ミシュランでは、POWERシリーズを刷新し、ストリートからサーキットまで幅広いシーンでのスポーツライディングの愉しさを高い次元で求めるすべてのライダーの要求に応えるため、「POWER5」「POWER GP」「POWER CUP2」「POWER LICK2」4製品をラインアップさせ、従来のシリーズ3製品から細分化を図った。
▼「POWER5」はPOWERSの後継モデルとなりストリートで優れたドライ性能を発揮する。ミシュランが想定する使用用途は公道100%、サーキット0%。
▼「POWER GP」はサーキットとストリートでの性能を両立させた。同使用用途は公道50%、サーキット50%。
▼「POWER CUP2」はPOWER CUP EVOの後継モデルとなりレースからサーキット向きモデルながら公道走行可能としている。同使用用途は公道10%、サーキット90%。
▼「POWER SLICK2」はサーキット競技専用のスリックタイヤ。同使用用途は公道0%、サーキット100%。
シリーズ全製品にタイヤ中央部とショルダー部で異なるコンパウンドを1本のタイヤで使い分ける技術、2CT及2CT+を採用。最適化された配合率のシリカコンパウンドとカーボンブラックを各製品に適用している。ケーシングには高強度のアラミド繊維を採用。またサイドウォールには、レーザー技術による金型が成型するベルベットのようなコントラストを映し出す新デザインが用いられている。
試乗会場は、栃木県栃木市にあるGKNドライブラインジャパン株式会社のプルービンググランド。バンクのある外周コース、スラロームコース、散水エリアがあり、高速走行、タイトなコーナー、ウエット路面など、多様なシチュエーションを体感できるテストコースである。
93年ロードレース世界選手権GP250チャンピオンの原田哲也氏は試乗した新シリーズについて「POWER5、POWER CUP2ともに前輪と後輪とのバランスが一段と良くなった。具体的には、コーナーで車体を寝かせていき、さらに最後の倒し込みでフロントタイヤの最後のサイドを使った時の安心感、安定感が高まり、前輪と後輪の一体となったスムーズさが一段と良くなった」と絶賛した。
日本ミシュランタイヤ二輪事業部長の高本久徳氏は「最近の技術進歩は急速で、飛躍的に高出力化が進みバイクに安全性が求められている。タイヤへの要求は容赦ないものがある。この背景にはユーザーニーズの多様化が大きく介在している。4製品のポイントは、それぞれの用途に合わせたバイクとタイヤ、ライダーの懸け橋になることだ」と語った。
二輪事業部マーケティングの山田寿一氏は「タイヤは重要な部品。ライダーがタイヤにストレスを感じない製品であれば安心して乗れるので、ライディングに集中できる。ミシュランは安心、安定といった面にこだわった開発を行っている。これはストリートでもレースでも同じだ。新製品はライダーのスキルにかかわらずオートバイライフを楽しんでもらえると思う」と新製品への自信を見せた。
「POWER5」の特徴は、ストリートでも優れたドライパフォーマンスを発揮し、低温でも硬くならないシリカコンパウンドと新設計のトレッドパターンの採用により、ウエット路面でも高いグリップを発揮するように開発された。前モデルのPOWER RSの使用用途は公道85%、サーキット15%としていたが、公道100%に使用用途が想定された。
そのためトレッド面のコンパウンドを部分ごとに最適化。フロントタイヤはセンター68%にシリカ、片サイド16%にブラックカーボン、リアタイヤはセンター55%にシリカ、片サイド22.5%にコンパウンドの異なるシリカを配置した。また、ボイドレシオ(トレッドに対する溝の面積の比率)は11%でウエット路面でも安定したウエットグリップを発揮する。
サイズラインアップは、フロントが120/70ZR17の1サイズ、リアが180/55ZR17、190/55ZR17など5サイズ。
「POWER CUP2」の特徴は、レースからサーキット走行までよりアグレッシブなライディングを楽しむために新しいトレッドパターンを採用した公道走行可能なサーキット用タイヤ。
トレッド面のコンパウンドは前後ともブラックカーボンを最適化。フロントタイヤはセンター24%、片サイド38%、リアタイヤはセンター28%、片サイド36%とそれぞれコンパウンドの異なるブラックカーボンを配置している。
サイズラインアップは、フロントが120/70ZR17の1サイズ、リアが180/55ZR17、190/55ZR17、200/55ZR17の3サイズ。
紙面掲載日:2020年2月14日