名言である。本人が解っているか、そして人に伝えられるか。聞いた人が解るか。その人に動いてもらえるか。伝える努力の大切さを考えない。メールを送れば相手は見て当然、解って当然と考える身勝手さ。

「伝わらなければ価値ではない」のだ。

悩んでも仕方がないものを悩んでも、仕方のないこととは自覚していた。それでも空しい思いをする事がしょっちゅうだった。やらせてもみせた。褒めてもみた。表彰機会もたくさん作り、どのようにすれば人の称賛を得られるかについても考えられるようにもした。悩めば不安定になり落ち込むことも多くなり、解決策も一層見つけにくい。 

そんな時にある飲み屋のママから「詮無いことは詮無いこと、見切り千両」とたしなめられて、ハッとした。踏ん切りがついた。自分自身はやるべきことをやっていると、思いあがっているのではなかったか。

果たして自分自身、人に動いてもらうためにわかるような言い方をしてきたか。わからせるための努力をしたか。相手がやれるように親身になって見せてきたか。少なくとも100回以上繰り返して言い、繰り返して実行してきたと言えるだろうか。

そう気づいて以来悩まなくなった。悩む必要のないことだと理解した。100回言っても1%も理解してもらえないのが、人間世界の常態なのだと考えたら肩の力が抜けた。悩まなくなった。その分会議などを通じて何度同じことを繰り返して言ったことか。

自分がひとこと言ったら、相手はすべて理解し、その通りやってくれると考える状態をバカというべきと自省した。

プロフィール

奥井俊史氏 (おくい・としふみ)
1942年大阪府生まれ。65年トヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)入社。75年より東南アジア市場の営業担当し、80年トヨタ北京事務所の初代所長に就任。83年より中近東市場で営業担当。90年にハーレーダビッドソンジャパン入社、91年に同社社長に就任し、19年間に数々の施策を展開し日本での大型二輪市場でトップブランドに育て上げた。09年より現職。

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