「自らが考え、行動、成果を上げる文化」を継承する織田社長。
デイトナが新体制となったこの春。本紙では前回の鈴木紳一郎会長のインタビューに続き、2回目は織田哲司社長に企業運営やこれまでの経験、考え方などについて聞いた。

──これまでの仕事上の経歴、経験したことは。

「ほとんどが開発を中心に経験してきた。80年代前半の当時はスタビライザーなどを開発。その後、会社の方向として50ccスクーター向け商品の開発へ拡大した数年後、物づくりの技術をさらに学びたくて退社した。ただ、自分の本当にやりたいことを見つめ直し、1990年にデイトナに戻り、補修消耗系商品の開発部門に配属された。

一度退社した当時はいろいろやってみたくてスキルも高めたかったが、二輪車のクリエイティブな仕事が本当にやりたいことに気づいた。当時社長だった創業者の阿部久夫さんが『戻ってもいいよ』と門を開けてくれたので、今この会社にいられる。他にも3人位は再入社の者がいるだろう。

主たる業務では商品開発、企画、調達など営業以外をやってきた。阿部さんと当時専務であった中村さんなどから、いろいろ教えてもらった。北米向け商品の開発で社員旅行の目的地が出張先への経由地に変わったのも今では懐かしい」

──上司から聞かされてきたことは。

「入社当時から『自分で仕事を探しなさい。社内をいろいろ見てあなたが提案できることを提案しなさい』といわれた。先輩や上司に自分が手伝えることを聞いてまわった。数か月経過後『責任もってやってもらうよ』といわれ、必要な時は開発に関連する外部ブレーンや協力会社、専門家の人たちとの接点をつくってもらい、その方々にも大変お世話になった。

また、阿部さんからは『他(他社)ができて、我々ができないことはない』と、よくいわれた」

──会社経営で重要と考えることは。

会社経営では二輪車アフターマーケットの部品・用品にかからず、当然のことながら成長し続けることだが、国内の二輪車市場への対応に限定すると、趣味としての多くのお客様に『どうしたら末永くバイクライフを楽しんで頂くことができるか』、商品にのみならず、一生懸命にみんなで考え続けようということだ。

会社としても社員にはもっとバイクに乗ろうと、呼びかけている。自社、他社に関わらず欲しい物を買って自分たちもユーザーになり、お客様の話や情報を、頭のフック(自分の記憶)にとどめて置くように薦めている。そうしたことで楽しく仕事ができ、考えることがお客様と一致しそれを検証して行けば、お客様に支持される独創的な商品が生まれやすい。最近は特に社員に伝えていることだ。だから当社では二輪車での通勤者が多い。実は明日も社内メンバーでツーリングに行く。

ユーザーの変化や定点観測先を自分なりにもっていて、市場の変化をつかむということで、トップダウンよりも社員が楽しみながら、社員から新しいこと(提案)が出てくるのが一番いいと思っている。趣味をキーワードにした企業のベンチマークでこれだなと思った。

さらに独創的な商品を造っていくために、制度を変えていこうと考えている。変えることで市場調査に頼らなくても、お客様に近い独創的商品を発想できるようにしようと考えている。市場調査だけでは独創的な商品は生まれにくい。企業規模によりいろいろあるが、他社のいいところは吸収して行きたい」

──組織づくりについての考えは。

「当社はフラットな組織だ。縦割りではなく企画から開発、アフターなどまでカテゴリーグループで分かれている。具体的にはグループではカスタム、ツーリング、リプレイスなどに分かれ、各グループで市場調査から企画、開発、試作、仕様決め、ユーザーへのアフターサービスも受け持つことで、より専門的かつスピード感を重要視する。全体のバランスが必要な調達・営業関連のみが一括し全体で対応をしている。

デイトナ文化は自らが考え、行動して成果を上げることが、創業者からずっとやってきたことだ。どうしたら『社員が自立して、成長することを考えて行けるのか』『どんな人生を送りたいのか。キャリアプランは』と、互いに確認し、会社で何が支援できるかと考える。また、こうしなさいではなく、成功事例のベンチマークなどを繰り返し見せ意識を高めている」

──自身で長所と短所を挙げるとすればどのようなところか。

良いと思ったら「すぐ(物事)にやらないと気が済まない」こと。これが短所でもあり長所でもあるだろう。だから石橋をたたいて渡るよりも、またいで渡っていくタイプといわれたこともある。良いと思ったことは早くやりたくなる。駄目だと思ったらすぐに止められ、次にさらに良くする方法を考えようというタイプだろう」

画像: 株式会社デイトナ 織田哲司 社長/いいなら「他社製品でも買う」

紙面掲載日:2016年7月8日

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