川崎重工業はこのほど、ニンジャH2Rに搭載しているスーパーチャージドエンジンを動力源とした無人コンパウンド・ヘリコプター「K-RACER」の飛行試験に成功した。
K-RACERを名称とした同機は、直径4mのメインローターに加え、テールローターの代替として左右両舷に主翼とプロペラを持つ、コンパウンド(複合型)ヘリコプターと呼ばれる特殊形態の試験機。左右のプロペラによりメインローターの回転に伴うトルクを打ち消すとともに、前進推力を発生することができる。前進飛行では、主翼が揚力を分担することでメインローターの負担を軽減し、従来のヘリコプターでは達成できない高速飛行が行えるコンセプトになっているという。
北海道大樹町の多目的航空公園で行われた飛行試験では、従来型ヘリコプターにおいて技術的に限界がある高速化を目指した無人試験機での技術実証を行い、今回自律制御による安定した飛行を確認することができたとしている。
航空宇宙、二輪車部門等との技術シナジーが成功に導いた
K-RACERは航空宇宙システムカンパニーが開発し、動力源はモーターサイクル&エンジンカンパニーと技術開発本部の技術シナジーにより、カワサキのモーターサイクル「Ninja H2R」のスーパーチャージドエンジンを搭載している。
川崎重工業では、消防・防災やドクターヘリとして活躍するBK117ヘリコプターシリーズなど、各種ヘリコプターの納入実績を数多く有している。今回の試験により得られた成果を、有人/無人のヘリコプターをはじめとしたVTOL(垂直離着陸機)機や各種サービスと連携した航空機運航システムの開発等への活用を目指すとともに、将来、VTOLシステムの実現も含め、今後も航空技術を通じて社会貢献に努めたいとしている。
飛行映像は同社ホームページから視聴可能
https://www.khi.co.jp/