒に出かけられるようになったことで「15年以上、支えてくれた恩返しが少しはできたかな……。彼女がいなければここまで続けてこれなかった」とも。

そして、2010年から17年まで8年間、海外で開催される競技に参戦。12年は北米で行われる選手権へフル参戦することに。17年には全米のバイクスタント選手権“XDL”において3位で表彰。

「このときが、競技人生で一番輝いていた時だと思います。大会も世界のライダーたちが集結し、実質、世界大会と言ってもいい内容でした。そこで、1位が過去に欧州で王者になったコーゼン、2位は全米で王者になったビルディクソン、そして日本人の私が3位ということで、米国、欧州、アジアと世界のスタントライダーが揃って表彰されたことが最高の思い出です」と、振り返る。

画像: 17年に北米で開催のスタント競技「XDL」において3位で表彰を受ける。 1位が欧州王者のコーゼン、2位が全米王者のビルディクソン

17年に北米で開催のスタント競技「XDL」において3位で表彰を受ける。
1位が欧州王者のコーゼン、2位が全米王者のビルディクソン

海外へ参戦を続ける中、セルフプロデュースに開眼

その一方で、海外で活動しているうちに気づいたことがあり、それが今に繋がっていると小川さんは言う。「競技に出るライダーたちが、ムービーカメラを持参して動画撮影を行っていたんです。それを編集して動画サイトにUPし、発信している様子を見ていたことで、自分でもやってみようと思いました。海外ではセルフプロデュースの意識が高く、自らが発信してPRをするという考えが強いんです」

その後は自分でもネットを使って配信を行っていくように。12~17年まではFacebookやインスタグラムを中心に発信していたが、17年からは動画サイトのYouTubeへ移行。撮影の知見やスキルを得たことで、Webikeで取り扱う商品の紹介や、自身のOGAチャンネルでは撮影・編集・ナレーションまでこなしている。

「上位に上がるには質もそうですが、人よりも圧倒的に数を増やすことが大事。スタント競技ではバイクに乗って練習回数を増やすことがそうですが、動画サイトでも同じように数を多くすることを意識して1年間、毎日更新していました」と、強調する。

画像: 欧州最大の大会「Ouest Bike Show」でのライディング。左上のサングラスをかけた人は 審査員だが、12年に一緒に全米選手権を回ったポーランドの伝説的ライダーのラファル

欧州最大の大会「Ouest Bike Show」でのライディング。左上のサングラスをかけた人は
審査員だが、12年に一緒に全米選手権を回ったポーランドの伝説的ライダーのラファル

おかげで、今では街を歩いて声を掛けられることも多く、飲食店では出待ちをされる場合も多々あるという。「OGAチャンネルの人ですよね? と、よく聞かれます。実は自作したステッカーがあり、会った人にそれが欲しいと言われることも多いのです。でも、数も少ないのでそんなに差し上げることもできないんです」と笑う。

海外で実績を掴み、動画を使ったセルフプロデュースに目覚めた小川さんだが、そこへ至るまでには忘れてはならない出来事がある。リバークレインへの入社だ。「07年に、競技で知り合った人から『バイク好きだと、メチャクチャ楽しい会社があるのだけど、応募してみないか?』と言われ、面接に伺ったのがリバークレインでした」と、振り返る。

入社後はサラリーマンをしながら、スタントライダーとしての活動も続けていくのだが、あることがきっかけで退社を決意。しかし、その後に繋がる出来事があったという……。(続く)

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