実際にあったビックリなエピソード。ツーリングレッスンに来てくれた小柄な女性受講者Aさんの大型クルーザーは、両腕が伸びきってまさにバンザイしながら走るイメージのハンドルバー。純正バーでメーカー規定位置だが、レバーは左右ともかなり低い位置にセット。手が小さく非力な彼女は、指先がレバーにギリギリ届くだけでまともな操作ができないままだった。

一方で国産中型クルーザーに乗る寿司職人の受講生Bさんは、ちょっと走るだけですごく肩が凝るらしい。これも純正ハンドルバーだが、手前側へのセットが半端なかった。ハンドルを左右いっぱいに切るとバーエンドが膝やタンクにぶつかるほど低い。ハンドル位置変更などはやってはいけないと思っていたらしい。

Aさん、Bさんともハンドルを調整して練習再開。Aさんは笑顔でスイスイ走り、Bさんは肩こりを忘れてずっと練習。両者ともバイクを購入した店の整備担当者に相談したが「これで問題ない」と言われたそうだ。

整備担当者は、オーナーのための整備でなく、メーカーや自分にとって都合が良い整備しか知らないのか。お客様を見て整備するという当たり前ができていない。法的責任が、と言うならちゃんと説明してお客様からサインを貰えばいい。

整備担当者はあなたの顔

さて、大事なことはここから。

この販売店の代表者がこのことを知らないのはまずい。現場とはいつも密な情報交換をしていないとお客様を逃してしまう。他店へ行くだけではなく、上手く乗れず疲れて、バイクに乗ることを辞めたり嫌いになるだけ。

酸いも辛いもわかりきっている代表者なら、あなたの分身である整備担当者にそれをやらせてはならない。他愛のないことだが、お客様が笑顔になる第一歩は安全快適と、そして楽しくなるためのアジャスト。ちゃんと、もっと、お客様に寄り添うバイク店が増えるといいね。

この当たり前をやるお店はたくさんあるだろうけど、お客様はあなたに全幅の信頼を寄せてバイクに乗っている。バイクなんて、どこで買っても同じ、と言わせないための第一歩だと思います。

プロフィール

柏秀樹(かしわ・ひでき) 
1954年山口県生まれ。大学院生時に作家の片岡義男と、バイクサウンドをテーマにしたLPを製作。卒業後フリーランスのモータージャーナリストに。各種海外ラリー参戦も含めた経験を活かし、現在「KRS・柏秀樹ライディングスクール」を運営。全国各地で初心者やリターンライダー、二輪車販売店社長・社員の意識・運転技術改善に役立つノウハウの伝授や情報交換をしている。ベストセラーになったライディングDVD他著書多数。

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