東京モーターショーの名称がジャパンモビリティショーへと変わった本年度は、久々の開催だったことも手伝って大盛況でした。

まずは内燃機関中心の視点で見ると、1000ccを超えるハイテク満載の超高性能・高価格車両は、世界的な流れとして大きな販売増を見込むよりも、さらに一単位あたりの付加価値を高めるプレミアム路線の色合いを強めていきます。

むしろ注目したいのは600ccから1000cc以下のミドル級です。とりわけ並列2気筒800cc前後のバイクの販売合戦が激化するでしょう。

理由はリッタークラスにはない軽量・コンパクト性がありながら、かつてのリッターバイクに劣らぬ安全快適性と動力パフォーマンスを確保。しかも低燃費で、内燃機関のツインならではのテイストを、比較的安価に味わうことができるからです。

内燃機関を使うバイクのニーズの拡充は、アジア市場を中心に見れば今後10年前後見込めると予測します。そのため日本と欧米などから300~500ccの単気筒や、2気筒モデルが続々と投入され始めますが、流れとしては125cc以下のエントリーモデル、300~500cc級、そして800cc前後の順となるでしょう。オフロード系のマーケットシェアはどのクラスでも増えていきます。

速度より操る楽しさを求める

ガソリンエンジンと電気モーターの、ハイブリットモデルの登場はまだ一部の銘柄だけです。しかし、発進時などの力強い電気モーターならではのダッシュ力や、Uターンなどの低速時のエンストによる転倒リスクが減らせ、取り回し性の向上、深夜早朝など時間を気にせずに使えるメリットなど、内燃機関にできなかったことが新たな注目ポイントになります。

電気モーターのみで走るバイクのニーズは、車格で言えば125ccクラスが中心。一方、モトクロス、トライアルなどの競技の世界でも、すでに一定のニーズが生まれていて、郵便配達業務など指定エリア内であれば十分なポテンシャルを発揮しています。3輪を含めた電動系バイクの可能性は、十分すぎるほど高いのです。

外観的には従来からの①スポーツバイク系②レトロ系③スクーター的あるいはキックボード的な近距離移動スタイルの3つに大別されます。

クルマのハイテク化が進むほど、バイクの分野では速度よりも操る楽しさを求める傾向が強まることでしょう。また、電気モーター式が進化をしていく中で、旧来からの小型ガソリンエンジン車両は、手に触れて分解組み立て整備を楽しむという意味でも、いざという時の頼りになる車両としても、手堅く販売が続くと予測しています。

販売店としてどこにフォーカスするか、しないのか。事業展開はそれぞれに十分な可能性があることだけは確かです。

プロフィール

柏 秀樹(かしわ・ひでき) 
1954年山口県生まれ。大学院生時に作家の片岡義男と、バイクサウンドをテーマにしたLPを製作。卒業後フリーランスのモータージャーナリストに。各種海外ラリー参戦も含めた経験を活かし、現在「KRS・柏秀樹ライディングスクール」を運営。全国各地で初心者やリターンライダー、二輪車販売店社長・社員に、安全意識・運転技術改善に役立つノウハウ伝授をしている。ベストセラーになったライディングDVD他著書多数。

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