千葉県千葉市にある千葉大学教育学部付属中学校で、希望する生徒を対象に、バイクを用いた授業実践が行われている。授業開発の一環として取り組まれている研究で、バイクを教材に、エネルギー変換の授業実践を行うというもの。同中学校、千葉大学教育学部、二輪販売店による産学連携の取り組みとなっている。昨年、初の試みとして半年にわたって授業実践が行われた。2年目となる2018年は15人の生徒が参加し、5月に授業をスタート。全13回が予定されている。
この取り組みの背景に、学習指導要領の変遷によって、内燃機関の学習が減少しているということが挙げられる。
同中学校教諭らの研究レポートによると、以前は技術分野のカリキュラムに内燃機関についての項目があり、エンジンの解体実習をはじめ、構造などを詳しく学習していた。しかし、1990年代以降、技術・家庭科の授業時間が減少するとともに教科書から内燃機関についての記述も大幅に削減されたという。
昨今、中学生が原動機に興味を持つ機会がなくなっていることに懸念を抱いた同校の教諭が、地元の二輪車販売店「MDモーターサイクルス東金店」の協力を得て始めたのが、今回の取り組みだ。MDモーターサイクルス東金店が技術サポーターの派遣や授業で使用する原付の提供などを行っている。
昨年の授業では、座学や実験を通して熱エネルギーや動力に関する学習を経た後、エンジンの分解や組み立て実習を行い、最後の授業では、校内で組み立てた原付に試乗した。
授業前のアンケートでは、将来バイクに乗りたいかという質問に「あまり乗りたくない」「乗りたくない」という回答の合計が過半数を占めていたが、授業実施後には全員が「すごく乗りたい」または「乗りたい」と回答したという。
MDモーターサイクルス東金店の内原洋介さんは、「試乗はもちろん、授業で子供たちが目を輝かせていたのが印象的でした。バイクは、使い方をきちんと学べば決して危ない乗り物ではなく、安全教育の意味でも若い方に乗ってほしいです」と話した。
紙面掲載日:2018年7月6日