日本では「オートバイ」「バイク」「モーターサイクル」あるいは「二輪車」と、呼び方は様々。オートバイが一般的だろう。それを略したバイクも一般的。小排気量車なら「ミニバイク」だ。趣味人は「モーターサイクル」と呼ぶ。でも、字数が多いから、ふだんはあまり使わないかもしれない。二輪車業界挙げてのショーは「モーターサイクル・ショー」と呼ばれている。

そもそもオートバイは、英語のautobicycle(オート・バイシクル)を日本人が勝手に略した言葉である。オート・バイシクルを直訳すると“自動で動く二輪車(自転車)”。英語圏では、motorcycle(モーターサイクル)が一般的らしい。

バイクは、欧米ではbicycle(バイシクル=自転車)の俗称だが、オートバイの俗称としても用いられている。モーターバイクは和製英語で、それを省略してバイクと言った。昔は原付一種・二種をバイクと呼んでいた。

オートバイを漢字表記する場合は「二輪車」である。しかし、道路運送車両法などの法律では、「小型二輪自動車」などと表記され、単純に二輪車とは呼ばれていない。さらに、原付(50~125㏄)の法律上の正しい表記は「原動機付自転車」であり、名前の上では二輪車の範疇に入れてもらえず、自転車の仲間なのだ。

世間では、二輪車と自転車を混同している場合もよくある。だから二輪車新聞といえども「自転車の新聞ですか?」と聞かれることがある。

確かに、二輪車も自転車も車輪は2つで、サドルにまたがり、バーハンドルで方向を操作するのは同じなのだが、エンジン付きが二輪車、エンジン無しが自転車。

1960年頃、国内では、小排気量車やオープンフレームの小排気量車を「モペット」と呼んでいたことがあった。このモペットは英語のmoped(モペッド)からきたことばである。英語のモペッドは“ペダル付きのモーターサイクル”という意味の合成語といわれている。

日本では当時、ペダル付きの車両が少なく、小排気量車やオープンフレームの小排気量車全体をモペットと総称していた。モペッドの濁音を嫌い、愛玩物の“ペット”とシンクロして“モペット”に変化し、セルペットとか山口オートペットのように、車名やカテゴリーの名称として定着したようだ。

しかし、今では小排気量車はスクーター仕様が多く、モペットの名称はあまり聞かない。

その昔、オートバイのことを「単車」と呼ぶ人も多かった。これは、「側車(サイドカー)」付きの二輪車に対して、二輪車単体の車両という意味で単車と呼ばれていたようだ。単車という言葉は、語数も少なく簡単で、しかも発音しやすかったためか、多く使われていたが、最近ではオジイサン以外は使わないし、ほぼ死語に近いか。

側車といえば、ある用語辞典で、側車のことを「複車」と書いていた。「単」の反意語は「複」だから、うっかり「複車」と書いてしまったのだろう。コピーじゃあるまいし、複車はないだろう。

地方では、その排気音からバイクを「ポンポン」とか「バタバタ」などと呼んでいたところがあった。今は、やはり死語であろう。

最近、自転車業界では意識的に自転車のことを「バイク」と呼んでいるような気がする。バイクというと都会的に聞こえるのかもしれない。

トライアスロンでは、3種目の競技を「スイム・バイク・ラン」と呼んでいる。このバイクとは自転車のことである。

二輪車新聞 元編集長 小川孝

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