㈱Gachaco 代表取締役CEO 渡辺一成氏
わたなべ・かずなり氏/2014年6月ENEOS㈱入社。16年4月からENEOSホールディング㈱事業企画部に所属し、新規事業開拓に携わる。19年4月からは未来事業推進部に所属。同部で㈱Gachacoを立ち上げ、22年4月よりENEOSが51%、ホンダが34%、ヤマハ、スズキ、カワサキがそれぞれ5%出資して設立した、㈱Gachaco代表取締役CEOに就任
──設立から1年以上が経ちました。バッテリーシェアリングの要である、バッテリー交換ステーションの現在の拠点数は。
「2023年9月末時点で29カ所です。東京都21カ所と埼玉県1カ所、大阪府の7カ所です」
──29という拠点数は計画通りなのでしょうか。
「最初のうちは苦労した所はあると思いますが、今のところは計画通りに進めていると認識しています。23年度末までには合計で50カ所以上には増やしていきたいです」
──設置場所となる主なエリアは。
「東京都が中心になります。東京は電動二輪車への補助金等の政策が手厚いこともあり、車両が普及しやすい環境なので、まずは東京からインフラ構築を進めていきたいと思います。その次は大阪です。その後はこれまでの成功事例を元に、他の自治体さんに導入を提案し、ステーション拡大を狙っていきたいです」
「なお、現在は東京都練馬区周辺に一定数のステーションを設置していますが、南北に主要な鉄道網が走る中間地帯であり、駅から距離が離れている所に需要があると想定し、設置しています」
──バッテリーステーションの設置場所も二輪車用品店や商業施設など特徴があります。
「個人のお客様には『ついで買い』というニーズがあると思います。バイクの用品であったり買い物の途中で立ち寄ったり、相乗効果が見込まれると思います。設置場所も先方から問い合わせをいただくこともありますし、こちらから提案する場合もあります」
──交換式バッテリーを使う車両を提供する、二輪車メーカー4社への期待は。
「会社を設立した当初は、インフラの構築をとにかくスピードを意識して取り組んでいましたが、現在は(弊社の)事業規模と拡大計画など勘案しながら進めているところです。4社さんには、共通仕様のバッテリーを使った二輪・四輪、機器類などを発売されるのは当社としても大いに期待しています」
販売店と連携して普及を進めていく
──二輪車販売店へバッテリーステーションを設置する計画は。
「販売店様とはコミュニケーションを取らせていただいて、協力して設置を進めていきたいと思います。販売店様はバッテリーを使うバイク本体を販売しておりますが、そこで『交換式バッテリーを使ったバッテリーシェアリングサービスがあります』と、お客様に提案することで、バッテリーを自分で用意するのか、シェアサービスを使うのか、選択肢が広がると思います」
「このたび、お客様が手に取りやすいサイズのガチャコのパンフレット(下記写真)を作成しました。また、店内でパンフレットの設置に使う什器も準備しております。シェアリングサービスは弊社だけで運営しても普及は進まないと思います。車両と販売店様があってこそのサービスなので、そこは連携して進めていきたいです」
24年3月末までに個人向けサービス提供
──現在、バッテリーシェアリングサービスは法人のみとしていますが、今後は個人へのサービスは。
「現在、年末までの2カ月間限定のモニターなのですが、個人向けにトライアルサービスを提供中です。10月下旬からモニターへのサービス提供が始まっており、12月下旬までの期間で30名の応募のところ、大勢の方から応募がありました。
今回のモニターは1カ月300円の月額料金と、使用電力1Kwh相当に対して300円の料金を設定しております。料金についてもモニターにアンケートを実施し、それを参考に正式な料金体系などを決めていきたいと思います。24年3月末までには個人向けにサービスを提供していきます」